ごみっと・SUN64号
レジ袋有料化に向けて
杉並区レジ袋有料化推進条例
遠藤環境清掃部長に聞く
ごみかん理事 小野寺 勲


 2007年1月以降、先駆していたディスカウントストア以外の一般スーパーも、相次いでレジ袋有料化を実験的に始めました。しかしなかなか後が続かず、手詰まりの様相を呈しています。
このため、その打開策として、杉並区のレジ袋有料化推進条例が各方面から注目されています。

 そこで、杉並区環境清掃部長の遠藤雅晴さんに条例制定を目指すことになった背景や条例のポイントなどについて伺いました。

杉並区内のレジ袋有料化の進展状況
 2006年10月に、サミット、杉並区レジ袋削減推進協議会、杉並区の3者で締結したレジ袋削減推進のための地域自主協定に基づいて、サミットが2007年1月から成田東店でレジ袋有料化を始め、区はこれを積極的に支援しました。

 また、区は、杉並区レジ袋有料化モデル検討会の報告を踏まえて、4月初めから区内に店舗を持つすべてのスーパーの本部へ出向き、有料化の実施を要請してきました。

 大多数のスーパーは腰が重い中で、いなげやが8月から杉並新高円寺店で、オリンピックが9月から高井戸店(食品フロアのみ)で有料化に踏み切ってくれました。もちろん、区は、サミットと同様の支援を行いました。
2008年3月からは、新たにいなげや杉並桜上水店と東田町バス通り商店会が有料化することになっています。オーケーと生協は以前から先行して実施していました。

条例制定を目指す理由
 杉並区は、すべてのスーパーにレジ袋有料化の実施を呼びかけるとともに、実施を決断したスーパーを積極的に支援することによって、有料化を推進してきました。

 しかし杉並区のような、34kuくらいの狭い地域に約53万人が住み、スーパーが30も40もある非常に厳しい競争条件の下では、単独での有料化には、客離れのリスクが懸念されることから、スーパーは慎重にならざるを得ないと思います。
実際に若干売り上げへの影響が出ています。

 また、仮にスーパーが一緒に実施したとしても、コンビニや商店会が同調しないことも想定され、スーパーには不利を被るのではないかという恐れがあると思います。

 したがって、有料化は、一律に進めるのが望ましく、そのために条例が必要なのです。

条例の目的
 条例の最終的な目的は、レジ袋有料化自体ではなく、環境に負荷を与えないライフスタイルに転換し、持続的発展が可能な社会を実現することです。

 そのための第一歩が、環境に負荷を与える一つの象徴となっているレジ袋の削減であり、それに最も有効な手段として有料化を推進するものです。
このことは、第1条の「目的」ではっきりとうたっています。

レジ袋有料化等の義務付け
 レジ袋を年間20万枚以上使用する「レジ袋多量利用事業者」(おおむねスーパー32店舗、コンビニ198店舗、その他41店舗)が対象となります。

 これらの店に対して、レジ袋削減のための有料化またはこれに準じた効果が期待できる取り組みや、マイバッグ持参率を60%以上に引き上げるための「レジ袋有料化等計画書」と成果についての「レジ袋削減結果報告書」の提出を義務付けています。

 「レジ袋多量利用事業者」という概念は、容リ法の「容器包装多量利用事業者」(容器包装を年間50トン以上使用)を準用しました。
しかし、条例は、地域に適用できるよう、企業単位ではなく店舗単位とし、また、わかりやすく容器包装使用重量ではなくレジ袋使用枚数で線引きをしました。

 なお、条例の検討会の中でも、また2007年11月の事業者への説明会などでも、最初から60%以上という目標を設定するのは高すぎるのではないかという意見があり、これをはっきり書き込むかどうかについては検討中です。

公表制度
 条例で求められている計画書や報告書の提出を怠ったり、虚偽の報告をした事業者や、レジ袋削減の取り組みが著しく不十分な事業者については、事業者名を公表するとしています。

 また、こういったペナルティーとしての公表制度と併せて、有料化等に取り組む事業者を推奨や顕彰する意味での公表制度も設けています。

事業者や区民の受け止め方
 事業者への説明会では、レジ袋有料化の取り組みを推進する、この条例に対して、基本的に反対だという声はありませんでした。

 区は、事業者の営業活動に対しできるだけ介入しないというスタンスですが、事業者の間には、むしろ行政主導で一気に有料化する仕組みを考えてほしいという意見が多いのです。
ただし、今のところコンビニは反対しています。

 杉並区内ではすでにサミット、いなげや、オリンピックが有料化を本格的に実施し、いずれもマイバッグ持参率が80%台に達しています。
少なくとも区民の8割は有料化に賛成してくれると思っています。

今後のスケジュール
 2月の定例区議会に提出し、3月に制定、4月に施行することを目指しています。
新条例が制定されれば、2002年に制定したレジ袋税条例は2008年中に廃止されます。

 計画書の提出期限については、事業者への説明会で、早ければ容リ法に合わせて2008年6月末まで、計画の目標達成時期は、遅くとも2009年度末(2010年3月末)までとする方針を示しました。

