ごみっと・SUN59号
「有料化」を受け止める区民
初めに紹介するのは杉並区にあるサミット成田東店。五日市街道に面していますが、買い物客のほとんどは徒歩か自転車利用という、どこにでもあるスーパーです。
他店と違うのは正面ドアに貼り出された「レジ袋有料化実験中。レジ袋お求めの場合は、1枚5円となります」という“お知らせ”。 手持ちの袋に品物を入れている女性にたずねると、「近くにある生協が前から有料だったので、別に驚かなかった」「区のほうで5、6年前からレジ袋のことを知らせてくれたので、いずれこうなる(有料化する)と思っていた」という、行政が泣いて喜びそうな模範解答が返ってきました。 店では、レジ袋有料化の開始前に「つぎのお買い物の際にはこの袋をご持参ください」と書かれたレジ袋を配布、それまでほとんどいなかったレジ袋の再利用者が2割を占めるようになりました。 また、近隣の生協でも、成田東店の有料化に合わせ、募金箱形式から、5円のレジ打ちに切り換え、持参率が1ヶ月で10%上昇して90%になったということです。
スタート時は区職員が説明要員
2002年に「レジ袋税条例」を制定したものの、中小商店の反対もあって、07年までに60%削減が達成できない場合に導入する、としてきた杉並区。しかし、マイバッグ持参率が30%台止まりと、啓発に限界を感じた区は、昨年から有料化を検討していました。
サミットが名乗りを上げ、06年10月16日に、全国で初めて市民と事業者で作るレジ袋削減推進協議会(レジ協)、杉並区の3者で「レジ袋削減のための地域自主協定」を締結。
区は、有料化に向けて、広報のほか、周辺2万世帯に折り込みチラシを2回配布。また、開始時の1月15日から28日までの2週間は、幹部職員が2人1組になり、9時から21時まで4時間交代で店内に立って、「ご協力ありがとうございます」など声をかけたそうです。 事業者がおそれる「客離れ」は「99%影響ない」そうです。が、有料袋はL型一種類のため、大きい袋を必要とするお米などを買い控える人もあり、さっそく、取っ手を付けるなどの工夫をしたそうです。
井山利秋・区生活経済課長は「最初なので、お金がかかってもやれることはすべてやろうという態勢で臨んだ。 開始後1ヶ月経った現在、持参率は30%台から85%台に、レジ袋の販売枚数は500枚強(実施前3,000枚)に減少しました。
「地域密着店」で始まったイオンの有料化
京都市左京区にあるジャスコ東山二条店は、大型店というイオンのイメージとはかけ離れた、古くからある食品中心の小さな店構えです。杉並区同様、レジ台を中心に有料化の協力を呼びかけるポスターやノボリ旗が所狭しと並んでいます。
さっそく辞退率を調べてみると、レジ袋を買ったのは50人中5人。
持参した袋に食品を収めていた女性たちは、
事前の告知は店内のポスター掲示やチラシ配布に加えて、店長が地元の自治会に出向いて話をしたそうです。
「環境を守るため、有料に賛成です」ボードに貼られた『お客様の声』は、大半が支持する意見。「苦情はほとんどない。
レシートには、レジ袋のバーコードを読み取って「有料レジ袋5」、買わない場合は「お買い物袋ご持参」と印字されます。
有料化に一役かった「推進懇談会」
東山二条店から鴨川を渡って、程近い京都市役所を訪ねました。イオンが京都市で有料化を進めるにあたって、受け皿作りを行ったのは「京都市レジ袋有料化推進懇談会(以下、懇談会)」です。
容リ法の見直しを審議した経産省産業構造審議会の座長である郡嶌孝・同志社大学教授が呼びかけ、スーパー関係者、商工会議所の事業者、市民団体などが集まって、06年6月にスタート。
12月に市は、「マイバッグの持参及びレジ袋の削減に関する協定」への参加を事業者や市民団体に呼びかけ、1月10日に、イオン、古川町商店街振興組合、京都生活協同組合の3事業者と、
事業者は持参率の目標を、イオンが有料化を実施して50%以上、京都生協は有料化を継続して90%、古川町商店街は辞退者にポイントを上乗せして60%以上…としました。
気になるのは東二条店に続くスーパーの出現ですが、「市がオブザーバーに徹して、懇談会形式にしたので、複数の事業者が議論に加わった。 今回取材した二つの事例のほか、名古屋市では、ユニー、イオン、ヤマナカ、イトーヨーカドーなど大手が出店する緑区(約22万人)をモデル地域として、6月から実施する準備を進めており、2010年には市内全域に広げたいとしています。 京都市と同じく、市民団体やスーパー関係者によるレジ袋削減懇談会を設置した仙台市では、6月からイオン、みやぎ生協などが実施する予定です。 大都市だけでなく、新潟県佐渡市(04年10市町が合併、6万7000人)は4月から、スーパーや小売店など約200店舗が協力して、島内で一斉に有料化に踏み切るとのこと。
次ぎはどこか、ますます目が離せません。
|