ごみっと・SUN54号
小平・環境の会(東京都・小平市) 高梨孝輔
日の出の森の美しい、豊かな自然、ゆったりとした暮らし。 それを破壊し、切り裂いているのが、他でもない私たちが日々出しているごみであることの発見。 そして、そのつけが回り回って、私たちの生活に襲いかかってきていることを知った衝撃でした。
それまでほとんど知り合いでなかった同士の集まりでしたが、「映画を観て終わり」にしたくない、当事者としてごみ問題に関心を持ち、取り組もう、と会を作ったのです。
人口が増えている(10年間で6.4%増)こともあり、約3,000トン(6%)の減です。 一方、日の出へ搬入した焼却灰と不燃残渣はこの10年で34%減っています。 不燃として収集されたごみのうち、中間処理施設で燃やす量を増やしているからで、その分、環境への負荷が大きくなっている心配があります。
市の対策は家庭用生ごみ処理機を、補助金をつけて市民に買ってもらって、機械処理物を市役所などで回収し、肥料業者に渡す、というシステムです。 もう一つは毎年やっているEMバケツによる生ごみリサイクル講習会です。これがなかなか拡がらない。
市のごみ処理計画には、「生ごみ一次処理物を堆肥化し、農業利用を視野に入れた市内循環システムを検討する」と謳われています。
そこで市民の出番です。市民なら、お尻も軽く、縦割り行政の壁に穴を開けて実験に挑戦できます。 毎週日曜日午前は、晴れていれば畑仕事で、10人前後が参加しています。土に触れるだけでも気持ちいいのに、新鮮な有機野菜が食べられるので最高です。
冊子をまとめながら、農家に使ってもらえるちゃんとした有機堆肥を作りたいという思いが募り、企画書を出したところ、昨年暮れに市が10坪ほどの土地を貸してくれることになり、今年から落ち葉のプールと4種類の堆肥作りに取り組んでいます。
小平でも農地は50年間で約3分の1が失われています。なんとか農業をつづけてほしい。 市民は新鮮で体にいい野菜が食べたい。そのためには農家と市民と顔のみえる、腹蔵なく話し合える関係を作ることが必要です。私たちが作る堆肥を農家が使ってくれ、結びつきが深まり、農のあるまちづくりに貢献したいと考えています。
もう一つ、目の前の仕事は楽しいけれど、それに埋没していてはいけない、と思っています。
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