ごみっと・SUN 36号
特集 ● “ごみ”をめぐって本音でトーク

 

  4月に行われた統一地方選挙、皆さんのまちではいかがでしたか?

  ごみや環境はほとんど争点にはならなかったようですが、ごみかんな人々の中にも『ごみ』をいっとき休んで、ウグイス嬢で飛び回ったり、選挙事務所に通い詰めた人もいました。
議員の方々には、今後もごみ問題の解決に向けて市民の声をしっかり議会へ届けていただきたいと思います。

  そこで、今回の特集は市議の方々に登場いただき、収集方法の変更や施設の建替え、一部事務組合など地方自治体が抱えるごみの様々な課題について、議員として、どう考える、市民の声をどのように受け止めているか、本音で語っていただきました。
スピーカーは、清瀬市議のAさん、東大和市議のBさん、小金井市議のCさん、司会はごみっと(G)です。


日の出処分場がごみ問題の原点


 では、ごみ問題を絡めて自己紹介をお願いします。


 私が10年前に議員になった頃は、「燃えるごみ」、「燃えないごみ」ぐらいの分別しかなくて、しかも可燃ごみは毎日収集でしたね。
一期目の時、谷戸沢処分場の問題がクローズアップされ、日の出町の皆さんから陳情が出されたことがごみ間題を考える大きなきっかけになりました。
アルミ缶回収など消費者団体と一緒に活動していたので、働きかけていくうちに行政も資源化を始めたり、変わっていきました。

 Aさんと同期ですが、当時は「ごみ問題=環境問題」という意識はなくて、リサイクルということばがやっと話題になるような時代でした。
10年前、日の出処分場を扱った映画「水からの速達」の上映会をしたのがきっかけで、東大和でも少しずつごみに対する関心が広がっていきました。
ダイオキシンが問題になった頃、3市にまたがるごみ問題に取組むグループを作りました。 「事業系」「家庭系」という認識もない中で行政に分別を訴えかけ、牛乳パック、アルミ缶、スチール缶を回収するボックスが作られました。

 私は6年前に議員になって、ちょうどその時に、小金井市議会では処分組合に対し『谷戸沢処分場の汚水漏れ調査を要請する』意見書を提出したんです。そうしたら「意見書を出すなら、処分場にごみは入れさせない」という管理者のコメントが出され、議長が日の出まで謝りに行くなど、新聞でもかなり取り上げられました。
 それまでも個人的にはごみに配慮した生活をしてはいましたが、議員という立場になつて、ごみを出す側の自治体として日の出処分場問題を議論する中で、一部事務組合である処分組合と小金井市の関係など、ごみに関わるいろんな課題が見えてきましたね。


 皆さんの共通の出発点は、やはり日の出処分場問題と言えますね。



焼却施設の建て替えをめぐって


 焼却施設は、地方自治体にとって重要課題ですが、どのような状況になっていますか?


 小金井市は、隣接している府中市、調布市と二枚橋衛生組合という一部事務組合をつくって焼却炉を共有しています。場所は小金井市の東町で野川公園のはずれです。
 この炉は“日本最古”と言われるぐらい古くて(笑い)1967年から稼動してて、もちろん建替える時期に来てるんですけどね…。
調布市は三鷹市と一緒にガス化溶融炉を建てる計画で、とにかく二枚橋から抜けたがっていますが、反対住民の声が強くて、いつ抜け出せるか分からない状態です。
 小金井は貧乏なので(笑い)財政的に単独の建替えは難しく、せめて府中市と手を組みたいのですが、府中市はごみの半分を多摩川衛生組合で燃やしていて、いざとなったら全量、持ち込むなんて言っているみたいです。三市の出方を窺うしかない小金井市は情けないですね。

 東大和は小平市、武蔵村山市と小村大(小平・村出・大和)衛生組合を構成していて、同じ焼却施設を使っています。
平成18年に建替えるという計画に、三市の住民から出された陳情が採択されて「待った!」がかかり、15年も先送りになったんです。そんな先では、もう議員はやってないと思いますが(笑い)、計画自体がなくなったというより、猶予期間ができた状態になっています。
 “延命”という投げ返されたボールをどう受け止めるか、市民にとっても、私たち議員にとっても大事な時期に来ています。

