ごみっと・SUN55号
「容器包装リサイクル法(容リ法)」でプラスチックが対象容器になったのは4年後の2000年ですから、プラスチックリサイクルの草分けと言えます。
リサイクルに踏み切るきっかけは、焼却炉の大きさを現状維持のまま建て替えることでした。市は(財)廃棄物研究財団の報告を受けて廃プラスチックの油化(注)処理を検討、市内にある歴世礦油(株)がプラスチックの油化プラントを建設しました。 それまで西新潟地区だけで行っていた6分別を、97年に東新潟地区にも拡大。前処理施設の受け入れが困難なため埋め立てに回していましたが、02年に「プラスチックセレクトセンター(鰍oSC)」が稼動して選別を受託、全市でプラスチックリサイクルが始まりました。 容リ法施行後、同市のプラスチック製容器包装は、独自処理から容リ法に替わり、新潟プラスチック油化センターが容リ法の契約業者として同市分を落札、リサイクルしてきましたが、今年度は落札できず、厳しい状況に立たされています。
選別施設であるPSC鰍ヘ、新潟市役所から日本海沿いの国道を15分ぐらい走ったところにあります。
選別工程を簡単に紹介しましょう。まず破袋機(風力選別付き)でフィルム系の軽いプラスチック、一次選別機で食品トレイなど軽いプラスチックが除かれてひとつのコンベアに流れます。
プラスチックの分別には、容器包装の分かり難さや汚れ、容器以外のプラスチック処理など固有の問題があり、どの自治体にとっても悩みの種ですが、新潟市のように収集後に分けるというのも選択肢のひとつです。混合収集することで収集車の台数を節約できるのもの利点です。
また、びんと缶も混合収集し、資源再生センター「エコープラザ(啓発施設と選別施設)」で選別しています。
14市町の中で、巻町など4町は一部事務組合を作ってシャフト式のガス化溶融炉を建設し、02年からプラスチック類を焼却に切り替えており、分別の変更は難航することが予想されていますが、資源化が進む地区に比べ明らかにごみ量が多いため、市の担当者は分別を統一することで資源の質を上げ、ごみを減らす意向です。
現在、新潟地区では約10%の容器包装以外のプラスチックを選別するのに1億円かかっており、経費削減も大きな課題です。
資源を除くごみ量(2004年度)は有料地区が1日1人559グラム、同じ有料でもガス化溶融炉でほとんど焼却している巻広域組合(4町)が791グラム、旧新潟市など無料地区が718グラムで、有料化と資源分別の効果が読み取れます。 人口80万人になった新潟市は来年4月に政令指定都市になる可能性が高く「政令都市で最も少ない456グラムの広島市に続きたい」(小畑課長)と、2011年までに570グラムを目標にごみ減量を目指しています。 自治体が合併した際に、処理方法などを調整した結果、リサイクルが後退してしまうことも少なくありませんが、新潟市には来たるべき政令指定都市としての自覚をもって、ごみ行政に取り組む姿勢を感じました。 *注*油化=廃プラスチックを加熱、溶解、熱分解、気化させ、気化したガスを冷却して生成油に還元する
ごみかん理事 服部美佐子
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