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    容器包装の3Rを進める全国ネットワークニュース

        第 197号   2018 年10月 31 日

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 9月に発行したリーフレット『プラスチック容器をみなおそう!
〜海洋プラスチックごみ削減に向けて〜』がたいへん好評をいただいております。
すでに初回作成分(2000部)の在庫がなくなってしまい、急ぎ増刷をしております。
ご注文された方は暫しお待ちください。

 さて、10月19日に開催された環境省の「プラスチック資源循環戦略小委員会」では、
従来を上回るような素案が提示されました。が、最後の「今後の戦略展開」では、
熱回収が再利用率に混入されているなど予断を許さない状況です。
「減プラスチック社会を実現するNGOネットワーク」による提言もされましたが、
今後の注視が必要です。

 ところで、私たち現代人は、成長進化のロジスティック曲線というS字カーブの中で、
最上段の曲がり角(高原)に立っていることが、
『現代社会はどこに向かうか―高原の見晴らしを切り開くこと―』
(見田宗介著)の中で指摘されています。
そして、脱成長社会という地平に到達できるかどうかという“見晴らし”について、
若者の意識変化の分析から明らかにされています。

 私事で恐縮ですが、不忍池の傍にある「下町風俗資料館」に立ち寄ると、
体の中から落ち着くのを感じることができます。
使い続けるほどに劣化し続けるという性質のプラスチックに依存しない生活、
プラスチックに囲まれていない過ごし方、趣きのある暮らしに努めたいものです。

(事務局 山本 義美)

------ 目 次 --- C o n t e n t s --------------------------------

巻頭言
<1> 第3回プラスチック資源循環戦略小委員会報告
<2> 10・29 プラスチック資源循環戦略素案に市民提言!
<3> 世田谷区で海や川のプラスチックごみ削減の学習会
<4> 【レポート】ヒトの便からもマイクロプラスチック
<5> 東京23区・練馬からの活動報告
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■ <1> 第3回プラスチック資源循環戦略小委員会
■     <傍聴記>
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 プラスチックの海洋汚染対策、生態系の保全をめざして、脱プラスチックを
打ち出す国も現れるなど、持続可能な社会に向けて世界が舵をきるなか、
遅れをとっていた日本でも、来年議長国を務める大阪G20に向けて、
ようやく環境省が「プラスチック資源循環戦略」を策定するための検討会議を
発足させています。
 10月19日午後、プラスチック資源循環戦略小委員会が開かれ、素案が発表されました。

プラスチック資源循環戦略素案はコチラから ↓
http://www.env.go.jp/council/03recycle/post_148.html

 委員会会場には、テレビカメラが5〜6台入り、関心の高さが伺われます。
世論も盛り上げてほしいものです。以下、傍聴記。

原田環境大臣の挨拶、環境省の説明の後、各委員から意見表明がされました。
・国内の2Rが大切。現在の海洋プラ対策では困難であることを明らかにせよ。
 不法投棄撲滅のための議論を。
・発生抑制が世界の動き。リフィ―ズ(使わない)を入れて5Rに。
 MPの原因にフリースも入れよ。

・プラスチックは次の3つが不可欠、@資源は再生材を使うA素材は生分解性を使う
 B脱炭素・バイオマス由来のものを使う
・レジ袋有料義務化に賛同。レジ袋の有料義務化は60カ国以上、有料化を。

・製品プラスチックも含めたシステム構築を。
・7自治体で製品プラも資源化している。「プラの二重選別合理化案」に沿って見直しを。
・成功事例を共有する場の設置を。
・海外への輸出は止めよ。ペットボトルが一番多い、今後どう減らすかが見えない。
 給水器の増設など本数の削減を入れよ。プラスチック資源化は、効率的な「高度化」を入れよ。

・安易に熱回収に行かないようバイアスをかけよ。表現の工夫。マテリアルを中心に。
・熱回収の部分に「他に有効な手段がない場合は」を入れよ。
・東南アジアへの高性能な焼却場についても同様、最後の手段と位置づけよ。
・熱回収については3R原則は貫いて行く(座長発言)

