この夏、容リ法改正に向け、国の審議が始まりました。
そんな折、HPで広島市の「110万人のごみゼロ宣言」をみつけました。ワケル君で有名な仙台市の「100万人のごみ減量大作戦」に続く政令指定都市での「プラスチックリサイクル」。 7月、広島を訪ね、市の職員にお話を聞き、リサイクル施設を見学してきました。
「ダイヤエコテック広島」は今年4月から稼動、ペットボトル1、リサイクルプラ2系列で手選別を行った後、梱包して再資源化業者への搬送まで保管しています。 手選別はベルトコンベアを挟んで立ち作業で行なわれていました。 流れてくる「リサイクルプラ」(プラスチック製容器包装)の中から、はじかれているのは「可燃性不適合物」と呼ばれる、プラスチックのスプーンやフォーク、歯ブラシなどの「その他プラ」(容器包装以外)です。 壁には見学者用にタバコの吸殻や中身がべっとりと付着したトレイやビニール袋など「出さないで下さい写真集」が掲示してあります。
新しい施設のせいか、臭いは思ったほどきつくありませんが、取り出したそれらの写真を見れば、大変な作業であることは明らかです。
市民はペットボトルとリサイクルプラスチックを各々袋に入れて同じ曜日に出します。多くの町で「マイバッグ持参、レジ袋削減」が盛んですが、広島ではレジ袋を有効に使おうと「デパート・スーパーなど市内の店舗には、市民がごみ袋として使えるように透明または半透明レジ袋の使用」を呼びかけています。「大半の店が応じている」(担当者)と言います。 厳しい手選別でしたが、市民の分別についてダイヤエコテック広島の担当者は「不適合物の混入率は一割ぐらいと予想していたが、4〜5%ぐらいで収まっている」と、まずは合格のようです。
広島市は静岡県沼津市と並んで、ごみ分別の歴史が古く、1976年から、すでに5分別を実施していました。 容リ法での分別収集はペットボトルが1998年にモデル地区、2001年4月から全市で回収を始め、04年4月からプラスチック製容器包装のリサイクルに踏み切りました。同じ政令指定都市では札幌、名古屋、仙台に次いで4番目です。
広島市は今年7月「110万人のごみゼロ宣言」を掲げ、02年度を基準にして08年までにごみの総排出量の20%削減を達成するため減量プログラムを組み立てました。
埋め立てていたプラ容器をリサイクルに踏み切らせたのはなぜでしょう。 理由を聞いたところ、「周辺住民の反対により次期埋め立て処分場建設が進まず、リミットが04年度末と迫っている現玖谷処分場を延伸して使い続けるしかない」(市環境局)という切実な事情が浮かび上がりました。 新しい区分では、不燃ごみを「リサイクルプラ」(容器包装)、「その他プラ」(容器包装以外)、「不燃ごみ」の3種類に分別、その他プラは市内の中工場で焼却処理されます。 03年9月から始まった収集変更の説明会は、分別指導をしている公衆衛生推進協議会の市民たちと行政との協働で町内会ごとに企画され、集合住宅対策として不動産業者やマンションの管理組合にも周知するなど計445回にのぼり、約25,000人の市民が参加しました。
広島市ではごみの増加に伴い処理経費も増大し02年度のごみ処理経費は総額約128億円で、一日当たりに換算すると約3,500万円です。今回6種類分別から8種類分別に変更になり、一日当たりの収集車の台数が174台から203台に増えたため、29台の増車に伴い人件費や諸経費などの負担増は確実です。 選別・保管施設は2000年度に民間事業者を公募し、潟_イヤエコテック広島が三菱重工工場敷地に23億円で建設しました。 環境局業務部の担当者は「土地購入費や用地選定など時間的制約の面で市独自の建設は無理だった」と当時を振り返ります。建設費は初年度の委託料が7億3千万円/年で、建設費は今後、委託費に含めて返済する予定になっています。
2004年度の処理予定量は容器包装プラスチックが約15,000t、ペットボトルは約2,400tです。4月から3ヶ月経ち、可燃ごみは前年度比93%に減量しました。
「110万人のごみゼロ宣言」についてはHPに詳しいですが、市民に会って話を聞いたところ、
ごみかん理事 服部美佐子 |