ごみ減量に逆行するRDFに終止符を
全国の施設で事故多発

  「可燃ごみを固形燃料に」の大見出し、「焼却炉のない清掃工場計画」「住民らの訴え実る」と続く、朝日新聞の1993年の記事がある。
「“ごみ”が燃料として売れる」というメーカーの売り込みに乗り、同年、厚生省はRDFを国庫補助金の対象とした。
さらに97年から進めた「ごみ処理の広域化大型化政策」の一翼を担うとして、整備を指導、これを受け市町村でRDF施設が相次いで導入された。

  一方、RDF技術が浮上し始めた頃、全国でごみ処理施設を巡る地域紛争が激化、住民と行政は対立軸の真っ只中にあった。
ごみ処理の「脱焼却・脱埋め立て」を主張する住民側にとって、焼却工程がない、燃料として利用できる、処分場が延命できるという触れ込みの『固形燃料』は焼却の代替案であり、肯定的な評価さえ得ていた。

  だが、ここに来て、RDFの製造施設や焼却・発電施設で発火や故障による運転停止などトラブルが続出、過去の事故も次々と指摘されている。
3月には三重県多度町にある「三重ごみ固形燃料発電所」のRDF貯蔵庫が爆発、爆風で屋根が飛び二人の消防士が亡くなった。
「ごみが人の命を奪った」痛ましい事故はまだ記憶に新しい。

 

もとから ヤバイ! RDF

  RDF(Refuse Derived Fuel)は家庭から出るごみを乾燥させて固めたもので、主に3通りに分けられる。
成型前に生石灰を添加するJ−カトレル方式、成型前に消石灰を添加するRMJ方式。
さらに廃プラスチックRDF(RPF)があり、生ごみの乾燥工程が不要のため、掛かるエネルギーは少ない。

  言うまでもないが、ごみには当然いろんなものが混入しているし、塩ビや重金属など有害物も含まれる。
だからRDF製造施設といっても焼却炉同様に厄介な施設に変わりはなく、バグフィルターなどの重装備が不可欠である。
また燃料といっても、燃やす時にはダイオキシンなどの排ガス対策を講じたボイラーが必要なため、セメントエ場や製紙工場など、特殊な工場で受け入れているに過ぎない。
施設を造っても最終処分場に捨てたり、不法投棄されていたという例も後を絶たない。

 

切っても切れない … RDFと広域化

  三重県では県内26市町村が製造し、県が委託した富士電機がそれらのRDFを炉で焼却・発電していた。
そのひとつ上野市では、乾燥機や選別機で発火事故が10数回。RDF自体、水分が多く成型も不十分だったにもかかわらず、事故情報を通知せず、また発電所からのクレームもなかったと言う。
自治体同士、それぞれがどんな製造施設を持っているか、知らず、情報交換もほとんど行なわれていない。

  ごみ固形燃料発電施設は安定してRDFが持ち込まれないと効率が悪い。つまりごみが減っては困る仕組みになっている。
立派な施設を造ってはみたものの、多くの施設ではごみが足りず、石炭など別の燃料を補充している。

  さらに問題がある。RDFをよく燃えるようにカロリーを上げるためには、「プラスチック」の混入が不可欠となる。
それまでの分別を止め、何でも「分別せずに出せる」というメーカー側の売り込みに乗せられて、RDFに切り替えた自治体が多い。その影響でごみが増えている。
増えるに任せる自治体とごみがなくては困る県との危うい二人三脚だ。
名古屋市を初め、分別や資源化に努力する自治体で着実にごみが減り続けているのとは対照的である。

  ごみを固めたRDFは「夢の燃料」ではなかった。
事故後、管理の社撰ぶに地域の住民からは不安の声が上がっている。だが、野呂昭彦・三重県知事は「施設の閉鎖は考えていない」と表明した。
今回の操業停止で行き場を失ったごみを処理したため、損失は2億円を超えるという。
ごみ発電もストップした上、処理費に2億、これからも増える損失に知事は「止めるわけにはいかない」のが本音だろう。

  100億円を超える発電施設を抱える大型プロジェクトは容易に方向転換できない。
またこの方式に頼ってRDF製造施設を造った構成自治体は運命共同体となって、固有のごみ政策も退路を立たれてしまう。では、このまましがみつき、悪循環を繰り返して、多額の税金を使い続けるのか。

 

売れないどころか 「金食い虫」

  RDF、実は燃料とは名ばかりで、大半の自治体が運送費を自己負担、実態は逆有償で、処理費はこれまでの焼却処理より驚くほど高い。
三重県では計画が始まった95年当時、市町村に対し「RDFを燃料として買い取る」としていたが、その後「無料引取り」に、最後は市町村が県にトン当たり3,790円支払う「逆有償」になった。

  一方、県企業庁は昨年12月から県の委託で焼却・発電を行なっていた富士電機に、RDFを200円で売り、灰を同社の産業廃棄物として処分させていた。
通常、灰処理はトン2万円程かかるといわれる。
一般廃葉物を表向き「有価物」として扱ったのには訳がある。
富士電機や灰の処分業者が廃葉物処理業の許可を取っていなかったからだ。
この脱法行為に対し、9月25日市民団体が廃案物処理法違反に当たるとして県企業庁と富士電機を告発している。

  東京都府中市では1995年から不燃ごみのプラスチック類をRDF(厳密にはRPF)にして、福島や茨城県のクリーニングエ場で燃やしていたが、今年3月に打ち切った。
理由はコストが掛かり過ぎたからで、02年の委託契約単価はトン当たり32,000円、生産量は約千トンで引き取り先への支払いは3,000万円以上。
同じく法の規制を逃れるため、トン当たり1,000円で売った形にして有価を装っていた。

  RDFを止めた府中市は、4月から容リ法に則り川崎市の昭和電工でケミカルリサイクルをしている。 再処理の負担は6,840円、RDFの約5分の1だ。

 

全国の事故発生状況

  新聞報道によると、環境省調べで、発電施設66ヵ所のうち30ヵ所で事故や異常事態が起こっていることがわかった。
調査によると、発電所では全国8ヵがRDF貯蔵施設だった。試運転中の広島県の福山リ サイクル発電所では燃焼設備が一部焼損した。
RDF製造施設は58ヵ所のうち、26ヵ所で32件の事故や異常が発生。最も多いのは乾燥機、冷却機の各8件。

  発火など30回以上のトラブルが続出した、静岡県の御殿場小山広域行政組合は施設建設4社を相手に建設費と同額の約80億円の損害賠償を求める訴訟を起している。

 

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  生産段階で有害なものや使い捨てを規制せずに、大量のごみを安全に処理できる『魔法』は存在しない。
悲惨な事故を教訓にRDFのようなまがい物ともいえる「新技術」にしがみつくのは終わりにしたい。

ごみっと memo
RDF: ごみを砕き、熱処理して成型したもの。腐敗防止と乾燥のため石灰を入れる。体積が約5分の1、重さは約2分の1になる。90年代に入り、“夢の技術”として注目され、「形や品質が一定、安定して燃焼でき、ダイオキシンの発生が抑えられる」という触れ込みで広まる。
たとえが悪いが、外見は公園の隅に放置されたイヌの“うんち”、太いのも少し細いのも、長さもまちまち。
現在、国庫補助金を受けたRDF製造施設は49、RDF発電施設は4個所
処理能力の00年度のごみ総量に占める割合は0.4%である。


参考資料:
RDFに未来はない/別所珠樹(奈良ごみの会ニュース)
学びと環境の広場
RDFは循環型社会の切り札か/杉本裕明(ガバナンス)

ごみかん理事*服部美佐子


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