ごみっと・SUN59号
まとめ:ごみかん理事 宮島 和朗
2007年2月9日に開催した『市民ごみ大学セミナー』は文字通り “会場に溢れんばかり” の人でぎっしり!、長野からマイクロバスで参加くださった団体さんもありました。
80名の会場に100名が入り隣の部屋や1階の事務室からも椅子をお借りして対応しました。
中野区では平成19年4月から古紙の行政回収を中止することになりました。
私は中野区町会連合会の副会長としてゴミの減量に取り組んで来ました。 中野区内に清掃工場の建設が計画されていたのですが、平成15年7月の区長会議で中止になり、他区と共同処理で行う事になりました。 よかったと思っている人もいますが、ごみは自分たちで責任を持って処理するのが常識でもあります。我々は「困ったことになった」と思いました。
「ここで一本筋を通そう」と若手の町会長で資源回収小委員会を設け、「新集団回収制度」を常任理事会に提案しました。 なかなか理解は得られませんでしたが、粘りに粘った結果「そこまで言うのならやってみろ」とスタートしました。
新集団回収制度は区がやっていた資源回収を町会・自治会が行うのです。
うるさ型の人、地域の有力者のお宅に伺ってじっくりと説明しました。
理解すると早いです。「良いことだから早く進めろ」などと後押しをしてくれる人も出て来ました。
行政回収と新集団回収との2本立てでは混乱を招きますし効率も悪いので、 モデルケースとして成績の良い町会を選び、行政回収をやめて一本化を試行することにしました。
そこで、南部町会・北部町会の二つの町会をモデルとして選びました。 その他の条件も加わって一本化する町会が増え、平成19年4月からは全地区で行政回収を中止し、新集団回収に一本化されることになりました。
さらに多くの区民が参加してごみ減量に取り組むために、新しい組織を立ち上げることになり、町会連合会、老人クラブ連合会、中小PTA連合会、中小校長会、リサイクル協同組合が参加し「中野区民ごみゼロ委員会」が設立されました。 今後、良い成果が出てくると期待しています。
環境問題と商店街の活性化を連携させて成功したことを中心にお話します。
最近、皆さんの周りの商店街も惨憺たる状況ではありませんか。 また、子供を殺したり、親を殺したり、わけの分からない社会になってしまいました。 地域社会が崩壊してしまったのです。
そこで、商店街は物を売る団体から、地域社会の諸問題を解決する拠点になって行かなければならないと、立ち上がりました。
環境問題は十数年前から騒がれ、意識の高い人が一生懸命やっているが、社会全体にはどれほど広がったのでしょうか。 私が座長になり「エコ クリーン トライアングル」という組織を作り、行政・消費者団体・商店街が 一緒になってごみ問題を考えていくことにしました。 品川区の清掃費は年間63億円にもなり、一番金がかかるのはペットボトルのリサイクルであることが分かりました。 杉並区のレジ袋税が話題になり、品川区長から1枚5円のキャッシュバックの予算を取ったから商店街連合会でノーレジ袋に取り組んで欲しいとの意向が示されました。
他の地域のノーレジ袋運動を調べましたが、上手く行っているところはほとんどありませんでした。 大手のスーパーでは問題ないでしょうが、商店街で取り組むには溜めたポイントの換金システムを作ることが難しいのです。
ノーレジ袋はしばらく置き、ペットボトル回収機を商店街に置いてみました。
「環境に良いことをしよう」とペットボトルを入れにきてくれ、1年で約50万本も回収されました。
ペットボトル回収機も12台に増やした結果、1,000万本も回収できました。
そこで「子供たちからの環境未来構想」としてサッカーや野球などの子供の団体が始めると100円のプレミアムが付いたカードをあげ、ボールやユニフォーム、練習時の飲み物を安く買える仕組みを作りました。 現在70団体が参加しています。
JリーグのFC東京がこのシステムを評価して提携を申し込んでくれました。 夏休みには「環境」というテーマで、ペットボトルやアルミ缶を持って集まり、FC東京のコーチからサッカーの指導をしてもらいます。
また、今年も3月3日に味の素スタジアムで行われたJリーグの試合に800人の子どもたちを招待していただきました。
今日は資料を持ってきませんでしたが、本当にやりたい人は品川に来てください。データや資料をさしあげます。
ごみ減量協働プランへの歩みと題して多摩市が市民、事業者、行政が一体になって進めるごみ減量について説明します。
多摩市は有料化担当を置き、市民に必要性を説明すれば、有料化を実現できると考えました。 すでに周辺の八王子市、町田市、稲城市など有料化が実現したからです。
廃棄物減量等推進審議会答申を受けて平成17年4月にごみ有料化担当が置かれました。 多摩市には市民自治基本条例があり、新しいことを決めるには市民に徹底的に周知することになっています。
@市長自身による拠点説明会…20回
平成18年7月から有料化を実施すべく、17年12月に市議会に提案しました。 建設環境常任委員会5名で審査の結果、賛成1、反対2、継続2の結果で審査未了廃案となり白紙に戻ってしました。
4月に市長選挙が予定されていたので、しばらく動かないことにしました。
@ごみ減量に向けた新たな拠点説明会開催 市長選でごみ有料化の信任が得られたと判断して、草の根的な説明会を行いました。
Aまったなし!ごみ減量懇談会の開催 Bいつでもどこでも喜んで出前説明会の実施
C水切りダイエットの配布
@転入者ごみ分別・減量説明の開始,⇒NPO「エコ・フレンドリー」への業務委託 市民課の横で多摩市への転入者全員に「分別読本・収集カレンダー・水切りダイエット」を渡し、 ごみ分別方法、減量を説明します。
A資源集団回収事業者との情報交換会、資源集団回収の手引作成
B地域性のあるマイバッグ⇒ベルディとの共同事業
C店頭回収の促進とノーレジ袋協力店の募集
最後になりましたが、多摩地域で最もごみが少ないのは調布市です。
今日は調布市の「有料化」という手法によるごみ減らしについてお話をします。
多摩地域の自治体はごみ減量に真剣に取り組んでいますが、最終処分場を少しでも長く使っていかなければならない事情にあるからです。 二ツ塚処分場はあと10年で一杯になってしまいます。
昨年の4月からは焼却灰の「エコセメント化事業」(注)を始め、処分場の寿命が3倍ほど延命できます。
最終処分場の問題の外に、調布市が中間処理をしている二枚橋の焼却炉は老朽化のため、 今年の3月に止めざるをえなくなりました。 新しい処理施設が完成するまで周辺の自治体に処理をお願いしなければならなくなったのです。 ごみは地域内で全部処理するのが普通です。これができなくなる現実があります。
ごみ減らしが急務ですが、分別の強化だけでは費用がかさんでしまいます。
平成16年4月から家庭ごみの一部有料化を実施しました。 有料化は燃やせるごみと、燃やせないごみです。資源物は無料で回収します。
(1)指定袋の種類と価格
(3)有料化の効果
有料化により可燃ごみ、不燃ごみに入っていた資源物が資源として出される様になったのです。
調布市は、有料化の他に、さらなる分別の指導や生ごみの水切りなどでごみ減らしを進めます。 先ほど多摩市から調布市を抜くと挑戦を受けましたが、けっして譲りません。
(注)エコセメント化事業
4人の講師の方々は、それぞれ、市民・事業者・行政の「持ち場」で活躍しているだけあって、 また、その雰囲気にふさわしく、会場には、応援の横断幕まで掲げられて、セミナー始まって以来のノリとなり、書いていただいたアンケートからも大変評価の高いごみ大学となりました。
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