ごみを減らす法律に変えよう!

   徹底討論!容器包装リサイクル法(2)

 

パネラーの皆さん

 

参加者からの質問をもとに…ディスカッション

質 問
  回収費は自治体で負担すべき、事業者はお金を出しただけで社会的責任を果たしたといえない。ペットは燃焼温度が高いので、コストを考えれば、燃やしてしまうのがいいと思うが。
 

山 田
  燃やした方が安いが資源は有限だという点を考えるべきです。コスト意識を持つべきは消費者と生産者で、税金だと誰が負担しているか分からず、責任があいまいになります。
 コストを誰がどのような形で負担するのか、というのを改正のときに自治体のデータを収集して、計算すべきです。
 

質 問
  リサイクルすれば焼却・埋め立てコストが減るので、処理の総コストは軽減される。試算してみたが、自治体回収5〜6万、事業者負担8万、現在焼却している16万より減る。段階的に焼却場が要らなくなっていく場合のコスト比較も入れるべきではないか。
 

山 田
  そういう見方が足りないかもしれません。焼却場は何億もかかり、減価償却のこともあるので総コストの計算をしてみたい。
現状では高いが、長い目で見たらどうなのかということですね。
 

服 部
  リサイクルを徹底すれば、人件費やランニングコスト、新炉建設などごみ処理に掛かる経費は縮小していくことを加味した上で、コスト計算すべきという、大事なご指摘でした。
 

 

気になる「ボトルtoボトル」の将来性

質 問
  ボトルtoボトルで消費するエネルギー量は?
 

公 文
  分子構造にまで分解して再商品化するのですが、帝人ファイバーさんのHPによれば、石油と比較するとポリエステル原料であるDMTという物質を生産するのに要するエネルギーは84%削減、COが77%削減となっています。
繊維化やブルーシートなどは一回きりのリサイクルで次は焼却になってしまうので、BtoBはすばらしい仕組みになると思います。
 

質 問
  BtoBは、費用が掛かると聞いているが。
 

公 文
  他の再商品化と比べて高くはなりません。むしろ今回収している量では足りなくなります。再資源化業者では廃ペットを買いに出る動きもすでにあり、今年に入り、市町村の一部でも有価の取引が始まっています。
 中国へ推定10万tが有価で売られ、自治体回収の3分の1強にあたりますが、今後は状況を把握しながら海外向け輸出をある程度押さえていかないと、折角のリサイクル技術が何の役にも立たず、バージン原料の購入量を抑制することができなくなってしまいます。
 

質 問
  缶からペットボトルになる飲料が増えています。紙容器への移行はないのか?
間伐材使用のカートン缶についての見解は。
 

公 文
  当社の商品ではありませんが、間伐材使用のカートン缶はお茶で使われています。ただリターナブルにはなりません。この素材については林野庁からも紹介されました。
 

質 問
  韓国では一回用品を規制し、昨年1月から罰則もあるというが、ワンウェイ容器の禁止は可能か。
 

公 文
  容器素材ごとの課徴金制度です。たとえば、リターナブルびんは50円で10回使えば1回5円。ワンウェイなら50円×10になるので、排出抑制になるという考え方です。
 この結果、同じ中身と量で価格差が出てきますがメーカー希望価格と店頭価格でそれぞれの価格が逆転することも考えられ、しっくりは来ない。法制度化されれば、守る義務があるので、納得はしないまでもやむを得ないと思いますが。(笑い)
 

藤 井
  リターナブルの推進にはひとつの方法です。規制や経済的なインセンティブの仕組みにしても、デメリットもでてきます。国民すべてが満足する仕組みはあり得ないのだから、ニーズやデメリット、メリットが日本ではどうなのか、考えていきたい。
 

服 部
  藤井さんのご発言では使い捨て容器の規制に対して二の足を踏んでいるように受け取れますが、会場からご意見はありませんか?
 

