特集 ● “ごみ”をめぐって本音でトーク
4月に行われた統一地方選挙、皆さんのまちではいかがでしたか?
ごみや環境はほとんど争点にはならなかったようですが、ごみかんな人々の中にも『ごみ』をいっとき休んで、ウグイス嬢で飛び回ったり、選挙事務所に通い詰めた人もいました。
そこで、今回の特集は市議の方々に登場いただき、収集方法の変更や施設の建替え、一部事務組合など地方自治体が抱えるごみの様々な課題について、議員として、どう考える、市民の声をどのように受け止めているか、本音で語っていただきました。
では、ごみ問題を絡めて自己紹介をお願いします。
一期目の時、谷戸沢処分場の問題がクローズアップされ、日の出町の皆さんから陳情が出されたことがごみ間題を考える大きなきっかけになりました。 アルミ缶回収など消費者団体と一緒に活動していたので、働きかけていくうちに行政も資源化を始めたり、変わっていきました。
10年前、日の出処分場を扱った映画「水からの速達」の上映会をしたのがきっかけで、東大和でも少しずつごみに対する関心が広がっていきました。 ダイオキシンが問題になった頃、3市にまたがるごみ問題に取組むグループを作りました。 「事業系」「家庭系」という認識もない中で行政に分別を訴えかけ、牛乳パック、アルミ缶、スチール缶を回収するボックスが作られました。
それまでも個人的にはごみに配慮した生活をしてはいましたが、議員という立場になつて、ごみを出す側の自治体として日の出処分場問題を議論する中で、一部事務組合である処分組合と小金井市の関係など、ごみに関わるいろんな課題が見えてきましたね。
皆さんの共通の出発点は、やはり日の出処分場問題と言えますね。
焼却施設は、地方自治体にとって重要課題ですが、どのような状況になっていますか?
この炉は“日本最古”と言われるぐらい古くて(笑い)1967年から稼動してて、もちろん建替える時期に来てるんですけどね…。 調布市は三鷹市と一緒にガス化溶融炉を建てる計画で、とにかく二枚橋から抜けたがっていますが、反対住民の声が強くて、いつ抜け出せるか分からない状態です。 小金井は貧乏なので(笑い)財政的に単独の建替えは難しく、せめて府中市と手を組みたいのですが、府中市はごみの半分を多摩川衛生組合で燃やしていて、いざとなったら全量、持ち込むなんて言っているみたいです。三市の出方を窺うしかない小金井市は情けないですね。
平成18年に建替えるという計画に、三市の住民から出された陳情が採択されて「待った!」がかかり、15年も先送りになったんです。そんな先では、もう議員はやってないと思いますが(笑い)、計画自体がなくなったというより、猶予期間ができた状態になっています。 “延命”という投げ返されたボールをどう受け止めるか、市民にとっても、私たち議員にとっても大事な時期に来ています。
2000年に新炉ができて、しばらくしてから、ストップしていたプラスチック焼却が再開してしまいました。 東村山市の地元住民との協定で、第二工場を停止し、公園にするという取り決めがあったため、新炉建設になったのですが、今度は、前の炉を廃炉にするという新たな問題が持ち上がっています。 ダイオキシンなど有害物質の塊である旧炉を安全に解体するには、莫大なコストが掛かる訳ですが、建てる時だけではなく、壊す時にも国から補助金が出ないのか、東京都を通じて働きかけをしています。
自区内処理を逸脱する、周辺地域の環境汚染、意識が低下するなど課題はいろいろありますが、容量の余っている炉を他市で利用するという考えはいかがですか。そうすれば、建替え問題はクリアーできますよね。
国分寺市も延命していますが、立川市が新炉にしたら、そちらに入れるつもりだと聞いたことがあります。そんな簡単な話なら、うらやましいですよね。東大和市も入れてもらおうかしら。(笑い)
それと、一部事務組合の弊害は、住民自治とかけ離れてしまうことで、後から次々と自治体が加われば、ますます難しくなるのではないでしょうか。
ごみ減量を周知徹底させる、ということに関して、市内に焼却炉があっても、多摩川衛生組合で燃やしても、啓発する上では、あまり関係ないのではないでしょうか。 分担金というお金が付いて来るんですから、多摩川衛生組合みたいに容量の余っている自治体はごみがもっと欲しいと思うけど。小金井市もお世話になれば建替え問題もなくなるのに(笑い)。
より安全な炉を作って欲しいということもありますが、お湯を各戸に配って欲しいとか、電気代を安くして欲しいとか(笑い)地元還元の要望もありますね。
やはり焼却炉は昔も今も迷惑施設ですから、住民側はそれを還元するためのものを要求する、行政側は施しをする…というのは変わってなくて、前からあるスポーツ施設やプールに加えて新炉のときはお風呂を作ったんですよ。
