ごみっと・SUN51号
変えよう!「容器リサイクル法」

審議は大詰め どうなる?事業者負担
容リ法の改正を求める全国ネットワーク 事務局 服部美佐子

 

 中間とりまとめの公表後、パブリックコメントを経て、9月中旬から環境省と経産省の両審議会が再開、これまで出揃った論点を元に議論が交わされています。
12月には最終まとめが出される予定です。

プラ製容器包装のサーマルリサイクルは?
 マテリアル(材料)リサイクルは残渣が多い、 費用が高い、などの問題が指摘されるプラ製容器包装のリサイクル手法について、経産省はRPF(固形燃料)を提案、産構審で合意されました。分別収集する市町村が増えると、このままではリサイクル能力が不足するというのが理由です。

 中環審では高炉還元(鉄鋼炉でコークスの代わりにプラスチックを使う)などケミカルリサイクルの潜在能力について資料を請求したところ、全国鉄鋼連盟をヒアリングに呼び、連盟から収集の拡大に応じて設備投資を進め、利用を拡大できる、との説明を受けました。

 新しい手法の導入も含め事業者を拡大して健全な競争を促し、費用を下げなければなりませんが、固形燃料とはいえ、最終的に燃やすのであれば、市民が苦労して分別する意味はなくなってしまいます。
また、安価なRPFが参入すれば、マテリアル、ケミカルという優先順位もたちまち崩れてしまいます。
両省で見解が分かれるRPF。環境省にはサーマルを手法として認めなかった制定時の判断を貫いて欲しいと思います。

中間まとめを反故にする経団連の主張
   中間まとめでは「役割分担の見直し」について、不十分ながらも事業者負担を拡大する方向でまとまりました。ところが、ここに来て、産業界を束ねる経済団体連合会が「自主行動計画を作り、排出抑制する。
費用の一部負担は不合理、事業者の排出抑制は限界。
価格の内部化は空論。容器包装廃棄物の<有料化>により消費者の排出抑制をすべき。
自治体は残渣が出ないよう、汚れたプラスチック製容器包装は焼却すれば助燃剤代わりになる」と言い出しました。

 こうして主張を簡単に書き出しただけでも、半年以上かけて議論を積み重ねてきた「中間まとめ」を反故にする内容であることが分かると思います。また「自主行動計画」の内容は、実行を裏付ける担保措置がありません。

 商品価格にリサイクル費用を内部化して消費者が負担するという、市民や学識者の主張に対し、事業者は競争が激しく転嫁できない、統制経済的手法でなければ無理、と決め付け、できる、できない、と議論はこう着状態になっています。

ペットボトルの国外リサイクル
 容リ法を離脱して、ペットボトルの独自処理をする市町村が増えています。収集量28.5万トンのうち、12.5万トンが独自処理、残り16.5万トンが容リ法でリサイクルされています。
再商品化能力は39万トンで、稼働率は40%まで落ち込んでいます。

 審議会でも税金で集めたペットボトルが国外に出ていくのは問題、独自の場合はトレーサビリティ(履歴管理)を義務化すべき、など事態を憂慮する意見が多く出されています。
一方で、自治体は国外に出そうと独自処理をしている訳ではない、費用負担の問題が大きい、という見方もあります。

 緊急の課題である国外リサイクルに対して、産構審の郡嶌座長は「事業者が収集・保管費用を負担していくことで自治体を支援し、社会コストを下げることが重要」と発言、初めて事業者負担についての考えを示しました。


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