実践! 食べて感じて、はじまる循環型生活 (その2)
神宮司 真人

 

エンジニアになりたかった

  エンジニアになりたかった。「グローバルで最先端技術」そんな企業に出会い、就職。
九州小倉から上京してきた。
 スタンフォード大学の二人の学生に、教授が援助をして技術を磨かせ、ガレージで製品を作らせた。
後に、二人はこの会社の創始者となり、ガレージは“シリコンバレー発祥の地”とされている…という人間味あるエピソードも大好きだった。

  充実していた。だが、30歳になった時に40歳までにこの会社を辞める事を目標にした。
それで、何をやるのか、と考えた時、頭に浮かんだ未来図は、自給自足で旅人をもてなす「民宿のおやじ」だった。

街の自然エネルギー屋さん

  「街の自然エネルギー屋さん」 …現在は、こういう肩書きで仕事をしている。
自然エネルギー屋さんって何をやっているの? …現在は、2つの試みを実践している。
ひとつは“食”
日本では太陽と土と水があれば、植物は自然に育つ。その植物が食られるものだと食糧となる。
  これは食べる事で生命を維持している人間にとって一番有効な太陽エネルギー、すなわち自然エネルギーの有効な活用方法ではないだろうか、と思い、実践。「自然食の店 いーらいふ」が実践ステージである。

  Ecology、Economy、Enjoy、Environment、Energy ・・・・・・ やりたかった「暮らし(Life)」のテーマの頭文字が“E”で始まるものばかりだったので、E-Life!!
雑穀、根菜、海草、野菜、きのこ、天然醸造の味噌、醤油、自然塩など自然のエネルギーが充分生かされているであろう食材を使う。
加工食品や化学調味料、白砂糖などの、工場出身の食材や肉類は使わないーと決めて
 …素材の味、すなわち自然の味を生かした、おいしく食べられる料理を開発できないだろか …からはじまり、今では、お弁当とレストランという形で多くの方々に利用していただいている。
ありがたいことです。

クリーンエネルギー

  また、“自然エネルギーを無駄にしない”ひとつの解決方法として、店で出る生ゴミ(野菜くずしか出ないが…)は、店先の太陽電池と風力発電機で作った電気で生ゴミ処理機を動かし堆肥化することを実験として行っている。
 しかし、実験は満足のいく結果は期待できないことがわかった。そこで、堆肥化工場に堆肥化容器で一次処理した生ゴミを持込ませてもらえるようにお願いし、昨年秋から実践している。
これまた、ありがたいことです。
 お客様、食材を提供していただいている自然農の各地の生産者や生産地の方々、食を職とする方々、食にこだわる方々など多くの人と交流し、“人”エネルギーを感じながら、事業活動エネルギーにさせていただいています。

  もうひとつの試みは、自然エネルギー(太陽光発電、風力発電)利用の小規模分散型エネルギーシステムの提案、販売、施工です。
  太陽電池55ワット型(33センチ×130センチ)、これ1枚だけでも立派に発電し、その電気を使える。
 当初、太陽電池や風力発電は、男性の関心を引くかと思っていたが、実際は若いママさんのグループや各地の婦人団体様から、講師や発電実演の依頼がある。「この子の将来のために」「少しでもCO2を減らさないと」などと。
 ご家庭のベランダや軒先で、トラブルもなくせっせと発電し、小さな電気ですが毎日使われています。

クリーンなあかり

  また、昨年より次世代の「あかり」の一部を担うであろう「発光ダイオード」を使った照明器具の実用に向けての提案を続けています。
 今ある照明器具より消費電力がはるかに小さく(省エネ)、また寿命が蛍光灯の数倍以上(ごみになるまでのサイクルが永く、蛍光灯のように有害ごみにならない)、電磁波も出なければ、発熱もほとんどない(安全)等…の特徴がある。今、世間に知られてきた「青色発光ダイオード」の応用による「あかり」である。

  現在大量に使われている蛍光灯は大変便利ですばらしい。しかし、寿命がきたら有害ゴミである。水銀が含まれている。
 水銀は、一本ずつは極微量だが、年間に捨てられる蛍光灯は全国で約3億3千本。頑張ってリサイクルしている自治体もあるが、処理するには、回収・処理費で1本あたり約40円かかるといわれている。現実には、ほとんどが そのまま埋め立てられるか、焼却されています。

  この「あかり」は昨年、経済産業省の外郭団体「省エネルギーセンター」の省エネルギー地域活動支援事業補助事業に選ばれ、三鷹市内の集合住宅で蛍光灯に代わり連続点灯を続けている。
  世の中に発光ダイオード(通称LED)の「あかり」がでたら、ぜひ使ってくださいな。


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