質 問
  物足りないです。デメリットとは具体的に何ですか。では韓国はどうしてできるのですか。
 

服 部
  環境省にはニーズやメリットにとらわれず、発生抑制を貫いていただきたいですね。
 

土 居
  実務の立場から一言。ワンウェイの商品は限られています。ペットとガラスびんなどの対象物です。550億円の70%はプラ容器です。あらゆる商品が何らかの着物を着て動いています。飲料はたまたまそういうものが使われているに過ぎません。
 

藤 井
  検討の緒についたばかりで韓国の仕組みについて明確な見解はまだありません。リターナブル容器の利用を促進することの重要性は認識しているので、どうやればいいのかの議論が必要です。
 規制的な方法もあれば、ドイツのようにデポジットを活用するような方法もあり、さまざま選択肢があります。
 

服 部
  諸外国の事例も頭において改正に臨む。韓国の例も選択肢の一つではある。…という言葉をいただいて次に移りたいと思います。
 

質 問
  15年度の特定事業者の負担金か550億円だが、どうやって決められているのか
 

土 居
  再商品委託単価の根拠は、市町村から引き取る予定量と、再生処理事業者が入札する予測総価格からはじき出します。すべて計画値の積み上げです。経産省がリサイクル業者の能力を推定し、市町村がどれだけ集めるかで決まります。
 分別収集実施市町村の広がり、住民の協力度を掛け合わせて量が決まりますから、不安定な状態で運営をせざるを得ません。
 

質 問
  特定事業者は全事業者ではない。零細事業者の分は市町村が負担する。零細分の負担をどうするか。
 

土 居
  零細事業者分は、市町村負担分と便宜上言われています。これは指定法人に払わなければならないものではありません。独自に処理すると判断している市町村もあります。なお、去年と今年、PETボトルの場合、零細事業者の分はゼロでした。
 

服 部
  総額は550億円ですが、再資源化費用を払わない事業者(フリーライダー)が多いと聞いています。新聞販売店やコンビニ、スーパーのチェーン店などの店舗数も含めた数が53,000で、法人数にすると約半数の25,000〜26,000ということでした。
 経産省でさえも関連事業者の実数を掴んでいません。自治体の廃棄物会計は確かに不十分だと思いますが、一方で特定事業者であることさえ知らないのかも知れませんが、支払わない事業者がいるのはおかしいと思います。
きちんと支払っていれば、現在の負担割合も変わってくるのではないでしょうか。
 

土 居
  ただ乗りの実数は分かりません。15年度は6万4千件。これが正しいかどうかは分かりません。
 経産省が昨年発表した、事業者が負担しなければいけない再商品化義務総量の96%は払い、4%払っていないという試算が出ています。6万件が7万件になったとしても、それほど金額は増えない。
一般的には産業界で2割の事業者が8割の生産を挙げているといわれていますので、義務が生じるかどうかというボーダー上の事業者がたくさんいます。
 

服 部
    例え少額でも払っている事業者はいます。法律を守らなくていいはずはないと思いますが。
 

環境省にここが聞きたい!

質 問
  EPRを強くしていくため、内部化などの方式が考えられます。ドイツのDSDは?
 

藤 井
  ドイツはDSD式、フランスは市町村の収集選別に事業者が拠出金を出している。事業者に負担が移行するような議論になれば、そういった海外の例も参考にしたい。
 

質 問
  なぜ容リ法の制定時点で回収費用が自治体の方に課せられたのか。
 

藤 井
  容リ法ができた当時はEPRの概念はなく、議論はなかった。役割分担を定めた法律という整理になっている。関わるべき三者が役割分担をしてやっていきましょうと。
 

質 問
  事業者負担にしたらゴミは減るのか。
 

藤 井
  容器の製造から廃棄にいたるライフサイクルの中でいろいろな人が携わる。その中でリサイクルしやすい設計、素材を考える上で、一番影響力を持っているのは、容器を作るメーカーや中身メーカーで、その方々に責任をお持ちいただくのがいいのではないか、というのがEPRの考えです。

 現行の容リ法はどうかというと、再商品化費用はもってもらっています。EPRの概念は制定時にはなかったが、結果として踏まえてはいます。
今後の議論は、さらに回収などの費用ももってもらって、徹底した方が効果がでるのか、ということです。これからいろいろなデータを踏まえて、議論をすることになると考えています。さらに減るのか、リサイクルしやすい設計になるか…。
 

土 居
  事業者に努力をしてもらって量を減らしていく余地はあります。一部の飲料容器は減らせるが、所詮減らせないものもあり、限度があります。
飲料は要らないという議論は無理。商品には容器なしには存在し得ない物があるが、一定のところまでは努力はしてもらいたい。
 

