循環型社会システム研究会 辻 芳徳
「循環型社会白書」とは聞き慣れない白書ですが、あなたは知っていましたか。
第1回目の「循環型社会白書」は‘01年6月26日に、第2回目の「循環型社会白書」は‘02年6月24日に閣議決定し、同日に国会に報告されています。
第1回目の最大の特徴は、序章の第1節の「人類の歴史と廃棄物」及び第2節の「我が国における廃棄物・リサイクル対策」です。タイトルからわかるとおり「廃棄物の歴史」が記載されていることです。
第2回目の特徴は、序章の第4節の「循環型社会イメージ」です。ここでは、1では「循環という考え方」、2では「循環型社会の姿」を説き、3では「循環型社会に向けた3つのシナリオ」を提示し、旧環境庁(作文官庁)的な手法で8月中までに、国民から提案された意見を来年作成する計画等に反映するということです。
一般的に白書は、起草担当部局を中心に関係するすべての官庁の合意を得なければ閣議に提案できません。
例えば、経済産業省からは「環境白書」に関しては、百数十項目にわたる質問や意見が出された模様ですが、「循環型社会白書」は2項目の質問だけと言われています。
ところで、皆さんは、「循環型社会」とはどのようなイメージを抱きますか?
法律によれば、廃棄物対策を主眼に
@廃棄物等の発生抑制
A循環資源が発生した場合の適正な利用促進
B適正な処分
と定義されています。
しかし、現在、中央環境審議会の部会で検討中の「循環型社会形成促進基本計画の策定のための具体的な指針について(意見具申/02年1月17日)」では、先に述べた法律の概念と異なる見解を示しています。
それは、単に「廃棄物に矮小化」することなく、自然環境や共生、資源の活用方法、地域社会のあり方等を国民参加で意見交換を行い、政治や経済に配慮した社会の実現にも目を向けるべきと、意見具申しています。
この意見は、法律が国会に上程された前後に、廃棄物問題等の解決に向けて地域運動を実践中の皆さんから寄せられた意見でもあります。また、公明党案にも記載されていた概念です。
循環型社会=廃棄物対策では行政負担が過大です。税の公平な運用を考えると悲しいです。
循環型社会とは、地域社会のあり様を大胆に変革する社会改革
◆ 地場産業の育成⇒しょく(食&職)住接近⇒余暇の拡充
◆ 地産地消⇒フリーフーズ
◆ ブーメラン経済システム(97年3月)⇒所有から借用・共用(リース・レンタル、修理、デポジット
◆ 週休4日制<農耕・余暇等>
のキーワードです。
そのような意味合いからみると、白書が提示している3つのシナリオ、つまり、A案、B案、C案では、私たちが求めている社会像と異なります。皆さんも“白書”を購入して検討を試みてはいかがですか。
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