 清瀬市は東久留米、西東京市と柳泉園組合に入っています。柳泉園は、不燃ごみとして収集していたプラスチック類を焼却していたことが、99年に大々的に報道されて、大騒ぎになりました。
 2000年に新炉ができて、しばらくしてから、ストップしていたプラスチック焼却が再開してしまいました。
東村山市の地元住民との協定で、第二工場を停止し、公園にするという取り決めがあったため、新炉建設になったのですが、今度は、前の炉を廃炉にするという新たな問題が持ち上がっています。
 ダイオキシンなど有害物質の塊である旧炉を安全に解体するには、莫大なコストが掛かる訳ですが、建てる時だけではなく、壊す時にも国から補助金が出ないのか、東京都を通じて働きかけをしています。


余裕のある焼却炉に入れてもらう?

 府中市のごみを半量も持ち込んで焼却している多摩川衛生組合には、国立市のごみも入っていて、まだまだ余裕があると言われています。
自区内処理を逸脱する、周辺地域の環境汚染、意識が低下するなど課題はいろいろありますが、容量の余っている炉を他市で利用するという考えはいかがですか。そうすれば、建替え問題はクリアーできますよね。

 小村大の焼却をすべてどこかの施設に依存するというのは量的に無理だと思いますが、三市の間で連携がとれてきているので、生ごみ堆肥化施設やリサイクルセンターなど、ごみ関連施設を三市で分担していくという考えはありますね。
国分寺市も延命していますが、立川市が新炉にしたら、そちらに入れるつもりだと聞いたことがあります。そんな簡単な話なら、うらやましいですよね。東大和市も入れてもらおうかしら。(笑い)

 柳泉園は少なくとも新炉なので、逆に他市からごみが持ち込まれるとなると、東村山市との市境に建っているので、地元の住民が承知しないと思いますね。
それと、一部事務組合の弊害は、住民自治とかけ離れてしまうことで、後から次々と自治体が加われば、ますます難しくなるのではないでしょうか。

 自区内処理の原則はわかりますが、二枚橋の焼却炉でもどこでも、煙公害とか、近くに住む人には大問題ですが、小金井市民の中に、ごみがどこで燃やされているか知らない人はたくさんいます。
ごみ減量を周知徹底させる、ということに関して、市内に焼却炉があっても、多摩川衛生組合で燃やしても、啓発する上では、あまり関係ないのではないでしょうか。
  分担金というお金が付いて来るんですから、多摩川衛生組合みたいに容量の余っている自治体はごみがもっと欲しいと思うけど。小金井市もお世話になれば建替え問題もなくなるのに(笑い)。


迷惑施設への気配り

 地元というのは市の中でも限られた地域で、ごみ処理施設といえば迷惑施設ですから、他の地域とは違う気配りなどもあるようですが。


 小村大では、小平市の中島町の10自治会と立川市の2自治会が地元で、事務組合、三市の担当と連絡協議会を作っていて、自治会の方々は「新しい炉に建替えて」と言っています。
より安全な炉を作って欲しいということもありますが、お湯を各戸に配って欲しいとか、電気代を安くして欲しいとか(笑い)地元還元の要望もありますね。

 二枚橋は窪地に立地しているうえ、調布飛行場の関係で煙突が低いので、主に坂の上に住んでいる住民から「洗濯物が黒くなる」とか、苦情が出ています。目の前に煙突って強烈ですからね。還元施設なんてどうでもいいから、どっかに行ってって!、感じですよね。(笑い)

 柳泉園は東村山と東久留米の市境にあります。初めから、反対同盟を作って座り込みなどの運動をしていたようです。
やはり焼却炉は昔も今も迷惑施設ですから、住民側はそれを還元するためのものを要求する、行政側は施しをする…というのは変わってなくて、前からあるスポーツ施設やプールに加えて新炉のときはお風呂を作ったんですよ。