 素案の、容リ法でも緊急避難的・補完的な場合にのみ認めると条件がついている
「熱回収」を容認し、リサイクル率にカウントする部分は、EUをはじめ世界各国が進める
循環型社会(サーキュラ―エコノミー)に逆行する大きな問題です。

 世界が納得する、真にG7憲章を上回る実効ある戦略になるよう、NGOの提言が必要です。

(副運営委員長 中井 八千代)

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■ <2> 10・29 プラスチック資源循環戦略素案に市民提言!
■   「減プラスチック社会を実現するNGOネットワーク」  
   ■   環境大臣宛てに手渡し&プレス発表を実施!!
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環境省が策定中のプラスチック資源循環戦略に、市民側の意見を提言しようと、
8月、海ごみ対策活動に取り組んでいる環境団体が呼びかけあい、提言書づくりを
進めてきました。
 10月19日、環境省の小委員会で資源循環戦略の素案が発表されたのを受けて手直しし、
10月29日、環境大臣宛て提言書を冨安リサイクル推進室長に手渡しました。

その後環境省内会見室で「減プラスチック社会を実現するNGOネットワーク」として
プレス発表を行いました。賛同団体一覧と提言書はこちらから↓

◎表紙   http://www.citizens-i.org/gomi0/pdf/hyoshi181030.pdf

◎提言書  http://www.citizens-i.org/gomi0/pdf/teigen181030.pdf

環境省記者クラブ内会見室は、満杯の状況で、各社からは質問が相次ぎました。
Q.1番に言いたいのは、熱回収の改善についてなのか?
A.燃焼は気候変動となるので避けるべきである。そもそもリデュース推進すべき。

Q.提言1の30%とは?
A.元々、中国・アジア等に輸出していた量が150万t。環境省資料の
 包装使用量426万tを基に 150万tの割合を算出。(環境省の25%の根拠も不明)
 海洋プラ憲章より大幅に削減すると言っている。環境省の25%でなく、
 大幅としては50%必要と考える

Q.熱回収がだめでリデュースということだが、今これだけ使っているプラスチックを
 どうしていくのか
A.「サーマルリサイクル」の言葉は、国際的にリサイクルとはみられていないことを、
 共通認識として持つことを言いたい。現実的にすぐにどうすればよいという明らかな話がない。
 まず理解して議論してスタートさせることが必要。EUで進んでいる拡大生産者責任では、
 生産者が製造から廃棄までを担うので、製品設計の時から廃棄物となっても又資源として
 循環させることができる素材や形を考えて作り回収も進む。
 そうすればプラスチックごみはなくなり、循環型社会になっていく。

Q.製品デザインとは具体的にどのようなことか?
A.サーキュラエコノミーは拡大生産者責任が元となっている。日本でも、自動車、家電は
 買う人がリサイクル費用を負担。オートバイ、PCも製品の中にリサイクル費が含まれている。
 そうなれば事業者は資源として使えるように設計し、回収してリサイクルする。

Q.提言2の市場規制って?
A.アイテムごとではあるが、使用しないようにする。代替品や紙を使うなど。

Q.熱回収の有効利用率について
A.有効利用率は、まず本当の数値を出さねばならない。今の素案のままだと熱回収を前提で
 進んでしまう。マテリアルリサイクル優先。サーマルリカバリーもゼロにはできないが、
 最後の手段としなくてはならない。

(副運営委員長 中井 八千代) 

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■ <3>世田谷区で海や川のプラスチックごみ削減の学習会
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 海洋プラスチックごみ問題に関するニュースが多く聞かれるようになり、
関心の高まりを感じる中、世田谷区環境学習会より、海や川のごみ問題に
関してお話をする機会をいただきました。

 折しも「容器包装をみなおそう!〜海洋プラスチックごみ削減に向けて〜」
の小冊子が完成した後の時期で、冊子を参加者一人ひとりの手元に置いて
の学習会となりました。この冊子には、飲料容器の川での回収量のグラフや、
各国のレジ袋使用規制情報の表の他にもデポジットやサーキュラエコノミー、
SDG'sなどについても分かり易く説明されていて学習に役立ちます。

