エコロジー は エコノミー
エココロジーな暮らしは大切だけれど、環境にいいからって、高いものを買ったり、不経済な生活するのってなんか変!     …とごみっと母さんは思います。そこで新シリーズで始める『エコロジーはエコノミー』。ひとり一人の生活から社会システムまで、あちこち探してレポートします。

 

武蔵野市から製紙工場へ “割り箸リサイクル”

 2月27日の昼下がり、約60万本の使用済み割り箸の入った段ボールを満載したトラックが武蔵野市を出発。向かったのは新座、ターミナル駅でJRコンテナに積み替えられた荷物は、翌日午後3時ごろ、目的地である愛知県の王子製紙春日井工場へ辿り着きました。

 事の起こりは、市民グループ「生ごみサークル」代表の藤岡憲子さんがメンバーの兼子実さんと交わした「割り箸を何とかできないかしら」というやりとり。
兼子さんは食堂を切り盛りする傍ら、市のモニターで用済みになった生ごみ処理機を引き取り、日に7kgも出る生ごみを堆肥化してきたその道の達人。王子製紙が割り箸の再生に取り組んでいることを知って、99年の秋頃から店で使った割り箸を15kg入りのみかん箱に入れて、宅急便で送り始めました。難点は高い送料。もっといい方法はないかと探したところ…。

 いい感触を得たのは「(東京)行きはいいが、帰りはさびしい」JRの貨車。5t=300ケース(1ケース=割り箸5,000膳)も積むことができるコンテナの登場で目標もでき、本格的な割り箸集めが始まったのです。飲食店組合(約4,000店)の役員も務める兼子さんは地域の会合で協力を仰ぎ、周辺約20店舗がストックヤードとなった兼子さんの倉庫まで、割り箸を運んでくれるようになりました。
 藤岡さんら生ごみサークルも、飲食店を回って割り箸リサイクルの意義を話して歩き、輸送代、約3万5千円也もカンパで集めました。

 残念ながら、ストックヤードや世話人などの理由で、飲食店組合という組織だった動きには到りませんでした。「頼みの綱」は市民の後押しと事業者の熱意。忙しい合間を縫っての世話役にめげそうになる兼子さんを支えたのは、割り箸を持ってきた店主の「こんなにごみを出していることに気がついた」という何気ない一言。
 手間をかければ、燃やされていた割り箸分のごみ減量と処理経費の削減、しかも紙に再生、まさにエコロジー&エコノミー!このエコエコ路線で、チェーン店やデパートなど大手の飲食店をあたり、行く行くは店舗ごとに手数料を取って回収費用に充てたいとのこと。

 どの自治体でも頭を痛めているのは、一向に減らない事業系ごみ。4月から施行される「食品廃棄物リサイクル法」では、年間100トン以上生ごみを出す事業者にはリサイクルが義務付けられ、ますます、ごみを出さない事業が求められます。こうしたリサイクルの難関は回収システム。
 兼子さんには、東京全域で回収できれば「5つのターミナル駅から、毎日割り箸貨車が出せる!」という壮大な夢もあるとか。
 1年がかりで船出した割り箸コンテナ、さて次の航海は…。(「割り箸」には賛否両論ありますが、大半が可燃ごみとして灰になっているのは紛れもない事実です。
使い捨てから食文化までさまざまな議論がある中での取組みであることを付け加えます)

藤岡


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