燃やしても、リサイクルしても厄介なプラスチックごみについてお聞かせください。
軟質・硬質というだけで、本当のところは良く分からないのが、現状ですけど。 燃やしてしまうのに、なぜ不燃ごみとして集めているのか、市民は不満ですが、行政は容リ法で分別するため、と答えています。 2005年には容り法に則ちて、リサイクルすることが決まって、現在、容リ法対応のための施設をどうするか、という話になっています。今あるリサイクルセンターでは狭くて無理ということで、用地を探していますが、土地が高くて、交渉は難航しています。 容リ法対応のプラスチックの資源化が、ほんとに2005年に始まるのかという疑問も出ています。私はいろいろな所を視祭して、民間委託も含めて、柔軟な対応を考えた方がいいと提案しています。
小金井市では不燃ごみとして集めて、半分は固形燃料化をして、北海道の製紙工場で燃料として燃やしています。資源化とか、リサイクルとか言っても、遠くへ運んで燃やすのと近くの焼却炉で燃やすのとどこが違うの、という疑問もありますね。 容リ法対応では、行政側は今の中間処理場をリサイクルプラザに改築したいという計画を持っていますが、地元の住民が過大な施設は困ると言っています。
「はさいかねん」〜〜!!!?(笑い)
炉を延命するのにあたってバグフィルターを取り付けたんで、安心して燃やしてるかもしれないけど、出てくるダイオキシンの総量が減るわけではないですよね。 それに容リ法対応は三市がバラバラで、小平市では硬質系のプラスチックボトル、白色トレイなどを、分けて収集していますが、他の軟質のプラスチック類はすべて可燃ごみに入れることになっています。 東大和市は一部の地域だけ、容器プラスチックの分別を実験的に始めたばかりで、ほとんどが不燃ごみです。 同じ炉を使っている三市を比べただけでも、ごみの分別やごみ質が違いますから、共同で使用する資源化施設の場合はなおさら、足並みを揃えないと厳しいですね。
話を伺っていると、これまでの一部事務組合が少し変わってきているようですが、どうですか?
また柳泉園が中心になって三多摩地域で一部事務組合の情報公開条例についての協議が始まり、真っ先に条例を作りましたね。 議会もそれまでは何を決めるにも「シャンシャン」が多かったのですが、たまたま私が担当議員になってからは、市民から毎回のように陳情が出されるので、夕方の6時、7時まで一日中話し合うようになりました。 市民運動側からの刺激はすごい効果があったと思いますよ。プラスチック焼却など問題は山積みですが、組合自体は少しずつ風通しがよくなってきたのではないでしょうか。
組合議会では各々、市の内情までは話し込めないのですが、三市の市民が会を作って交流するようになってから、いい意味で刺激になりました。議員の中にも長年の誤解が解けたという方もいました。 三市の市民や議員が情報交換をして、連携をとって請願などを組合議会に出していければいいですね。
組合の職員との信頼関係はできてきましたね。各々の地域で地道に活動を続けてきた市民が組合議会に提起していくことは重みがありますし、事務組合を動かしていくと思います。
それと、家庭系より事業系ごみがいい加減で、量も増えていますから、きちんとチェックをして、減量計画を出させるなどの指導を議会で申し入れたいと思いすね。
給食など生ごみの堆肥化も少しずつ進んでいます。少し先の話ですが、庁舎内でのグリーン購入とか、市民に対してはグリーンコンシューマーになろうとか、学校での環境学習など、消費構造を変えていくために行政ができることを働きかけていくつもりです。 今年はごみ処理計画の見直しをする年なので、熱心な市民はもちろん、たくさんの市民が参画して、施設のこともリンクさせて、見直しができればと思っています。 事業系ごみでは、担当職員を増やしたというので、期待してます。大規模事業所の減量計画や報告書なども、そこ出身の議員であれば、ちゃんと対応してませんからね。利害関係のある議員じや問題にしにくいでしょうし、私たちの出番ですね。
議員としては、容リ法対応のプラスチックの資源化に向けてあまりお金をかけず、柔軟に取り入れられる方法を先進事例などを検討しながら提案していきたいですね。
ごみ行政のあり方、関わり方も変わってきてますね。
有料化にしても職員は説明しないといけないので、勉強して新しい情報を持って対応するようにはなってきましたね。
収集変更の説明だって、情報を持ってないと質問にも答えられないし、新しい取り組みだってまだまだ導入できるやりがいのある職場ですよ。反面、従来のことだけをこなしているだけではすまないと思いますね。
<まとめ ごみかん理事:服部 美佐子> |