 参加者からは、ストロー廃止に関すること、有害環境汚染物質の付着
について、海外からの漂着ごみ問題、漁具対策など多様な質問や感想が
出され、国内外の現状をわかる範囲でお伝えしました。そして参加者皆で
対策について考え、共有する時間となりました。

 3R全国ネットでは、このような地域学習会等で、この海のプラスチック
汚染問題について多くの方に正しい情報を伝え、その対策の動きが
広まることを目指しています。

(運営委員 伊藤浩子)

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■ <4> 【レポート】 ヒトの便からもマイクロプラスチック
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 周知のように、10月24日に衝撃的な報道がありました。
ウィーン医科大学などの研究チームは23日、日本を含む8ヵ国のヒトの便から
マイクロプラスチックが検出されたと発表しました。

 発表によると、日本やオーストリア、フィンランド、イタリア、オランダ、
ポーランド、ロシア、英国の計8人の便を調べたところ、全員から、
大きさが0.05〜0.5mmのマイクロプラスチックが便10g当たり平均20個
検出されました。検出されたプラスチックは9種類で、ポリプロピレンや
PETが多かったとのことです。

 どのような経路でマイクロプラスチックが体内に入ったかは分かっていませんが、
8人全員がプラスチックで包装された食品やPETボトル飲料を摂取していたほか、
6人は海産物を食べていました。

 動物での研究によると、マイクロプラスチックでもごく小さいものは、
消化器で吸収されて血管やリンパ管に入り込む可能性があるといいます。

マイクロプラスチックは、これまで世界各地の水道水や塩、魚などで
検出されており、人体からの検出は時間の問題だったといえます。

(運営委員 小野寺 勲)

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■ <5> 東京23区・練馬の大島いずみさんからの活動報告  
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<区内の学校へ海ごみの出前講座を計画中!>
 練馬区内には4つのリサイクルセンターがあります。
リサイクルセンターでは不用となった日用品、大型家具の販売と共に、区民ボランティア
が幼児から大人までを対象とした環境学習の講座を行っています。
 講座は座学はもちろん、環境を考えた料理やリメイクなど様々な角度から、参加者が
環境問題の情報を得たり、考える企画となっています。

 各センターでは、独自に講座を企画していますが、今回、区内の小学4年生に向け、
全センターが共通で「海ごみ」の講座ができるプログラムを有志で作成しました。

 内容は、まず身の回りにどれだけプラスチック製品が溢れているかを知り、パワーポイント
やパネル等で海や川の現状、海のプラスチックごみによって引き起こされるに問題について
学んでもらいます。次いで、問題の解決には「3R」の考え方がとても重要で、その順番も
大事なことを理解してもらい、その後班に分かれ、用意した日用品が不用になる前にできる
「ごみを減らし、プラスチックフリーを体験するワークショップ」を行い、
最後に班ごとに答え合わせをし、リデュースやリユースの回答には得点を多く、
リサイクルは少なめという配点で、「2R」が大切なことを体感してもらうというものです。

 とりあえずプラグラムが完成したところですので、どこまで実践できるかは今後の課題ですが、
こどもたちが「海ごみ」を考えるきっかけとなる授業を行うため、営業を頑張っていこうと
思っています。
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事務局からのお知らせ
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● 会議開催日程

◎ 運営委員会
◇ 2018 年11 月19日(月) 10:00 〜 12:00
場所:市民運動全国センターです。

※ ニュースはご参加、お問合せをいただいた皆さまに BCC でお送りしています。
ご不要の方はご連絡ください。

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容器包装の3Rを進める全国ネットワーク事務局
E-mail : reuse@citizens-i.org
URL: http://www.citizens-i.org/gomi0/

〒 102-0082 東京都千代田区一番町9−7 一番町村上ビル6F
 市民 運動全国センター内
TEL/03-3234-3844   FAX/03-3263-9463

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