ごみっと・SUN55号

 プラスチック処理・資源化に関する

東京・多摩地域30自治体へのアンケート調査

まとめ:ごみかん理事 小野寺 勲

 

 東京都多摩地域では、30市町村のうちの25市1町が、東京都三多摩地域廃棄物広域処分組合(2006年4月に『東京たま広域資源循環組合』に名称変更)を組織し、可燃ごみの焼却灰と不燃ごみを処分組合の管理・運営する日の出町の二ツ塚処分場に埋め立ててきましたが、次がない処分場の延命のため、埋立量の削減が至上命題となっています。

 2005年7月に策定された処分組合の「第3次廃棄物減容(量)化基本計画」では、各自治体の二ツ塚処分場への焼却灰と不燃ごみの搬入について一段と厳しい配分量が設定され、超過金や貢献金の制度も設けられました。
各自治体や住民には、さらなるごみ減量が課せられることになります。

 2006年6月から、処分場内に建設されたエコセメント化施設で焼却灰のエコセメントへのリサイクルが始まり、埋立処分されるのは不燃ごみだけとなりました。
 このような状況を踏まえ、ごみ減量の柱のひとつである廃プラスチックのリサイクルに対する各自治体の取り組み状況やそこでの課題について、各自治体で情報を共有し、今後の取り組みの参考にしてもらうため、ごみ・環境ビジョン21は、2006年5月15日から31日にかけて、多摩地域30自治体へのアンケートを実施し、全自治体から回答を得ました。

 多摩地域は、ごみへの取り組みの先進地域であり、調査結果に現れた傾向は今後、全国に波及していくものと思われます。


 その他プラスチック容器包装の分別収集実施状況と拡大意向

 ペットボトル以外のプラスチック容器包装(以下「その他プラ」)の分別収集を実施している自治体は30自治体中26自治体(ペットボトルの分別収集は全自治体が実施)。
そのうち、プラ容器包装を全品目一括分別収集している自治体が14、一部だけを分別収集している自治体が12と、半数以上が全品目を分別収集しています。
また、一部だけ分別収集している自治体の中にも、分別収集対象を全品目に拡大することを予定または検討している自治体が6あります。
その他プラの一括収集は、ごみ大学セミナーでの小瀬さんのお話にもあったように、武蔵野市が容器包装リサイクル法の完全施行直後の2000年7月に実施したのが最初です。

 大勢としては、その他プラを一括収集する方向に向かっている反面、中間処理施設のスペースの制約などが分別収集拡大の障害となっています。


 ペットボトルのリサイクルルート

 ペットボトルのリサイクルルートに関しての回答をみると、2006年度(予定)には2005年度(実績)と比べ、指定法人ルートのみの自治体が18から14に減少しているのに対し、業者ルートのみの自治体が7から8に、また、ふたまたかけた自治体が5から8に増加しており、業者ルートへシフトする傾向が見てとれます。

 しかし、国外で処理するという回答は皆無で、国外流出の波は多摩地域には及んでいないようです。


 一般家庭ごみ・その他プラスチック包装容器収集の有料化実施状況と実施意向

 一般家庭ごみ収集の有料化については、すでに有料化している自治体が17、有料化を予定または検討している自治体が7にのぼり、有料化を考えていないという自治体は6にとどまります。

 一方、その他プラ収集の有料化については、すでに有料化している自治体が3、有料化を検討中の自治体が6を数え、その理由として異口同音に「排出抑制」をあげています。

 すでに有料化しているのは、昭島市(2002年4月実施)、小金井市(2006年4月実施)、それに、一般廃棄物全体について徴収している奥多摩町(1955年7月実施)です。
料金については、昭島市と小金井市の場合、可燃ごみ・不燃ごみは同一料金に設定しています(ペットボトルは無料)。

 容器包装収集の有料化は、容器包装リサイクル法の見直し審議において論点の1つとなりましたが、すでにその他プラ収集有料化への兆しが見られます。既成事実が先行しているのは、一般家庭ごみ収集の有料化が進んでいる多摩地域の特徴といえます。


 プラスチック製品の処理方法の現状と変更意向

 容器包装以外のプラスチック製品の処理方法については、ごみ・環境ビジョン21で4年前に行った調査結果と比べて、資源化しているという自治体が8から15へとほぼ倍増し、反面、埋め立てているという自治体が25から17に減少しています。
焼却しているという自治体は、16から15と数の上ではほとんど変化が見られません。
た、処理方法変更の意向を聞いたところ、変更を予定または検討しているという自治体が4あり、そのすべてが埋立の中止を考えています。

 プラスチックごみの大半は容器包装ごみで、プラスチック製品ごみは全体の1割を占めるにすぎませんが、自治体は、埋立量をできるだけ減らすために、プラスチック製品の資源化にも目を向け始めたようです。


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