悩ましい“プラスチック”

 先ほど、柳泉園でプラスチックが焼却されているという話が出ていましたね。一方で、容器包装リサイクル法によるプラスチックの資源化が始まっていますが、コストが高い、分別が大変など問題もあります。
燃やしても、リサイクルしても厄介なプラスチックごみについてお聞かせください。

 柳泉園ではプラスチックは不燃ごみとして集めていますが、軟質プラスチックは焼去、硬質プラスチックは埋め立てをしていることになっています。
軟質・硬質というだけで、本当のところは良く分からないのが、現状ですけど。 燃やしてしまうのに、なぜ不燃ごみとして集めているのか、市民は不満ですが、行政は容リ法で分別するため、と答えています。
 2005年には容り法に則ちて、リサイクルすることが決まって、現在、容リ法対応のための施設をどうするか、という話になっています。今あるリサイクルセンターでは狭くて無理ということで、用地を探していますが、土地が高くて、交渉は難航しています。
 容リ法対応のプラスチックの資源化が、ほんとに2005年に始まるのかという疑問も出ています。私はいろいろな所を視祭して、民間委託も含めて、柔軟な対応を考えた方がいいと提案しています。

 二枚橋は先ほども言ったように、古いのでだまし騙し使っています。(笑い)これ以上ごみの量が増えるのはとても無理ですから、プラスチックを燃やしたくても燃やすことができません。(笑い)
小金井市では不燃ごみとして集めて、半分は固形燃料化をして、北海道の製紙工場で燃料として燃やしています。資源化とか、リサイクルとか言っても、遠くへ運んで燃やすのと近くの焼却炉で燃やすのとどこが違うの、という疑問もありますね。
 容リ法対応では、行政側は今の中間処理場をリサイクルプラザに改築したいという計画を持っていますが、地元の住民が過大な施設は困ると言っています。

 プラスチックは不燃ごみとして集めていますが、焼却場に運ばれた時点で、“破砕可燃”と呼んで燃やしています。



 「はさいかねん」〜〜!!!?(笑い)


 風で飛ぶ軽いプラスチックは、小さく刻んで可燃ごみと一緒に燃やしてしまうんですが、プラスチックの材質などはどうでもいいんですね。とにかく軽いものは燃やすということで、90%は燃やしてます。
炉を延命するのにあたってバグフィルターを取り付けたんで、安心して燃やしてるかもしれないけど、出てくるダイオキシンの総量が減るわけではないですよね。
 それに容リ法対応は三市がバラバラで、小平市では硬質系のプラスチックボトル、白色トレイなどを、分けて収集していますが、他の軟質のプラスチック類はすべて可燃ごみに入れることになっています。
 東大和市は一部の地域だけ、容器プラスチックの分別を実験的に始めたばかりで、ほとんどが不燃ごみです。
同じ炉を使っている三市を比べただけでも、ごみの分別やごみ質が違いますから、共同で使用する資源化施設の場合はなおさら、足並みを揃えないと厳しいですね。

 先ほどの他の焼却施設を使うという話に戻りますが、多摩川衛生組合は一定の大きさ以上のプラスチック類はすべて可燃ごみですから、後から、搬入する自治体との分け方は違っていますし、容リ法どころか、なし崩し的に何でも燃やしてしまおう、ということになったら大変です。


一部事務組合は変わった?


 話を伺っていると、これまでの一部事務組合が少し変わってきているようですが、どうですか?


