ごみっと・SUN57号
 

 容器包装削減!活動交流会2006

容器包装削減に向けた新たな試み

2006年10月28日 国分寺労政会館

 ごみかんでは、2004年、2005年とレジ袋削減に向けて市民・事業者・行政が情報を共有し、連携を深める場として「レジ袋削減!活動交流会」を開催してきましたが、今年からテーマをレジ袋削減から容器包装削減へ広げ「容器包装削減!活動交流会」としました。

 6月15日に公布された改正容器包装リサイクル法には、現行法に欠如していた容器包装の
リデュース・リユースを促進するための仕組みが不十分ながらも導入されました。
それを受けて、経済産業省と環境省は、来年4月1日の改正法の施行を待たずに、今年度から
それぞれ「リターナブル容器導入促進事業」や「容器包装3R推進事業」をスタートさせ、各種の
モデル事業を支援しています。

 そこで、今年の交流会では、国のこの2つの事業と特に注目される2つのモデル事業を取り上げ、各担当者からその概要を紹介していただきました。
当日は、事業者の方々も多数参加されました。
また,両省の担当者には多摩地域の市民活動の一端を知っていただけたかと思います。



リターナブル容器導入促進事業

経済産業省産業技術環境局
リサイクル推進課長  横田真さん

 この事業は、リターナブル容器の導入を促進し、容器包装に係る環境負荷を低減させることを目的として、リターナブル容器導入に関するモデル事業を実施するものです。
今年度の予算額は4,000万円。委託先を公募したところ、9件の応募があり、その中から以下の5件を採択しました。

1.京都硝子壜問屋協同組合(京都市)
 2004年から京都市内のスーパーマーケットの店頭などに回収ボックスを設置し、リターナブル
びんの拠点回収事業を実施しています。
 回収拠点を現在の45カ所から200カ所に増やすことを目標としており、製造者の販売店に対する
リターナブルびん商品の紹介や、販売店の消費者に対するリターナブルびん商品の周知(専用棚の設置などによって)を行います。


2.国立大学法人名古屋大学大学院
  環境学研究科竹内研究室(名古屋市)  現在、レジ袋を断る、公共交通機関を利用するなどのエコ活動に対してEXPOエコマネーを発行しています。
ポイントがたまると、エコ商品との交換や植樹への寄付などができます。
リターナブル容器商品の選択に対しても、インセンティブを付与するため、EXPOエコマネーを
発行していきます。


3.ガラスびんリサイクル促進協議会(茅ヶ崎市)
 2003年からRびん(注)を使用した茅ヶ崎ワインを販売し、びんを1本50円のデポジットで回収しています。
しかし、取り組み品目がワインのみであり、回収率も18.3%にとどまっていることから、取り組み
品目に清酒、焼酎などを加えて10品目に拡大するとともに、Rびん通い箱を設け、小売酒販組合青年部の宅配業務と連携を図ることによって、ケース未満単位の宅配時の回収システムを構築します。

Rびん:日本ガラスびん協会が規格統一してリターナブルびんと認定し、Rマークを刻印したびん。


4.株式会社ダイナックス都市環境研究所(沖縄市)
 沖縄県内で流通している泡盛の容器は、ワンウェイびんのみです。
消費者(特に若年層)及び販売店のRびんに対する意識を調査するとともに、実証実験として、
泡盛に720mlのRびんを使用し、大型店での拠点回収や自治体の分別収集によって回収されたびんについて、回収事業者及び利用事業者で品質調査を実施します。


5.パルシステム生活協同組合連合会(東京都世田谷区)
 現在、リターナブルびんを導入しています。
リターナブルPETボトルの運用については、2005年度に行ったLCA分析で有用性が確認されて
いますが、その実証実験を下記の要領で実施し、アンケート調査を行って、消費者の評価や事業者の課題を整理します。
*生協組合員向け⇒ミネラルウォーターに1.5LのPETボトルを使用。デポジットなし。
*商店街向け⇒ミネラルウォーターに1.5LのPETボトルを使用。デポジット20円。




容器包装3R推進事業

環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部企画課
リサイクル推進室長  東修司さん

容器包装廃棄物3R推進モデル事業
 地方公共団体、事業者、消費者等の協働による地域における容器包装廃棄物の3Rの取り組みを推進するため、他の地域のモデルとなるような創意工夫に優れた事業を選定し、各事業の結果を取りまとめて広く周知しようとするものです。
今年度は、2,100万円の予算で、以下の7事業を実施します。