最後に
 条例がレジ袋有料化に向けて風穴を開けることができれば、他の自治体へ波及し、いずれは容リ法の改正にも影響を与えるのではないかと思います。
杉並区は、トップランナーの役割を果たせればと考えています。

資料
<(仮称)杉並区レジ袋有料化等の取組を推進する条例>の考え方と主な内容
  以下の内容は、2007年10月時点の案で、2008年2月区議会提出時の条例案とは若干異なります。

1 条例の目的について
  この条例は、杉並区環境基本条例(平成9年3月条例第3号)の精神に則り、杉並区
 (以下「区」という)、区民及び事業者が、次世代に対する責任として、環境への負荷の少ない、
 持続的発展が可能な社会を構築することを基本理念とし、それを達成するための第一歩として、
 環境に負荷を与える象徴の一つとしてのレジ袋を削減するため、これを有償で提供する事業者の
 取組み等を推進し、もってごみの発生を抑制し、資源が循環して利用される都市の形成に寄与
 することを目的とする。

2 定義について(略)

3 責務について
 @区の責務
   区は、協働の理念の下に、レジ袋の削減を図るため、レジ袋有料化又はこれに準じた効果が
  期待できる事業者の取組み(以下「レジ袋有料化等の事業者の取組み」という)の推進を図り、
  そのために必要な措置を講ずるとともに、レジ袋削減に関する区民等及び事業者の意識の
  啓発を図るものとする。
 A区民等の責務
   区民等は、協働の理念の下に、レジ袋有料化等の事業者の取組みに協力し、商品を購入
  する際は繰り返し使用が可能な買い物袋等(以下「マイバッグ」という)を持参するなどして、
  レジ袋の使用抑制に努めるものとする。
 B事業者の責務
   事業者は、協働の理念の下に、レジ袋の削減を図るための目標を定めるなどして、
  レジ袋有料化その他の取組みによって、レジ袋の削減に努めるものとする。

4 レジ袋多量利用事業者の責務について
 @飲食料品小売業を営む事業者のうち、レジ袋年間使用枚数20万枚以上の事業者
  (以下「レジ袋多量利用事業者」という)は、レジ袋の削減を図るため、
   レジ袋有料化又はこれに準じた効果が期待できる取組みを行わなければならない。
 Aレジ袋多量利用事業者は、区が定める期日までに、「レジ袋有料化等計画書」を提出
   しなければならない。
  (ア)レジ袋有料化を行う場合は、マイバッグ持参率60%以上の達成を目標とするレジ袋
    有料化の実施時期、レジ袋の価格等を定める計画書
  (イ)レジ袋有料化に準じた効果が期待できる取組みを行う場合は、マイバッグ持参率60%
    以上の達成を目標とするレジ袋削減のための具体的取組みを定める計画書
 Bレジ袋多量利用事業者は、「レジ袋有料化等計画書」を提出した翌年より毎年、区が定める
  期日までに、レジ袋削減結果に関する報告書(以下「レジ袋削減結果報告書」という)を
  提出しなければならない。

5 その他の事業者等について(略)

6 区の支援について
 @区は、必要があると認めるときは、事業者に対して、レジ袋有料化の実施を支援する職員を
  派遣し、実施に係る費用の一部を予算の範囲内で助成するなど、必要な支援を行うことが
  できる。

7 区との協定等について(略)

8 区の立入調査、指導及び助言について
 @立入調査
   区は、この条例の施行に必要な限度において、職員に、必要と認める事業所等に立ち入り、
  レジ袋削減の状況を調査させ、又は関係人に質問させることができる。
  立入調査をする職員は、身分証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。
 A指導及び助言
   区は、レジ袋の削減を図るため、必要と認めるときは、事業者に対し、レジ袋有料化等の
  事業者の取組みを推進するために必要な指導及び助言を行うことができる。

9 レジ袋有料化による収益金の還元について
 @区は、レジ袋有料化により事業者に収益金が生じた場合、その使途については、
  当該事業者の自主的判断を尊重するものとする。
 A事業者は、自主的判断により、環境保全に対する施策等のため、当該収益金を寄付する
  ことができる。
 B区は、前項の寄付があったときは、その情報を公表しなければならない。

10 事業者の公表について
 @公表(優良事業者として推奨する意味での公表)
 (ア)区は、レジ袋有料化等の取組みを行う事業者及び商店会等を公表する。
   (有料化実施店や協定等を交わした事業者及び商店会等を公表する。)
 (イ)区は、レジ袋有料化による収益金を寄付した事業者及び商店会等を公表する。
 A公表(レジ袋削減の取組みが不適切又は著しく不十分な事業者としての公表)
 (ウ)区は、正当な理由なく、「レジ袋有料化等計画書」及び「レジ袋削減結果報告書」
    の提出義務を履行しない事業者を公表する。
 (エ)区は,虚偽の報告をした事業者を公表する。
 (オ)レジ袋削減の取組みが著しく不十分な事業者を、別に定めるところにより、公表することが
    できる。


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