『焼却施設の広域連携体制を考える 
〜更新時期を迎えた施設のこれからの選択〜』


2010年10月16日開催 
ごみかんの 市民ごみ大学セミナー


 ごみ大学セミナー
「焼却施設の広域連携体制を考える」開催にあたって

■過大な焼却施設、元凶は予備炉


 これまで、全国のほとんどの自治体(一部事務組合を含む)が過大な焼却施設をつくってきました。その理由の一つとして、ごみ量の過大見積もりがあげられますが、最大の理由は、年に1度の点検補修や突発事故に備えて、本体と同じ規模の予備炉をつくるのが一般的になったことにあります。
 これに対し、東京二十三区清掃一部事務組合の場合は、21カ所の清掃工場を一体的に運営していて、点検補修や突発事故や更新のため操業を休止する時には、ごみを他の工場に搬入できることから、予備炉は42基ある焼却炉のうち1基に過ぎません。
 2008年度の焼却施設の稼働率(1日当たり焼却量÷1日当たり焼却能力×100)を見ると、全国1,269施設の平均が54%であるのに対し、東京23区21施設の平均は64%と全国平均を上回っています。(東京多摩地域19施設の平均は53%。)

■今が広域連携体制を作り、予備炉を見直す時

 全国の自治体の焼却施設(休止中を含む)の稼働年数を見ると、2010年度時点で、30年以上が165施設、25〜29年が161施設、20〜24年が194施設となっており、焼却施設の耐用年数を30年と想定すると、すでに耐用年数が来ている施設や、5年以内、10年以内に耐用年数が来る施設が520施設にのぼります。東京多摩地域には、このような施設が14施設もあります。
 多くの施設が更新時期を迎えようとしている今こそ、緊急時や更新時はもちろん、点検補修時にも互いに支援しあえる広域連携体制を作り、予備炉を見直すチャンスです。
 このため、今回の市民ごみ大学では広域連携について考えることにしました。幸い、清掃工場の職員や市議会議員の方々も多数参加してくださいました。

■広域連携は広域化とどう違うのか?

 広域化(集約化・大型化)は、複数の施設を1カ所に統合するもので、それによって建設費やランニングコストが節減され、熱回収を効率化できる反面、建設地周辺の住民の理解が得られない、収集ごみの輸送距離が延びる、大きな予備炉が必要になるといった問題があります。ただし、小規模で非効率的な施設の場合は広域化を考える必要があります。
 一方、広域連携は、複数の施設が単独処理を基本としながら、緊急時や点検補修時や更新時に互いに支援しあうもので、焼却炉の縮小が可能となります。

■東京多摩地域の場合

 東京多摩地域の市町村と一部事務組合は、1994年に「多摩地域ごみ処理広域支援体制実施要綱」をつくり、「多摩地域ごみ処理広域支援体制実施協定」を結びました<いずれも巻末に掲載>。協定書では広域支援の対象を、予測できない緊急事態に陥った場合や、予め計画された定期点検、改修、更新・新設を行う場合と定めています。
 2007年3月に、小金井市の可燃ごみを焼却処理していた二枚橋衛生組合(調布市・府中市・小金井で構成)の施設が老朽化のため閉鎖されたことに伴い、多摩地域の各施設は、協定に基づいて小金井市のごみを受け入れています。
 多摩地域では、このような緊急時だけではなく、点検補修時などにも支援しあえる枠組みができているのですが、実現には至っておらず、それを具体化するための話し合いを始めることが、更新計画の策定と併せて急務となっています。

【基調講演】
◆ 焼却処理の現状と課題 〜多摩地域を例として〜
    明星大学理工学部総合理工学科教授 宮脇健太郎さん

【事例報告】
◆東京23区のごみ処理の現況と施設整備計画
    東京二十三区清掃一部事務組合企画室長 柳井薫さん


【質疑応答・意見交換】 
 会場参加者から各講師に対する様々な質問とそれに対する丁寧な応答が9ページにわたって記載されています。

【資料】
◆ 多摩地域焼却施設データ(平成20年度)(宮脇教授作)
◆ 多摩地域ごみ処理広域支援体制実地要綱
◆ 多摩地域ごみ処理広域支援体制実施協定書

A4版48ページ 頒布価格500円 送料82円
ご注文は、ごみ・環境ビジョン21事務局まで