 「不燃ごみのプラスチックを焼却!」の衝撃と影響は、すごかったですね。それまで柳泉園組合は閉鎖的だったんですが、組合と各々の市との情報交換を密にするようになりました。
 また柳泉園が中心になって三多摩地域で一部事務組合の情報公開条例についての協議が始まり、真っ先に条例を作りましたね。
 議会もそれまでは何を決めるにも「シャンシャン」が多かったのですが、たまたま私が担当議員になってからは、市民から毎回のように陳情が出されるので、夕方の6時、7時まで一日中話し合うようになりました。
 市民運動側からの刺激はすごい効果があったと思いますよ。プラスチック焼却など問題は山積みですが、組合自体は少しずつ風通しがよくなってきたのではないでしょうか。

 二枚橋は、施設の建て替えについては三市ともバラバラですけど、このところ三市とも一期、二期の新しい市長に代わったので、閉塞状態を抜け出せるのではないかと少し期待しています。
 組合議会では各々、市の内情までは話し込めないのですが、三市の市民が会を作って交流するようになってから、いい意味で刺激になりました。議員の中にも長年の誤解が解けたという方もいました。
 三市の市民や議員が情報交換をして、連携をとって請願などを組合議会に出していければいいですね。

 小村大については、何しろ今回の建替え15年延長の決断は、三市の市民が結束して共同提案をしたおかげですからね。小村大組合もすっかり気が楽になったのか「プラスチックは90%燃やしてます!」なんて、平気で言っています。情報公開すれば何してもいいってわけではないんですけど。(笑い)
 組合の職員との信頼関係はできてきましたね。各々の地域で地道に活動を続けてきた市民が組合議会に提起していくことは重みがありますし、事務組合を動かしていくと思います。

 最後になりますが、課題も含めて、議員としてごみ問題を解決していくにはどうしたらいいか、お聞かせください。


 私は、小村大の議会では担当の議員でもあるので、施設の問題も含めて、三市の市民の力を借りて、循環型社会に向けた新しい動きを作っていけたらと思います。
 それと、家庭系より事業系ごみがいい加減で、量も増えていますから、きちんとチェックをして、減量計画を出させるなどの指導を議会で申し入れたいと思いすね。

 二枚橋の施設のことは、足踏み状態ですけど、小金井市は行政も市民も減量するために結構がんばっていると思います。…って、たまには誉めないと・・・(笑い)
 給食など生ごみの堆肥化も少しずつ進んでいます。少し先の話ですが、庁舎内でのグリーン購入とか、市民に対してはグリーンコンシューマーになろうとか、学校での環境学習など、消費構造を変えていくために行政ができることを働きかけていくつもりです。
 今年はごみ処理計画の見直しをする年なので、熱心な市民はもちろん、たくさんの市民が参画して、施設のこともリンクさせて、見直しができればと思っています。
 事業系ごみでは、担当職員を増やしたというので、期待してます。大規模事業所の減量計画や報告書なども、そこ出身の議員であれば、ちゃんと対応してませんからね。利害関係のある議員じや問題にしにくいでしょうし、私たちの出番ですね。

 清瀬はごみの有料化をして、少しずつですが、ごみは減っています。有料化の効果は確かにありますが、他の方法はなかったのか、と思います。
 議員としては、容リ法対応のプラスチックの資源化に向けてあまりお金をかけず、柔軟に取り入れられる方法を先進事例などを検討しながら提案していきたいですね。


 ごみ行政のあり方、関わり方も変わってきてますね。


 今までの10年というのは、減量にしてもリサイクルにしても提案できたし、それなりの変化があったのですが、これからは難しいですね。
有料化にしても職員は説明しないといけないので、勉強して新しい情報を持って対応するようにはなってきましたね。

 これまでの対立型ではなく、対話型で進めていく時代だと思います。ごみ対策課の職員も学校に出向いて収集の大変さや分別の大切さを説明したり、住民の中に入って話をしたりする機会も増えてますね。

 ごみの担当職員というのは、これまで苦情処理係みたいだったんですけど、いまや環境行政の花形になりつつありますよね。
収集変更の説明だって、情報を持ってないと質問にも答えられないし、新しい取り組みだってまだまだ導入できるやりがいのある職場ですよ。反面、従来のことだけをこなしているだけではすまないと思いますね。

 前向きなお話が出たところで、終わらせていただきます。これからもご活躍を期待しています。ありがとうございました。

<まとめ ごみかん理事:服部 美佐子>