“ごみ探偵団” 報告その 2
ライフスタイル見直しフォーラム2002で討議

 

  ライフスタイル見直しフォーラム2002は環境省、東京都、そして環境NGO、企業、生協、労働組合などで構成する実行委員会が共催し、11月23から25日まで行われた。

  24日の課題別フォーラムで、ごみ・環境ビジョン21はFOE Japanと共にパネルディスカッションを行った。
企業側のパネリストは(株)日本マクドナルド社の担当者に受けていただいた。辛口のタイトル「使い捨てじやなきゃ、いけないの?」と題した議論に企業の参加を得たことを評価したい。

 

“ごみ探偵団”の報告書がまとまった
  FOE Japanとごみかんの共同プロジェクト「ごみ探偵団」の初仕事である『ファーストフードやコーヒーショップチェーンの店舗調査及び企業ヒアリング』が報告書としてまとまった。

  「マクドナルド」(3,879店舗)や「スターバックス」(415店舗)などは主に使い捨て容器だが、「モスバーガー」(1,537店舗)、「ドトール」(879店舗)など、開業時よリマグカップを使い続けているチェーンもあった。ほとんどの店で紙やプラスチック製の飲料容器に透明なフタが必ず付いていたり、ミルクや砂糖が個別包装になっていることが分かった。資源と経費の節減のためにも、改善を促したいポイントである。

  また温度差はあるものの、各企業とも環境配慮への意識をもっていること、来るべき食品リサイクル法導入への準備や事業系一般廃棄物と産業廃棄物の二手に分かれるごみ処理などの実態が浮き彫りになった。

  率直な見解を企業から引き出すことができたのは、約60名の方々による約2,400店舗に及ぶ調査というユーザーからのアプローチが功を奏したのだと思う。

パネリストの発言
● マクドナルド環境担当部 高橋一伸さん
  アメリカのビジネス形態に則ったクイックサービスのため、使い捨てでないと対応できない。
飲料容器はすべて紙製、現在、紙のリサイクルについて製紙メーカーなどと検討中であるが、分別や広範囲からの収集、洗浄など課題は多い。
使い捨て容器を使う理由として、リユース容器は水・洗剤・エネルギーを使うので、環境負荷を上げてしまうという懸念がある。試したこともあるが、手間がかかり、費用以外に労務面でも店舗にとって相当な負荷がかかる。

● 東京大学生産技術研究所 安井至さん
  …地球から何を取って何を捨てているかというのがライフスタイルアセスメント(LCA)の基本的な考え方である。例えば、ビール瓶が20回使われるとした場合、1回使うのに係る製造エネルギーを20分の1にして1回あたりの負荷を出す。再利用率は9割で、資源をほとんど使っていない。

  リユース容器の洗浄に使う水の量は大した量ではない。製造時の方が多い。リユース容器を使うと、環境負荷が増えるということはない。

● ソウル特別市東京事務所 朴成培さん
  …最終処分場が一杯になり、92年からごみ減量対策を始めた。95年ごみの従量制(有料化)によって30%減った。
ソウル市のごみ1万t/日の内3,000tが生ごみで、1,000〜1,500tを堆肥化・飼料化している。92年にリサイクル法を制定し、5年後に一回用品(使い捨て)の規制を告知、95年に使用規制が発行された。

  レジ袋の無料提供を止めたことでマイバング持参率が50〜60%になった。
来年からファーストフードとコーヒーショプチェーンが自主協約により使い捨てカップを減らす取組みを始める。
テイクアウトの場合は容器に予め100ウォン上乗せし返却すると、返金するという誘導策をとる。容器の返却は買った店でなくてもよい。

参加者との討論から

Q:リユース容器の洗浄による環境負荷
A:安井
  日常生活で使用している水に比べて、容器洗浄の水による環境負荷が特に大きいとは思わない。

 

Q:使い捨て容器の環境負荷
A:高橋
  容器を変えることはビジネス形態を変えることであるが、社会状況はそこまで至っていない。リユースにする場合、環境負荷に関する根拠、ビジネスなどの見極めが必要である。リユースは環境負荷が大きいと考えるが、検証しなければならない。
またどうせリユースにするのであれば足並みをそろえたい。一社だけでは買い易い方へ流れ、挫折する可能性が高い。社会的背景、国や自治体による強制的な手法が必要だ。

Q:経済性でリユースを選ぶところもある
A:高橋
 マックカフェという独立店舗は採算が取れなかった。経営の考え方は各企業によって異なる。

  今回の議論で環境配慮と経済性の両立、使い捨てとリユース容器の比較、法規制などの課題が明らかになった。
企業の今後のあり方は「商品力に加え、環境や福祉など社会貢献が重要である」という高橋さんの発言に表われている。一方、会場からは「環境面で店を選ぶという目をこれからも持ち続けたい」という調査参加者の意見が出された。

  「脱・使い捨て社会へ」の道は遠いが、今回のフォーラムを終え、新たな手応えを感じている。03年には第二弾の取組みとして、容器のLCA調査、消費者アンケート、韓国視察などを企画し、今回出会ったパネリストの方々にもお世話になることになっている。
これからも企業と消費者に直接働きかける取組みを展開していきたい。


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