ごみっと・SUN53号
進めレジ袋削減!
レジ袋削減・実行委員会報告 No.6

 

清瀬市 レジ袋有料化への挑戦

 東京都清瀬市は、昨年10月1日から10日までの10日間だけ「市内の商店(スーパー・コンビニを除く)ではいっせいにレジ袋を有料にする」ということを試みました。期間限定とはいえ、地域ぐるみでのレジ袋有料化は、おそらく全国で初めてだろうと思います。

 ところで、中央環境審議会の「容器包装リサイクル法」見直しでは、レジ袋等(紙袋を含む)を大幅に削減できるよう、スーパー、コンビニ、百貨店などにおいて無料配布を規制し、さらに地域ぐるみでの取り組みやマイバッグ運動も必要である、ということも論議されていました。

 清瀬市の試みは、結果として不発に終わりましたが、今後各地域で始まるレジ袋有料化への取り組みやマイバッグ運動の参考になるのではないかと考え、1月18日に、清瀬市環境課、清瀬商工会、市民団体の「清瀬ごみともだち」に対するヒアリングを行いました。

● 実施の経緯
 清瀬市では「多摩北部都市広域行政圏協議会」(小平市・東村山市・清瀬市・東久留米市・西東京市)のごみ減量のための共同事業として、02年から毎年10月を「ノーレジ袋・マイバッグ推進月間」とし、ポスターなどでマイバッグ持参を呼びかけるキャンペーンを行ってきました。

 特に05年にはノーレジ袋の徹底を図るため、このキャンペーンの一環として、清瀬市独自に「10月1日から10日までの10日間、市内の全小売店でレジ袋を有料化する」ということが、市から「ごみ減量対策連絡会」(00年設立。西友、クイーンズ伊勢丹、マルエツ、いなげや、サカガミのスーパー5店舗や商工会、消団連、清瀬ごみともだち、自治会、老人クラブなどの代表19人で構成)に提案されました。

 この提案に対して、スーパー各店は、日本チェーンストア協会が「レジ袋有料化の法制化」を求めているという事情から、協会を通じて協力を断ってきました。
また、コンビニからも、本部の許可が得られないという理由で協力を断られました。
しかし、商工会が市や消費者団体の3年越しの要請に応じたため、商工会加盟店だけで実施することになりました。
行政の熱意によるところが大きかったようです。

 市環境課の竹之内課長は、今回の試みについて「マイバッグキャンペーンの一環として位置付けると同時に、本格的なレジ袋有料化に向けての実験としても位置付けています」と語っていました。

● 実施に向けての準備
 実施に向けての店舗に対する参加依頼や、市民へのPRなどには、市と商工会が分担して当たりました。
市は、市報(9月15日号・10月T日号)やホームページでのPR、各種団体への周知、ポスター・ステッカーの作製などを、一方、商工会は、店舗に対する参加依頼とポスター・ステッカーの配布、駅構内や商工会掲示板へのポスター掲示、ホームページでのPRなどを担当しました。

 商工会加盟店に対する参加依頼とポスター・ステッカーの配布は、10ある商店会を通じて行われ、ポスターとステッカーがそれぞれ約600枚配布されました。
なお、スーパーやコンビニもキャンペーンには参加し、ステッカーまたはポスターを掲示しました。

 しかし、肝心のレジ袋有料化については、スーパー抜きだったことや、店や消費者の理解が得られていなかったことから、店に抵抗があったため、事実上実施を見合わせ、マイバッグ持参の呼びかけにとどめざるをえなかったようです。

● 実施状況
 市内の各店舗には「10月1日から10日まで、レジ袋は1枚5円です」というポスターが掲示されましたが、実際に実施した店は4、5店にとどまりました。このため、市民からの苦情も皆無だったようです。

 一方、マイバッグ持参の呼びかけは、市の広報車や商店会の街頭放送で連日繰り広げられました。また商工会のアンケート調査によると、期間中、大半の店が全部の客にではないが「レジ袋は要りますか」と声かけを行っています。

 期間中の10月9日に清瀬駅北口のけやき通りで開催された『市民まつり』では、今回は市の提案で、会場内のすべての店(約70店出店)でレジ袋を一切出さないことにしました。

 袋が必要な人には、マイバッグ代わりに市指定のごみ収集袋(小・10リットル)が1枚10円で販売されました。
約1,400枚売れたそうです。

 ルールを守らなかった店もあったといいますが、ほとんどの店はルールを守ったようです。
来場者には、出店に掲示したポスターや場内放送で周知徹底させたので、トラブルは全くなかったとのことです。
この取り組みは定着しそうです。

 なお、一般の店舗でマイバッグ代わりにごみ袋を販売することについては、清瀬ごみともだちでは「消費者には、ごみ袋を下げて歩くのは嫌だという人が多く、また、店でも食品などをごみ袋に入れることには抵抗があるようです」と話しています。
事実、市が04年にごみ袋をマイバッグとしても使えるようにデザイン変更をしましたが、街中であまり見かけないようです。
ごみ袋をマイバッグ代わりに提供するのは、あくまでも緊急避難的な措置であり、マイバッグ持参が習慣になるようにするのが基本といえるでしょう。

 消費生活センターは、消費生活展や実施状況の検証などでキャンぺーンをバックアップしました。

● 総括と今後の取り組み
 レジ袋有料化の試みは、スーパーや商工会加盟店の参加を得られなかったため、不発に終わりました。
加盟店の参加を得られなかった原因としては、スーパーが脱落した影響に加えて、加盟店や市民への説明不足が指摘されています。
加盟店については、末端まで趣旨が浸透していなかったようです。

 市は、レジ袋有料化を今年も計画しており、規模の拡大や期間の延長を目指しています。
商工会や清瀬ごみともだちでは、スーパーの参加が実施の前提と考えています。
商工会の越石事務局長は「スーパーの参加を得られない場合には、マイバッグ運動に重点を置きたい」と語っていました。

 なお、実施に向けての課題としては、以下のようなことがあげられています。
 @スーパーの参加を得る。
 A加盟店に対し、参加を直接訴える。
 B市民へのPRを繰り返し行う。

● おわりに
 清瀬市の今回の取り組みでは、スーパーが成否の鍵を握っていました。今後各地域でレジ袋有料化への取り組みが次々に始まりますが、スーパーの対応がやはり鍵になります。

 スーパーはレジ袋有料化を実施するにあたって、チェーンオペレーション(標準化された店舗運営)を重視し、取組みが進んでいない地域がある場合は全体の実施を遅らせても、全店一斉に実施することにこだわるのか、それとも、個別対応ができるようにし、取り組みを始めたリスクの小さい地域から順次実施していくのか、選択を求められています。私たちはもちろん後者を望んでいます。


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