ごみっと・SUN63号
容器包装削減!活動交流会2007

どこまで可能か?容器包装の3R
メーカー、スーパーの取り組み事例紹介
ごみかん理事 江川美穂子


 今年の活動交流会は、食品・飲料・日用品メーカーと流通から、5社の担当者をお呼びして、
より具体的な報告の数々を聞くことができました。
パワーポイントによるディスプレーには日頃よく目にするおなじみの商品が続々と登場。
環境配慮商品の開発と消費者ニーズに悩む話など、担当者ならではの報告もあり、あっという間の3時間でした。

 あいにく台風が近づき雨足の強まる中、新聞5紙にお知らせが掲載されたこともあって、初めての参加の方も多く、『環境保全、容器包装削減等に積極的に取り組む企業が着実にふえている。
このような企業との交流会は大変有意義であり、今後も企画して頂きたい』といった高い評価をいただきました。

 交流会の最後には、難リサイクル品となっているマルチパック問題も取り上げ、さらにマイバッグのプレゼント(いなげやさんより)もあり!で、充実した交流会となりました。



ハウス食品からの発表
ハウス食品
ソマテックセンター容器開発部

橋本 政明 さん

容器包装設計のポイント
 容器包装の3大機能は…
 @内容物の保護
 A取扱いの利便
 B情報の提供
これらを達成するために、いろいろな材料、部品を組合せて容器包装が成り立っている。
例えばカレーのルウ。
酸素や匂いの染み出しを防ぐため、5種類の材料で7層の構成となって食品を保護している。


商品設計は4R+廃棄性向上
 包装資材の省資源化・環境に配慮した包装資材開発改善には、目標を立てて取り組んでいる。
06年は25件の改善、523トンの省資源化を実現した。
指針(エコガイド)に沿って次のような4R+廃棄性向上に向けて設計している。

@ Reject…塩素系素材不使用
 代替として→一味のシュリンクフィルム
        →ラーメンの液体スープフィルムなど

A Reduce…省資源・廃棄量削減
 部品数削減→ラーメンの調味オイル廃止
         →シチューの具材と顆粒の統合
 より軽薄短小に→フィルム・容器肉薄化、袋・外箱サイズ縮小
 外箱・ダンボール箱軽量化(のりしろ部分の縮小)
 スパイスのキャップの3つの部品をひとつに

B Reuse…詰め替え製品=スパイス各種

C Recycle…リサイクル原料の活用
 ルウ容器の打抜き屑の利用
 ペットボトルの製造中のロスから卵パックに利用 D廃棄性の向上
 分別しやすい、解体・減量化しやすい設計
 例:六甲のおいしい水2リットルボトル
  *容器の軽量化(87グラム→57グラム→49グラム→45グラム)で片手でもつぶせる
  *・容器が薄くても持ちやすいようくびれをつけた
  *ラベルにミシン目



キリンビールからの発表
キリンビール叶l事総務部

幸 智道 さん

キリンビールの容器包装の状況
 2006年のビール系飲料容器別売上げ構成比は、リターナブル容器25.9%(びん12.9%、樽13.6%)、ワンウェイ容器74.1%(アルミ缶73.9%)で全体の4分の3がアルミ缶。

Reduceの取組み
 ◆軽量リターナブル大びんの導入
  (93年開始03年6月切り替え終了)605グラムから475グラムへ(21%重量減)胴径は1.7ミリ減少、
  輸送効率12%向上
 ◆アルミ缶の軽量化
  上蓋の口径を小さくした「204缶」を採用(サントリーとの共同調達)。
  胴部の肉薄化も。「209缶」に比べ26%の軽量化で年間約2.6万dのアルミ資源の節約
  (東京都の全家庭の消費電力約3.8日分相当のアルミ缶地金製造エネルギーの節約)

アルミ缶軽量化の推移
缶の種類209缶206缶204缶
ふたの重さ5.3g3.9g3.1g
缶の重さ20.5g18.6g15.2g

 ◆ペコロジーボトルの開発(キリンビバレッジ社)
  国内最軽量42グラムの2リットルペットボトル。角ばった平板状から丸みを帯びた蛇腹式に。

 ◆コーナーカットカートン
  ダンボール箱の四隅を切り落とし、角を面にすることで紙の削減効果がある。

  6缶パックと24缶入りバラタイプの売分け(箱単位のまとめ買いを店頭でPR)

Reuseへの取組み
 ◆リターナブルびんは74年から容器保証金制度(びん5円/本、P箱200円/箱)が採用され、
  販売店を通じてビール工場へ戻されている
 ◆リターナブル制度にふさわしい商品の条件は
  @消費者が購入すること
  A一定量の販売量が見込めること
  B空きびんの回収が見込めること

Recycleへの取組み
 ◆アルミ缶のリサイクル率は05年度で91.7%。このうち57.3%がアルミ缶として再生されている
 ◆ガラスびんのカレット利用率は、06年度で94.5%
  主に原料用(40%)や道路用(58%)に使用されている。



味の素からの発表
味の素滑ツ境・安全部

島 和美 さん

容器包装における環境配慮の事例紹介
 91年「容器包装エコインデックス」を策定し10項目について点数評価している。

 そのポイントは「何のための評価なのかを商品開発担当者に意識してもらう」「3Rにとらわれないさまざまな視点を盛り込んだ」「時代の半歩先を行く評価内容である」ということ。
現在7回目の改訂中。

