ごみっと・SUN 32号
お酒の量り売りをしている
「NIIKURA」酒店
白石 ケイ子(ごみかん会員:武蔵野市)

  東京都・武蔵野市にお酒の量り売りをしている店があると聞いて訪ねました。武蔵境駅南口を西へ歩いて3〜4分、通りに面して姿を現した「NIIKURA」酒店は、しゃれた感じの今風のお店です。

  酒の計り売りを始めたのは、今から1年半ほど前。おいしいお酒をできるだけ安く提供したい、
というのが動機でビンをリユースしたら、環境にもやさしいという結果になった」…。
と取締役店長の新倉孝夫さん。

  岩手からタンクで仕入れる生酒は、直接店頭の800リットル入るステンレス製のタンクに詰められ、常に蔵元に貯蔵されるのと同じ−1℃に温度設定されているので、800リットルの酒がなくなる3〜4ヶ月は味が変わらないそうです。
ビンの持込みによる中味だけの販売も行っているので、容器のごみを出さずにお酒が楽しめます。
さまざまな大きさのビン(有料)も用意されていて、オリジナルブランド『六番や』のラベルを貼っもらうと贈答用にもなります。

  紙パックの酒を買いに来るのは主婦が多いが、本当に酒の好きな人は自分でビンを持って買いにきてくれる。
日本酒のほか、むぎ焼酎『天杯』、沖縄の泡盛『瑞泉』など本格焼酎4種類が壷に入っていて、計り売りをしている。
焼酎に関しては壷熟成を目的としているため一升瓶から壷への移し替えをするので、どうしても一升瓶が出てしまうが(専門のビン取り扱い業者へ回収させている)、こちらもお客様のビンの持ち込み(360ml、720ml)はおおいに歓迎している」…。とのことでした。

  また、現在、信州の造り酒屋とのオヅジナルブランド『昔栄え』 〔むかしさかえ〕に関して、使用済み瓶を送り返す交渉を継続中。以前は国産ワインでも考えたこともあったが、海外ワインとの価格、クオリティーの差があまりにあり過ぎるので断念したそうです。

  量り売りをするように店内を改装した時に作つたカウンターには、足の高い椅子が5脚、そのカウンターでお客さんの相手をするのは、店長のお姉さんです。
若い方の人生相談あり、外国人客も加わって、カウンターはいつも賑やかだとか…。
お姉さんは子どもが小学校に入って出会った給食の栄養士さんの影響で環境問題に関心を持つようになり、食べものに対する考え方もすっかり変わったそうです。
「外に出て活動する時間はないが、せめてこのカウンターの中から一人ひとりに大切なことを伝えていきたい」と語っていました。

  10才を頭に3人の子どものお父さんでもある新倉さんは最後に環境問題について、このように話してくれました。
わずかこの数十年で数億年の遺産(資源)を食いつぶし、子孫に莫大な借金(環境問題)を残すこの時代は大放蕩時代だと感じているが、また一方で環境対策など考えていては厳しい競争社会に生き残っていけないという大きな矛盾を持っている。
しかし、その中でも何かを変えていかなくてはいけないと考えている。


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