ごみっと・SUN61号

ひろがりを持ち始めたマルチパック問題

清瀬ごみともだち(東京都清瀬市)会員 坂巻真砂子
 

 私たち清瀬ごみともだちは、リサイクル困難な缶ビールのマルチパック問題の解決に向けて06年2月にビールメーカー4社の環境担当者と話し合いをし(ごみっと・SUN53号参照)
同年5月には、産業古紙のマルチパックをリサイクルしているレンゴー八潮工場を見学して(ごみっと・SUN55号参照)、技術的にはリサイクルが可能であることを確認してきました。

 そして、昨年秋発行のごみっと・SUN57号「ビール以外にもマルチパックが使われていた」ことを報告した際に「近々関係者が同じテーブルについて話し合う場を設ける予定」と書きました。
そして…


 メーカーと再び話し合う
 リサイクルに後ろ向きなメーカー各社

 マルチパックのリサイクルシステム作りに向けて話し合いたいとメーカーに呼びかけ、昨年11月に話し合いをもちました。中身メーカーからはビールメーカーと(社)全国清涼飲料工業会、包材メーカーからレンゴー・リバーウッド・パッケージング(株)、そして私たちごみともだちのメンバーです。

 リサイクルシステム作りに向けた方向性を描けたら、との私たちの願いも空しく、その場で示されたものは、「マルチパックはそれほど溶けにくくはない」と主張するデータでした。2cm角に断裁し、10分間水につけてからパルパー(大型ミキサーのような機械)にかけると、15分後には60%は溶ける…だから問題はない、というのです。

 現実には古紙再生促進センターの分類で「防水加工紙」として禁忌品に分類されており、混入させた回収業者はペナルティをとられます。レンゴー(株)は、自らが古紙から再生紙を作る工場を持ち、異物混入がどんなに困るものか知っていながら、こんなことを言うのは論外です。ビールメーカーも一年前に比べ、ずっと後ろ向きの姿勢になっていると感じられました。

 

 カゴメとミツカンにマルチパック使用中止要望書を提出
  ミツカンはすでに使用中止

 私たちは、4月、カゴメとミツカンにマルチパック使用中止を求める要望書を送りました。両社とも常温陳列の商品に使用していたので、他の素材に変えてほしかったのです。

 ミツカンは、すでに使用を中止したということ。
私たちからの指摘より前に、商品の容器・品揃え等の見直しを進め、今春から「ブリックパックでチルド売り場にて販売」に変更したということでした。
カゴメは、パッケージデザインの宣伝効果、商品の落下防止の観点から、使用を続けるという回答でした。


 新たな動き

 ミツカンの使用中止は、(ブリックパックも問題ではありますが)商品戦略上からならマルチパックの使用中止もできるという点で、大きな成果です。
また、アサヒビールが特定商品に限ってですが、パルプモールドのマルチキャップという新包材を使い始めました。
葦から作った非木材紙で「燃やせます」と表示してあります。


 日本消費者連盟が乗り出す!!

 メーカーとのやり取りが行き詰りを見せる一方で、この問題が広く知られるようになってきました。
2月3日のTAMAとことん討論会での問題提起の後、古紙ネットの会報、月刊廃棄物、消費者リポートと、さまざまな媒体で取り上げられ、ついに日本消費者連盟が、6月28日、カゴメに公開質問状を出しました。
カゴメが掲げる「地球環境と調和のとれた企業活動」の理念に沿って、包材の切り替えか独自のリサイクル循環システムを求めるという内容です。
7月12日が回答期限です。回答が楽しみです。


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