ごみっと・SUN63号
地域グループ

底ぢから

こだいら 菜の花プロジェクト
NPO法人小平・環境の会 馬場悦子

    2007年10月16日、小平市花小金井4丁目の農地に市民が集まり、菜の花の種を蒔きました。
市、農業者、市民の連携によるモデル事業「こだいら菜の花プロジェクト」のはじまりです。

 その後降った雨で土壌はたっぷりと水分を含み、10月にしては高温が続いたこともあり、5日後にははっきりと発芽が確認されました。
発育は順調で、畑一面小さな芽が出揃い、来年の春、菜の花が咲き乱れる風景を今から思い描いてわくわくしています。

 「菜の花プロジェクト」とは、菜の花を植えて採取した菜種から油を絞り、それを調理した後の廃食油からバイオディーゼル燃料(BDF)を精製し、軽油の代替燃料として車を走らせるという資源の地域循環を目指す取り組みで、滋賀県から始まりました。
全国150ヶ所以上で実践されています。

きっかけは、都市の農地の利活用
 発端は、「小平市都市農業基本構想」の改訂を検討する市の懇談会(小平都市農業基本構想懇談会)に市民公募で参加した委員の方の発言でした。
西東京市にある東大農場で、市民対象に菜の花やひまわりを植えて油を絞るという実習を行っている団体「東大農場塾」に関わっている立場から、都市農地の利活用として菜の花を畑に植えることを提案されたのです。

 農業基本構想が改訂された今年3月以降、そこに盛り込まれた施策を具体的に実施するプロジェクト作りを担う「小平市農のあるまちづくり推進会議」の話し合いの中で、低利用農地活用プロジェクトの検討内容の一つとして、畑での菜の花の作付けが浮上。
小平・環境の会のメンバーが先の推進会議の市民公募委員だったこともあり、以前からバイオマス活用に関心のあった当会に実践部隊として具体的な企画話がもちかけられました。

やるのなら「菜の花プロジェクト」を
 市との話し合いの場では、希望として環境の視点を入れてほしい、景観植物として菜の花を栽培するだけでなく、資源を有効活用して地域循環させるところまでやりたいと、「菜の花プロジェクト」の提案をしました。

 そして8月には市の仲介で農地を所有している農家の方と顔合わせをしました。農家の方も「菜の花プロジェクトには関心があります。
どうやってやればいいのか、これまで情報がなかったんです」とのこと。
強いスクラムが組まれていくのを感じました。

 実際に農地に案内されてその広大さにびっくり。
当会も畑の活動をしていますが、広さは120坪(396u)。
目の前にある畑は、周囲を歩いておおよそ見当しただけでも450坪(1485u)、後日実測したところ500坪(1650u)ありました。

プロジェクトが発足
 9月に市報で参加者を募集し、10月5日に開催した説明会には約30名が参加しました。そこでの登録者に呼びかけて、当会が市内小学校の給食の生ごみ乾燥処理物に牛糞と腐葉土を混ぜて作った堆肥を畑へ撒き、農家の方がトラクターで畑を耕し、16日の種まきに至りました。

 初めての人、東大農場塾で体験したことがあるという人、いろいろですが、30センチ間隔にこぶしで浅く穴をあけ、種を5.6粒落として土を被せることを繰り返し、30メートルの長さの畝に種を蒔ききるのは、結構やりでのある作業でした。

 畑の一部は「ごんべえ」という手動の種蒔き機を農家から借りて機械蒔きをしました。
また、蒔く菜種は、食用の菜種油が取れることが条件ですが、一般に市販されている国産の菜種はエルシン酸という心臓疾患を誘発する脂肪酸が含まれ搾油には適さないとのこと。

 ナナシキブ、キザキノナタネという種類がいいと聞き、農協に注文したところ種屋さんにないという返事で、滋賀の菜の花プロジェクト事務局へ問い合わせると、全国から毎日のように注文の電話が入るが、手元にはないとのこと。
慌てましたが、以前見学に行ったことのある、埼玉県坂戸市の「NPO菜の花エコプロジェクト埼玉」から分けてもらうことができました。
来年からは自家採取をする予定です。

これからが正念場
 廃食油からBDFを作って車に使っている西東京商運(東久留米市)という運送会社があります。
9月に行われた市のエコフェスティバルでは、そこで市内の大学の廃食油をBDFにしてもらったものを使って、市のチッパー車の試運転もしました。CO2削減に寄与する菜の花。
このプロジェクトがそこにたどり着くまでには、どうやって菜種から油を絞り、どれくらいの油が取れるのか(搾油率は3割)、などの課題があります。

 幸い、西東京市に先行実践例があります。
「東大農業塾」に関わっていてこのプロジェクト発足に寄与したM氏とは活動を共にし、「西東京菜の花エコ・プロジェクト」代表の茂木千佳子さんからは多くのアドバイスをいただいています。
菜の花のさやは光合成の力が強く、CO2の吸収能力に優れ、菜の花には土壌を浄化する働きがあるそうです。

来年の春、菜の花が満開の風景を小平に出現させたい、その様子を多くの人に、子ども達に、見てもらいたいという夢に向かって前進していきます。
お花見のイベントも開催できたらと考えています。

小平全体に広げたい
 先祖から受け継いた大切な農地の維持に心を砕いている農家、年々減少していく市内の農地をなんとか残したい行政、環境保持のためにも農地の保全に協力したい市民の三者の連携によって発進したこのプロジェクト。
現在プロジェクトへ登録した市民は30名弱。
3月までの農閑期に、新しい会を発足させ、組織作りをしていきます。

 小平市を一周する小平グリーンロードの保全活用をする「小平グリーンロード推進協議会」も景観形成の立場で関わっています。
今後も学校などいろいろな組織と連携を進めていきます。
農地の保全だけでなく、市民が実践や体験を通して、農業や資源の地域循環について学ぶ環境教育、食農教育などの場としての可能性を秘めているこの試みが市内のあちこちに広がっていくことを期待しています。


戻る
ページトップへ