ごみっと・SUN53号
リサイクル率70%!

千代田区のオフィスビル
ハットリ・モリゾーが行く !
全国各地の
前向きな
環境の取組みを
紹介します。


 ごみは産業廃棄物(産廃)と一般廃棄物(一廃)に区分され、一廃には生活系と事業系があることは、ごみかん読者にとっては基本の「キ」。
「ごみっと」ではもっぱら生活系の家庭ごみを取り上げています。でも減少傾向の家庭ごみを横目に、ごみ量を押し上げ続けているのが事業系ごみ。
 今回のモリゾーは「事業系ごみ」を追いかけて、千代田区のオフィス街にある 『大手町ファーストスクエアビル』を訪ねました。

昼間人口95万人が出す事業系ごみ
 事業系ごみとは事業者が出すごみのうち、汚泥、廃油など廃棄物処理法で定めた21種類の産廃を除くものを指します。
同法では「事業者の責任で処理すること」「再生利用をして減量すること」「国や自治体の施策に協力すること」などが決められていますが、一廃に分類されている限り、持ち込まれる自治体にとっては大問題です。

 その最たる例が千代田区です。区民約4万人に対して、昼間人口は約95万人。
オフィスビルはもちろん、法改正に関わって度々訪れている環境省や議員会館などの官公庁も
千代田区にあります。事業用建築物は約36,000、そのうち約30,000が1,000u以上の大規模建築物です。

 区内のごみは、1990年度の29万トンをピークに上下しつつも、2002年度には15万トンと半減しています。
内訳は事業者自らまたは収集運搬業者に委託して処理施設に搬入する「持込ごみ」が12.3万トン、区の「収集ごみ」は2.7万トンです。
多くの自治体と同じく収集ごみには家庭だけでなく商店などの事業者から出るごみも含まれていますから、千代田区の事業系ごみの割合は95%。
環境省の02年度の統計で生活系と事業系の比率が67%対33%ですから並外れた数字といえます。

 区は大規模建築物に対し適正処理、廃棄物管理責任者の選任、再利用計画書の提出などを
義務付け、年間500ほどの事業所に立ち入って減量や分別指導を行なっています。
しかし、多数の事業者に向けた対策が万全な訳ではありません。

 区の担当者は「組成調査はしていないが、持ち込んだときに分かる。
規定はあるが、これまで公表や罰則を科したことはない」と話します。
事業所のごみ排出状況を確認できる収集事業者との連携や人手やコスト面で取組みが不十分な中小の事業所対策など課題は山積みです。

地下3階の広大なストックヤード
 大手町ファーストスクエアビルは23階建てのツインビル。コンコースの受付までは出入り自由ですが、そこから先はJRのSUICA(スイカ)のような通行カードがないと入ることはできません。
 東京海上梶ANTT、三菱マテリアルなどの大手企業や飲食店など22店舗を含む46の事業所に6,100人が就業しています。

 ビルの再利用計画書に書かれた再資源の種類は13項目、紙、缶、びんはさらに細分化さするので全部で20分別。テナントから排出されたごみは地下3階に運ばれます。
椛蜴闥ャファーストスクエア管理部の小林正人管理係長に案内されて部屋に入ると「圧縮機」の文字が目に飛び込んできました。
青色のトラックも横付けされています。容器が並ぶ「ごみ置き場」を頭に描いていたのでかなり衝撃でした。
生ごみや弁当ガラなどをリフトで吊り上げ上部より投入、コンパクターで圧縮してコンテナに押し込みます。

 割り箸、ライター、乾電池、陶器などの貼り紙の下には一斗缶が置かれ、覗いてみると見事に分別されていました。
総務部のリサイクル担当者が社内で分別指導、フロアーごとに管理部が委託した従業員を配置した上、さらに地下に持ち込んでからも点検するという徹底ぶり。

 新聞や段ボールのほか、オフィス用の紙類は上質紙、色上紙、ミックスペーパーなどに細分別されています。
また、冷凍庫内と同じマイナス5度に保たれた生ごみ専用の部屋にはスチール製の蓋付きバケツが整列しています。臭いは全くありません。

リサイクル率70%、ごみ量は微増
 公共施設顔負けの設備や分別の実態をみると、このオフィスビルが「区の優良リサイクル事業者ベスト7」に選ばれたのもうなずけます。
ただ、リサイクル率は右肩上がりで現在70.2%に達しましたが、ごみ量は入居者数や事業日数を勘案しても微増状態。
せっかく冷凍保管している生ごみも有明にある焼却施設で焼却とのこと、小林さんは「法律や都の条例で規制されれば別ですが、堆肥化などのリサイクルはコストが高い」と話します。
社員食堂が廃止され弁当ガラが増えるなどの要因も影響しています。

 また保険会社のパンフレットなどは、法改正によって約款が一部分変更になった場合、修正するより安価だという理由で、在庫分をすべて処分して刷り直してしまうそうです。
自販機の飲料やオフィスで飲むお茶も紙コップが増えているようです。
リサイクル委託業者であるテルウェル東日本鰍フ辻好昭さんは「紙コップは資源だが、ごみに混ざってから取り出すのは手間が掛かって経費的に無理」と排出時の徹底を強調していました。

 マイ弁当箱やカップの持参、デポジット自販機の導入など発生抑制や再使用の推進を望みたいところですが、ごみ処理費用は事業所の面積に応じた管理費に含まれるため、「減らせば得をする」ようになっていません。
社員への分別の徹底やお金をかけた快適なリサイクルから一歩踏み出し、減らした事業者にインセンティブを与えるしくみが求められています。

ごみかん理事 服部美佐子
  


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