ごみっと・SUN60号
ごみかん理事 小野寺 勲
本稿では、最近のレジ袋有料化の動向や地域における取り組みをもとに「地域全体でのレジ袋有料化」を推進するための取り組みについてまとめました。
最終目標は、単独での有料化(点)から地域全体での有料化(面)への拡大にあります。
【1】単独での有料化(一部店舗)
2007年に入って、一般スーパーが相次いで有料化に踏み切りました。1月〜4月に有料化を始めたイオン、イズミヤ、東急ストアの店舗はいずれも食品スーパー(SM)ですが、6月から有料化するイオン、イトーヨーカ堂の店舗はいずれも総合スーパー(GMS)であり、有料化は食品フロアに限定して実施されます。
【2】単独での有料化(全店舗)
このパターンに該当する事例は、今のところ先駆したディスカウントストアと生協だけで、一般スーパーにはありません。
【3】特定地域での有料化
特定地域での有料化は、地域の広がりの点で単独での有料化から一歩前進した形態といえます。杉並区、仙台市とも自治体の主導によるものです。
【4】地域全体での有料化
佐渡市(人口約68,000人)では、自治体主導により、全国で初めて地域全体(全島)での有料化を実現しています。当初、市がレジ袋の単価を一律5円に設定していましたが、公正取引委員会からカルテル行為を禁じた独占禁止法に抵触すると指摘されたため、撤回するという一幕もありました。
【1】市内一斉の実施
一般に、事業者が個々に有料化に踏み切れないのは、有料化していない店にお客を奪われることを恐れるためです。有料化する際には、市内の事業者が足並みをそろえることが不可欠です。
【2】市民の理解
事業者には、有料化したら、お客の反発を招くのではないかという心配もあります。それを払拭するには、レジ袋の削減や有料化について市民の理解を得る必要があります。 イトーヨーカ堂、イズミヤ、東急ストアは、競合が少ないことに加え、レジ袋辞退率の高い店舗を、有料化を先行導入する店舗に選んでいます。
【3】自治体の主導
事業者が足並みをそろえて有料化に踏み切り、市民にそれが受け入れられるようにすることができるのは自治体だけです。自治体が主導して、これを推進する必要があります。 イオンは、有料化を導入する店舗の条件として、自治体や市民団体の支援が得られるということをあげています。
【1】自治体の主導
自治体の施策として市内一斉の有料化を推進し、事業者や市民に協力を求めていきます。実際、地域全体での有料化(佐渡市)や特定地域での有料化(杉並区、仙台市)のケースでは、すべて自治体が主導しています。
【2】自治体と事業者の連携
各事業者には、有料化に対し、個々に協力してもらいます。合議による一致協力はあまり期待できないからです。 京都市や杉並区は事業者と個別に相互協力の協定を結びましたが、佐渡市は自由参加としました。 いずれも事業者から個々に協力を得ています。
【3】市民へのPR
市民に対しては、自治体の施策として有料化を実施することやその必要性をさまざまな方法でPRします。ちなみに、杉並区は、サミットが有料化する際に、ポスター、のぼり、シール、町会の回覧板、パンフレットとマイバッグのポストイン、チラシの新聞折り込みなど、あらゆる手段を用いてPRを支援しました。
【4】市民団体と自治体の連携
市民団体は、あくまでも自治体と連携して有料化に取り組むことが必要です。市民団体だけでの事業者との交渉の結果、有料化を断念したという経験を大概持っているはずです。 市民団体の取り組みの第一歩は、まず自治体を動かすことです。
市民や自治体は、事業者が実施する有料化に観客席から拍手を送るだけではなく、自らも有料化の起爆剤になりましょう!
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