 策定当時、エコインデックスを反映した商品を開発したが、思いが先走り、売れずに2年で販売終了になった商品もある。
商品作りをする時に一番難しいのは、消費者ニーズを掴みつつ、企業としての商品づくりの思いも伝えたい、同時に中身を保持する容器の機能を満たす、など全てのバランスをとらなくてはならないことである。

Reduce
 包材重量削減・軽量化・薄肉化(ガラスびん117t/年削減、プラスチックボトル20%重量削減、など)
 小型化・簡素化・層構成変更・形態変更

Reuse
 詰め替え商品の推進(07年度に品種を増加)
Recycle
 減容化(プラスチックボトルの易潰化、紙箱の易折り畳み化)
 異素材易分離(ガラスびんとプラスチックキャップ、カラスびんと紙ラベル)

食生活事情と食品の容器包装
 国税調査によると日本の世帯の半数が少人数世帯、主婦の半数が有職という時代。
これによって、小容量サイズ、小分け商品の要望が増加、“家事専業”から“家事パートタイム化”で、手作りすることから中食、外食の活用が増加している。

 食品の容器・包材に求める事項として、05年、アンケート調査をした。
最近は男性の声が多くなってきている。

今後の取組み
 今年、「味の素(株)容器包装3R推進計画」を策定し、全素材に対して3Rを進めていく。
特に2010年度(2004年度比)にプラスチック3%、紙2%削減の数値目標を挙げている。
食品メーカーとしては、おいしさを届けることがまず一番。
バランスをとりつつ、消費者の皆さんとコミュニケーションをとって進めていきたい。

 



ライオンからの発表
ライオン鰍bSR推進部
環境保全推進室

岡田 淳吾 さん

「ECOLION」活動
 商品を通じた環境配慮「ライオンエコ基準」を設定している。
評価項目はLCA(ライフサイクルアセスメント)の視点と環境負荷の低減で、ポイントはCO2の削減、資源の循環、水環境にやさしいということ。

Reduce…使用量削減
   洗濯洗剤“トップ"の1回の洗剤使用量
  40g(80年)⇒25g(88年)⇒20g(現在)
  容器の重さ76%減、使用量50%減
   歯磨き
  横型から外箱なしチューブの縦型へ など

Reuse…詰め替え
 シャンプー7割以上、洗剤8割以上が詰め替え。

 パウチは現実的には汚れが取りにくいので、容リ法に乗せるのがむずかしい。
 

Recycle…再生材料の活用
 古紙、再生PET樹脂、再生樹脂の利用促進
 廃家電から回収した再生樹脂で洗剤用スプーンなど。



スーパーマーケット『いなげや』からの発表
いなげや 社長室

橋本 和己 さん

 環境にやさしい商品は現在304品目取り扱っていて、毎年3〜5%ずつ増やしている。
企業の環境活動は、企業の価値を上げていく活動。
だが、企業にとっては利益を出し続けることが大前提。

レジ袋有料化スタート
 07年8月1日から杉並区1店舗、日野市2店舗でスタート。
初日から80%近いマイバッグ持参率で、週ごとに1ポイントずつ上昇。
9月末には3店舗平均で81%となった。

 グラフの折れ線…
 日野市・日野駅前店  日野市・栄町店  杉並区・新高円寺手店  3店舗の合計

*日野市の2店舗とも日野駅から数分の場所。
日野栄町店は昨年のオープン時にマイバッグを配布、もともと全店で一番高いマイバッグ持参率の店。

*杉並区新高円寺店は駐車場なしの地域密着店

 曜日別では土日が落ちる(特に日曜日)。
時間別では4時で下がり6時過ぎると一気に落ちる。


時間帯別

曜日別

今後のレジ袋有料化検討
 有料化は、やれば確実に効果がある。
「チーム・マイナス6%推進チーム」を社内に置き、CO2削減をシュミレーションした。
一番大きいのが照明、2番目がレジ袋。レジ袋削減の効果は大きい。

 しかし、例え3%でも売上げが落ちては年間800〜1000万円の利益損失となる。

 今後の有料化検討への社内の決め事として
  @ 熱心な自治体・市民団体の応援がある
  A レジ袋持参率が高い
  B ごみ収集を有料化している自治体
  C 売り上げ減が小さい
  D すでに他社が有料化している自治体

    以上の条件のうち3つ以上を満たす店舗が検討対象。
やるなら地域いっせいにスタートか、単独で実施するなら、首長の熱い思い、市民の熱意がどれくらいあるかにかかっている。
行動している店を応援していただき、売上げが落ちなければ、他店舗でも黙っていても取り組むだろう。



 今回の交流会では、改正容器包装リサイクル法の施行によって、企業努力がさらに促進された面もうががえ、数字から読み取る環境活動の具体的な成果や今後の目標を、共有、理解することができました。
また私たちの次の目標も見えてきました。

 報告に続いて補足や説明、質疑応答、最後にマルチパックについての問題提起などがあり、こちらも白熱化していましたが、紙面の都合で割愛させていただきました。

 


本交流会の詳細を「レジ袋削減実行交流会2007 記録集」として編集中!
完成予定は2月中旬です。

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