ごみっと・SUN57号

 まだまだ続く…缶ビールのクラスターパック問題

リサイクルシステム作りに向けて

清瀬ごみともだち(東京都清瀬市)会員 坂巻真砂子
 

 私たち清瀬ごみともだちは、リサイクル困難な缶ビールのマルチパック問題の解決に向けて今年2月にビールメーカー4社の環境担当者と話し合いをし(ごみっと・SUN53号参照)
5月には、産業古紙のマルチパックをリサイクルしているレンゴー八潮工場を見学して(ごみっと・
SUN55号参照)
、技術的にはリサイクルが可能であることを確認してきました。


 缶ビール以外にも、マルチパックが使われていた!!

  一方、店頭調査を通して、缶ビール以外にも、カゴメトマトジュースやオロナミンCなどの健康飲料にマルチパックが使われていることがわかりました。
また、形態は同じでも、紙質はアクアコート紙(輸入された未晒しパルプ、マルチパックの紙)でないものもあり、一見しただけでは判別が難しいこともわかりました。
そこで、把握できたメーカー15社に、マルチパック使用の有無と、リサイクルの現状認識、
他の包材への切り替え検討の予定などについて問合せました。

 問合せへの回答は、以下のとおりです。(1社のみ回答なし)

使用していない花王、はごろもフーズ、ハウス食品、明治製菓、ロッテ
使用しており、代替品の検討に入った大正製薬
使用しており、代替品の検討の予定ないハウスウェルネスフーズ、明治乳業
(社)全国清涼飲料工業会より回答カゴメ、ミツカン、コカコーラナショナルビバレッジ、
カルピス、大塚製薬、ポッカコーポレーション

 大正製薬は、指摘を受けて代替え品の検討に入ったとのこと。
 花王は、アクアコート紙がリサイクル困難なため「キャリーボード」という水に溶ける紙を採用。


 (社)全国清涼飲料工業会環境部からの回答(要約)

@ 持ち運び、陳列・保管が容易などの利点から、多数の企業が使用している。
A リサイクルについては、法律に則り再商品化費用を支払っており、
  リサイクル基盤は確立されている。
  (筆者注:マルチパック混入がリサイクル基盤を壊している!)
B 更に環境にやさしい素材が開発されれば、前向きに検討する。
  (また、資料として、製紙メーカーのレンゴー鰍フ見解が添付されていました。
  内容は、ごみっと・SUN55号で紹介したものと同じですので、ここでは省きます)


 リサイクルシステム作りへの要望書と、その回答

 回答が、あまりに現実とかけ離れた現状認識でしたので、私たちは改めてビールメーカーと(社)全国清涼飲料工業会に以下のような要望を出しました。
@ マルチパック(アクアコート紙)からの材質変更
A 市場に出たマルチパックの「分別収集」あるいは「リサイクルシステムの構築」のいずれかの
 実現。

両者からの回答は、表現に違いはあるものの、ほぼ同じ内容です。以下に要約。
@ マルチパック(アクアコート紙)からの材質変更について
 冷蔵陳列商品にとって、アクアコート紙の利便性は、消費者・流通から高く評価されている。
 アクアコート紙は、資源有効利用の観点から非常に優れた素材である。
 紙から紙へのリサイクルが難しいとの認識はあるが、これに代わる有効な素材がないため、
 現段階では、使用中止は困難である。
A リサイクルシステムの構築について
 古紙回収業者と清瀬市がアクアコート紙の単独回収を実施し、市民が協力してくれるなら、
 レンゴー八潮工場など、リサイクル能力のある工場が受け入れることはできる。
 ただ、現状でのサーマルリサイクルも、生物由来の素材なので環境にやさしいということを
 理解してほしい。


 システム作りの第一歩…「マルチパックリサイクルテーブル」を提案

 生産者責任どこ吹く風の態度には首をかしげるところですが、私たちが動かなければ何も始まらないわけで、私たちは今後、清瀬での先行的なシステム作りに向け、関係者が同じテーブルについて話し合う、その協議の場(仮称「マルチパックリサイクルテーブル」)を呼び掛けていきます。


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