1.モデル市町村のリターナブルびん分別収集有効性・効率性検証事業
*実施主体:ガラスびんリサイクル促進協議会(下記4市区)
 自治体で実施されているリターナブルびんのモデル的な分別収集事例について、有効性、
コスト、課題などを自治体側、住民側の双方から事業者団体とも協働しながら明らかにし、
全国への波及方策を探ります。
★住民がステーションで分別(神奈川県大和市)
★専用コンテナで収集、ストックヤードで選別(東京都目黒区)
★袋回収後、車上のコンテナで選別(那覇市)
★リターナブルびん回収拠点で分別収集(京都市)


2.早稲田大学キャンパスとその周辺地域における
3R推進コミュニティモデル事業
*実施主体:早稲田商店会・早稲田大学環境総合研究センター(東京都新宿区)
 大学、地域商店街、自治体の協働により、地域通貨の仕組みを活用して、地域におけるレジ袋削減行動や空き缶・ペットボトルの回収、弁当容器のリユースの取り組み、環境教育活動等の
3R推進活動を活性化し、その効果を評価します。


3.レジ袋の有料化等による使用削減推進モデル事業
*実施主体:杉並区レジ袋削減推進協議会(東京都杉並区)
 地域自主協定によるレジ袋有料化を実施し、その効果・影響等を検証します。
また、さまざまな主体の協働によるレジ袋削減3R運動を推進するとともに、これまで推進協議会で進めてきたレジ袋対策のノウハウと課題を取りまとめ、全国に発信します。


4.リターナブルびん利用促進モデル事業
*実施主体:リターナブルびん利用促進モデル事業推進連絡会(神奈川県茅ヶ崎市)
 自治体、商店会・小売酒販組合、地元消費者団体等が協働で推進連絡会を組織し、10品目を超えるRマークびんを含むリターナブルびんの利用促進、販売店ルートでの回収促進を図り、
その効果や各主体の役割について検証し、全国への波及方策を探ります。


5.きめ細やかな分別収集に係るモデル事業
*実施主体:京都大学環境保全センター(京都市)
 京都市、自治体等と協力しながらプラスチック製容器包装について、よりきめ細やかな分別収集をモデル的に実施し、収集量の質、再商品化の品質向上効果などを検証します。


6.自主協定により進めるレジ袋削減等3R推進モデル事業
*実施主体:レジ袋削減等3R推進協議会(大阪府池田市)
 商工会議所、市場・商店会連合会、市民団体等で推進協議会を組織し、商工会議所、商店街等と市との間で自主協定を締結して、マイバッグ配布によるレジ袋削減、エコステーションでの
資源の回収、小学校に設置したエコストアにおけるマイバッグ持参状況調査や子供1日推進員
事業などを実施します。


7.容器包装廃棄物の排出抑制を目指す簡易包装普及推進モデル事業
*実施主体:特定非営利活動法人ごみじゃぱん(神戸市)
 消費者、事業者、大学、行政が協働で、神戸市内の特定地域(約7,000世帯)で、簡易包装商品の利用を促進するための徹底的なPRと当該商品の販売を行い、エリア内の大規模小売店での販売実績、消費者の行動の変化などを分析します。


容器包装廃棄物の3R促進に係る表彰事業
 優良小売店及び容器包装製造事業者等評価制度とマイバッグ運動等容器包装削減優良事例表彰制度を創設します。
公募により実施する方向で検討中です。

容器包装に係る3R推進広報事業
 容器包装廃棄物に関する3Rの普及啓発キャンペーンや地方環境事務所、関係各省による説明会を実施します。



「レジ袋有料化」地域自主協定と
市民社会のルールづくり

杉並区 区民生活部
生活経済課長  井山利秋さん

 杉並区では、2002年3月にいわゆる「レジ袋税条例」が成立しました。
これは、環境に負荷を与えるレジ袋の使用抑制を図るため、買い物等の際に無料または有料で譲渡されるレジ袋に1枚につき5円の税を課すものです。
しかし、当面は施行せずに、まずレジ袋削減運動を進めていくことにしました。

レジ協の活動
 2002年5月に市民・事業者・行政で「杉並区レジ袋削減推進協議会」(レジ協)が設立されました。レジ協は、これまでに、ポスター、のぼり旗、POPスタンド、横断幕等の作製掲出や駅頭・街頭宣伝、広報紙・HPへの掲載など、普及啓発で考えられるものはほとんど実施してきました。

啓発活動の限界
 このような活動にもかかわらず、マイバッグ持参率は30%台で足踏みしており、啓発活動では30%台が壁になっています。
なぜかというと、消費者・事業者・行政は、レジ袋削減に関して総論賛成・各論反対の社会的ジレンマに陥り、互いに自ら行動することを避けているからです。
どこかでこの環を切らなくてはなりません。

