ごみっと・SUN55号

変えよう!「容器リサイクル法」

30の附帯決議が付き、無修正で改正容リ法成立

容リ法の改正を求める全国ネットワーク 事務局 服部美佐子

 

 容リ法の改正法案が衆・参議院の環境委員会で審議され、衆議院19項目、参議院11項目の附帯決議が付いたものの、政府案どおり可決。6月15日に公布されました。

 

 改正法の問題と国会審議

 改正法には「発生抑制」と「再使用」の文言がないだけではなく、肝心な「拡大生産者責任(EPR)の徹底によるリサイクル費用の製品価格への内部化」も、期待を持たせた「レジ袋有料の法規制」もありません。
ところが、審議会では話もなかった、「容器包装廃棄物排出抑制推進委員(有名人?100人程度)」が排出抑制の取組みとして盛り込まれました。

 国会の環境委員会では議員から「リサイクル法にもいろいろあるが、容リ法だけ収集費用の負担が自治体となっていて他のリサイクル法との整合性が取れない」「自治体によってプラの処理が異なるが、全国的に標準化すべきではないか」「事業者の発生抑制の取組みが不十分な場合は、EPRを強化すべきではないか」など核心的な質問が出されました。

 質疑の中で環境省の由田廃棄物リサイクル対策部長は「一般廃棄物総排出量は5%の削減目標がある。
容器包装廃棄物も5%削減を目標とする。レジ袋は10%の使用削減を目指したい」と答弁。
5%は経団連の3%より高い数値目標で評価できますが、レジ袋は有料化するまでもない数値です。
小池大臣は10%もおぼつかない、と言っているそうですが。

 

 30項目の附帯決議

 政府案は修正されず、衆参合わせて30もの附帯決議が付き、多くの問題が先送りになってしまいました。
主な附帯決議は以下の通りです。
@循環型社会形成推進基本法の基本原則に則り、発生抑制を最も優先すべきであることを徹底する。
また、その取組み状況について公表する。
J各市町村の分別収集費用の透明化・効率化するため、容器包装を含めた一般廃棄物の処理コストの分析手法を示す等、技術的な支援に努める。
K循環型社会形成推進交付金等のしくみを活用して都道府県又は地方ブロック単位で廃プラスチック選別保管施設の整備を行う。
Q次回の見直しにおいて、より効果的な容器包装廃棄物の3Rの推進を図るよう各主体の役割分担の在り方について検討を行う。など
 これらの附帯決議が実効性のあるものになるよう、注目していきたいと思います。

 

 事業者が市町村に資金を拠出するしくみ

 国会では、このしくみについて「08年に施行。自治体への拠出金額は05年度を基準とすると、5〜10%減ったら08年に60億円から120億円程度が効率化され、その半分30〜60億円となる」と答弁があり、さらに、こんなやり取りがありました。
「市町村には不満が残っているが、どうするのか」(議員)「このしくみは市町村の財政負担軽減を目的とはしていない」(由田部長)

 拡大生産者責任を徹底することが、省の思惑で捻じ曲げられてこのしくみになったのだと思っていました。
これではさすがの自治体も怒るかな、と思いました。

 しかし、衆議院に参考人招致された産構審と中環審の委員である全国都市清掃会議の石川和男さんは「再商品化の質の向上に資するもの」、参議院に招致された大井治夫氏(名古屋市環境局長)も「額は大きくはないが、一歩前進と評価し、分別収集・選別保管の質の向上を進めたい」と賛意を示したのには驚きました。

 自治体は、本気で税負担から受益者負担に転換したいと思っていたのでしょうか?
 100万の国民の声より事業者の利害を優先させた国と「ええ勝負」です。


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