ごみっと・SUN56号

どうなる?「改正容器リサイクル法」

容器包装の3R推進に関する小委員会と全国ネットの再出発

容リ法の改正を求める全国ネットワーク 事務局 服部美佐子

 

 改正容リ法の政令(政府全体で決定)と省令(省ごとに決定)を審議する「容器包装の3R推進に関する小委員会」(中央環境審議会)が立ち上がりました。
産業構造審議会でも同様の審議を行っています。
全国ネットは法改正を機に仕切り直し、新たな会がスタートします。

 

 プラスチック製容器包装リサイクルの緊急避難対策としてのRPF

 小委員会の審議は8月に始まり、9月下旬(予定)にパブコメ、11月上旬に公布という急ぎ足で、
これまで2回行われました。
改正された条文についてのみ、政省令が改正されます。

 まず、プラ製容器包装のリサイクル手法にRPF(固形燃料)を追加する件です。RPFはプラ製容器包装の収集量がリサイクル能力を上回る可能性が指摘されたことから浮上しました。

 単一素材やリサイクルしやすいものを製造する流れに逆行することや自治体の焼却施設で焼却・発電することと大きな違いがないことなどを指摘、小委員会でも「RPFは市民がせっかく分別をする意味がなくなる。
特定の業者が利潤を得る高止まりを是正すべき」と発言しました。

 しかし、条件付で手法に加わる方向です。その条件とは、収集量が再商品化能力を上回るという「緊急避難的な位置付け」と「高度なエネルギー利用」(紙製容器のRPFのエネルギー利用を超える場合のみ)です。
もしも、安価なRPFがフリーハンドで手法として加わってしまえば、文字通り「一人勝ち」(すべてRPF)となり、マテリアル(材料)やケミカル(化学的)リサイクルというこれまでの手法が淘汰されてしまう懸念があります。

 今のところ収集量が下回っており、導入は未定ですが、RPFは簡単な設備で作ることができるため、塩素分含有の問題など検討すべき課題が多く残っています。
ドイツなどすでにRPFを導入している他国の事例や基準などを参考にして、慎重に進めるべきです。

 いずれにしても、RPFはあくまでも暫定措置であり、プラ製容器包装のリサイクルが高止まりをしているという問題は解決されていません。
マテリアルはケミカルより3万円以上も単価が高い上、優先で落札されるため、業者の参入が後を絶たず、来年はマテリアル業者が70%以上占めると予想されています。
割合が増えれば、リサイクル費用は高くなる一方です。

 また、法律で収率は50%でいいことになっているため、マテリアル手法ではせっかく集めたプラ容器包装の半分が残渣(産廃)として焼却やRPFで処理されています。

 競争原理が働かず、リサイクル費用が高止まったままでは、税負担から事業者負担に変える道はますます遠のいてしまいます。
多様なリサイクル手法を堅持しつつ、公正な競争が行われるため、ドイツのようにマテリアルに一定の枠を決めるなど検討が必要ではないでしょうか。

 

 排出抑制を促進する事業者は「小売業」だけ

 自主的な排出抑制(国は発生抑制の意味で使用)の取り組みをする事業者を「小売業」とする、という概要を読み、正直驚きました。
なぜ故にスーパーやコンビニだけ?容器を売りにしている化粧品メーカーなどの中身メーカーはごみを減らさなくていいの?

 しかし、9月の人事異動で替わった、東修司・企画課リサイクル推進室長は「消費者と接点があり、波及効果が期待できる。他の事業者についての措置は『資源有効促進法』(経済産業省)で行う。
主務大臣がすべての利用事業者、製造時業者に報告をさせることができるので、他の事業者についてもカバーしている」と答弁。

 利用量50トン以上「小売業」が対象となり、約6,500社のうち、755社と少ないようですが、1万社の支店を持つ大手コンビニなども1社に勘定するので、利用量の92%をカバーできます。

 しかし、さらなる問題が…「排出抑制を相当程度促進」と書いてあり、どの程度か分かりません。
東室長は「業種がいろいろあるので、低減目標を事業者自身に定めてもらう」と回答。
「相当程度」とは、「官僚用語?」でかなり高めを意味するそうです。
でも「目標値」も決めずに「排出抑制」ができるのでしょうか。

 「小売業」は年1回6月末に報告書を提出、その他の事業者も主務大臣が報告させることができます。
気になる市民への公表は今のところ、「集計整理した上で」とまとまった数字しか考えていないようで、これでは私たちが事業者別に減ったかどうか、確認することさえできません。

 

 ペットボトルの国外輸出問題

 政省令には直接関わりませんが「国内循環を維持するため国の指導が必要」という発言が相次ぎました。
一方、自治体委員は「財源確保という声も出ている」と胸の内を思わず口にしました。

 東室長は「6月23日に市町村に事務連絡を出した。
円滑な引渡しも基本方針に加える」と言いますが、文書一枚で状況が変わるとは到底思えません。

 ドイツでも90%以上が国外でリサイクルされています。
筆者はあちこちの行政職員から「独自ルートを(容リ法に)変えるつもりはない」という話を聞いています。
総論ではなく、もっと突っ込んだ議論をしないと、容リ法離れは加速するばかりです。


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