レジ袋有料化に向けて
 こういった状況を踏まえて、2004年11月に、レジ協は区長、区議会議長に対しレジ袋有料化を要請しました。
これを受けて、区は、2005年8月〜9月にレジ袋税や有料化の先進事例としてアイルランド、ドイツ、台湾、韓国の4カ国について海外視察調査を実施しました。
12月に、これをもとに「レジ袋規制政策に関する提言」を環境大臣へ提出しました。

 2006年6月に、改正容器包装リサイクル法の成立を受けて、区は「杉並区レジ袋有料化モデル
検討会」を設置し、レジ袋有料化モデル構築に向けた検討を始めました。
そして、9月に検討会の中間報告を区長に提出しました。

地域自主協定の締結
 2006年10月16日にレジ協、サミット、杉並区で「レジ袋削減のための地域自主協定」を締結し、
レジ袋有料化実証実験を実施することになりました。
協定の概要は、以下のとおりです。
*サミットストアは、成田東店を推進モデル店とし、2007年1月15日から3月31日まで、
レジ袋を1枚5円で販売する実証実験を行い、実験終了時までに、当該店舗での事業継続や他店舗での実施を検討する。
*実験期間中に得たレジ袋の収益を、地域の環境教育等へ還元する。
*レジ協は、環境省の「容器包装廃棄物3R推進モデル事業」として、幅広い啓発事業を行う。
*杉並区は、サミットが実験のパートナーであるとの姿勢で臨み、推進モデル店への説明要員配置等人的支援を含んだ、積極的な支援事業を行う。
 今後の課題として、行政は、区民に実証実験の意義と目的をきちんと説明し、また、参加事業者以外の事業者に向けては、実施事業者が多数続くように参加を呼びかけていくことが必要です。



パルシステムのリユースPETボトルの調査・研究

パルシステムグループ潟Gコサポート
常務取締役  小沢一郎さん

 リユースびんに取り組む生協でつくる「びん再使用ネットワーク」のリユースびんの年間供給量は3,000万本、年間回収量は2,000万本、回収率は約7割です。
リユースびんを全国的に広めることは社会的課題でもあります。

 パルシステムでは、リユースびんが9規格、対象商品が60アイテムあり、リユースびんの年間供給量は370万本、年間回収量は220万本、回収率は約6割となっています。
小型びん(200ml細型・深型・浅型)やワインびんなどのリユース率の向上が今後の課題です。

 パルシステムのリユースPETボトルの調査・研究は、全国で年間200億本使用されている
PETボトルのリユースを進め、CO2削減、廃棄物削減に向けた、循環型社会づくりに貢献することを目的として実施するものです。

リユースPETボトルへのチャレンジ
@ 環境に配慮した容器リユースの普及
A ボトルの安全性の確立
B リユースの効率的物流システム構築
C 消費者向けの飲料事業への貢献
D CSR(企業の社会的責任)対応
E 洗浄システムの研究・確立
F ボトル洗浄技術の確立
G リユース用耐熱PETボトルの設計・開発
H 充てんPETボトルの品質管理
I PETボトル飲料商品の開発
J 消費者(組合員)の啓発


容器のLCA評価
* リユースPETボトルのリユース5回の環境負荷はワンウェイPETボトルの31%
* リユース10回は27%
* リユース20回は18%


ヨーロッパと日本の違い
* リユースは、なぜヨーロッパでできて、日本では難しいのか。
  それは、生活スタイルの違いや日本人の潔癖性からではありません。
* その背景にはリユース文化の差があるが、日本でも徐々に「環境観」が育ってきており、
  リユ−スの拡大は可能です。


循環型社会への貢献と創造
* 今後は、容器メーカー、充てんメーカーと販売者、消費者のコラボレーションが大切に
  なります。
* ごみにしない発想が重要です。
* 循環型社会への貢献が一層求められます。


課題の解決

課 題解決方法
@リユースボトルの成型耐熱性、リュース回数、洗浄性、安全性、ラベル適正
A製品の安全性品質管理、食衛法、検査システム、洗浄剤と洗浄技術
B環境性LCA評価、回収率、廃棄物削減、CO削減
C経済性3〜5年で採算ベースに(1,000万本/年の場合)
D商品開発水、お茶、その他健康飲料などの産直品
E水の産地おいしい水
F物流システム効率的な物流
Gコラボレーション容器メーカー、充填メーカー、販売者、消費者
H協力・支援啓発活動、国・自治体の支援


まとめ:ごみかん理事 小野寺 勲



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