ごみっと・SUN55号

 自治体のこれからの選択

新たな状況を迎えた プラスチック処理

まとめ:ごみかん理事 小野寺 勲

 

 さまざまなごみ問題の中でも、廃プラスチックの処理は今、最もホットなテーマです。容器包装リサイクル法の改正など新たな状況を踏まえて、ごみ大学では再びこれを取り上げました。

 当日は、日経・読売・朝日の3紙に紹介されたこともあって、満席となった会場から多数の意見や質問が出され、熱のこもった討論会となりました。

 プラスチック処理に関する雑感

轄イ野環境都市計画事務所所長
 佐野敦彦さん
 

リサイクルは目的か手段か

 リサイクルというのは手段であり、リサイクルそのものが目的ではないと思います。
というのは、そもそもリサイクルは、使い終わったものを世の中からうまく始末する手段として行われてきたからです。

 一方、資源は枯渇性のものですから、資源保護という視点からは、リサイクルそのものが目的となってきます。
このあたりが議論が錯綜する一因かと思われます。


プラスチックのリサイクル手法

 容リ法は、1991年にできたドイツの包装材令にならって、1995年に制定され、プラスチックのリサイクル手法に関しては油化とマテリアルリサイクルに限定しました。
しかし、歴史の皮肉ですが、日本が容リ法をつくった同じ時に、ドイツは法律を改正し、市場メカニズムの中で弾力的にリサイクルできるように方向転換します。
これが今日の混乱の発端になっています。

 なお、将来、原油価格が1バレル100ドルになった時には、プラスチックのリサイクルの構図は
一変するだろうと考えています。

 

 プラスチック容器包装の再商品化

プラスチック容器包装リサイクル推進協議会
 専務理事 滝田晴彦さん
 
 プラスチック容器包装分別収集の現状としては、分別収集する市町村の数が増え続けてきたものの、まだ5割強といった水準です(増える余地が大きい)。
ペットボトル以外のプラスチック容器包装(以下「その他プラ」)の再商品化が抱えている課題に触れると、次の3つがあげられます。


@資源の有効利用

 その他プラの材料リサイクルでは、製品が擬木、ベンチ、くい、パレットなど汎用性の乏しいものに限定される上に、約半分が残さ(産業廃棄物)となり、しかも処理コストが高止まりしています。


A分別基準適合物の品質向上

 その他プラは、どちらかというとペットボトルや白色トレイよりもごみに近いものですが、リサイクルするものには、汚れているものは入れないようにすることが必要です。


B再商品化手法の見直し

 その他プラについては、材料リサイクル優先の入札制度を見直し、固形燃料化やセメント原燃料化といった手法も採り入れていく必要があります。

 

 武蔵野市におけるプラスチック系ごみの処理

武蔵野市環境生活部クリーンセンター
 主査 小瀬隆男さん
 
 武蔵野市では、埋立量を削減するため、容リ法の完全施行を契機に他市に先駆け、2000年7月にペットボトルとその他プラの分別収集に踏み切りました。
しかし、減量効果が現れなかったことから、2003年10月に不燃ごみ残さの焼却にも踏み切り、2004年7月からは資源化できないプラスチックを可燃ごみとしました。

 プラスチック容器包装の分別収集と、資源化できないプラスチックの焼却の減量効果を検証してみたところ、プラスチック容器包装の分別収集実施後の2002年には、その成果がプラ系ごみの増加によって相殺される一方、配分量(処分組合が定めた搬入量の枠)がかなり削られたため、埋立量が配分量を大幅に上回ってしまいましたが、資源化できないプラスチックの焼却実施後の2005年には、埋立量が激減し、ようやく配分量を下回ることができました。

 もしも2つの対策を実施せずに、プラ系ごみをすべて埋め立てていたら、埋立量は2002年には配分量の2倍に、2005年には3倍になっていたと推定されます。
これは、プラスチック系ごみが年々増え続けているためです。


 大変かいつまんだ報告になりましたが、プレゼンテーション・報告・質疑の詳細を
講演録・新たな状況を迎えたプラスチック処理として発行しました。ご利用下さい。


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