公 文
    容リ法で回収率の向上、再商品化率も上がり、ごみの減量に機能してきたと思う。ごみを減らす話とお金をどこが負担するのかという話は違います。

 回収システムの構造をもっと慎重に見直す、つまり、どこの負担がどうなってるのかということを調べ改善することが必要。それには時間が掛かります。
 一方で、私は回収コストの商品価格への内部化によってリサイクルの仕組みが大きく変わるとは思いませんが、100円のものに50円程度の高いデポジットをかければ効いてくるかもしれません。

 しかしながら、メーカーとしてはそこまでの価格上昇を認めることはできません。ビール瓶などは容器保証金システムにより購入者が1本5円を負担しているが、実際はリターナブルの仕組みに乗らず自治体回収に出てしまう。
小額では大きく変わりません。回収率もガラス、アルミ、スチールでは80%を大きく上回るレベルまで来ており、非常に大きな社会的コストをかけて次は何%を目指すのか。

 ペットについても中国に行っている10万tを含めれば回収率は8割近くになっている。
 

まとめの発言

服 部
  ただ今のご発言には、一時間ぐらいかけて反論したいところですね。(笑い)
 残念ながら時間も迫ってきましたので、まとめに移りたいと思いますが、先ほどの反論も含めまず私から。

 現行法では、なるべく使い捨て容器を使わない、ごみを減らしたいと思っている納税者の税金も使われています。市町村では負担が重くこれ以上リサイクルができない、燃やした方がいいという切迫した状況になっています。税金では個人の負担意識もなく、自治体で行う減量には限界があります。

 現在、リサイクル費用は外部化されていますが、市場経済の中に組み込めば、静脈産業はより整備され、効率のいいリサイクルの可能性も生まれます。
すぐにごみになるものや複合素材などのリサイクルしにくいものをメーカーが回避するようになれば、リサイクルに掛かる費用が減り、社会全体のコストも抑えられるのではないでしょうか。

 2000年に循環法ができ、さらに今年から運用されている自動車リサイクル法では、リサイクル費用が消費者負担になりました。そうした法整備の経過も踏まえて、きちんとごみを減らす法律に、改正していきたいと思います。
 

山 田
  1年半にわたり区を2分する議論があり、難産の末、平成14年にレジ袋条例が可決されました。しかし、まず税と違う方向で努力するという付帯決議が付けられ、レジ袋の拒否者を6割にまで高めることになりました。
15年7月までに拒否者を33%に、という目標でしたが、15年1月で24%。エコシールの配布後も28%でした。今年7月の結果で判断し、税の条例も検討します。コンビニ、スーパーには有料化を促しています。

 不燃ごみのプラ容器をどう減らすかが課題。そこで「杉並環境賞」のような賞を作り、容器包装過剰事業者は「厚着賞」などとして区民意識も変えたい。区民の意識を変えれば、メーカーも動かすはずです。
責任は生産者で消費者に負担させる。国会議員にも納得してもらって、そういう方向にしてもらいたいと考えています。
 

公 文
   家に帰れば私も一般市民ですが、事業者としての意見もあります。どうすれば環境負荷を下げられるか。また、それを実現するための社会的コストをミニマムにしていく手法があるのか。
EPRやリターナブルなどに関して今後さらにディスカッションして、国や自治体、市民の皆さんと共に容リ法をよりよいものにしていきたい。

 地球環境にとっての利害関係はひとつです。仕組みやコストについてすりあわせを各層でやっていきたいと思います。
 

土 居
  市町村で集めたものをいかに安く、効率よく処理するかという話をしました。
 指定法人としては、議論のための素材提供はできます。容器包装リサイクル協会のホームページに資料が発表してありますのでご覧ください。
 

藤 井
  これから容リ法見直しの議論を進めていくわけですが、いろいろな立場はあれ、この日本の社会を何とかして循環型社会に変えていこうという想いは共通であろうと思います。そういったコンセンサスの下に見直しの議論が盛り上がっていくことを期待しています。
 環境省としては、まずはできるだけ幅広くご意見をお聴きし、率直な議論ができればと思っています。
 

服 部
  さらに議論を深めようという藤井さんのご発言を締めくくりの言葉として、会を閉じさせていただきます。快くご出席いただいた4名のパネリストの方々に大きな拍手をお願いいたします。皆さまのご協力で、中身の濃い議論ができました。ありがとうございました。
 


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