丸太小屋を作ったらごみ問題が見えてきた 最終回

自然との共生を生かす作物づくりに
福岡美與(東村山市)

 手作りの丸太小屋には40坪ほどの農園があり、50種類近くを作付けし、我が家の自給菜園となっています。
ジャガイモに始まる春一番の作付けには、1年間かけて仕込んだ堆肥をたっぷりと元肥に入れます。
 晩秋の落葉は多大な量が市街地で可燃ごみとなり、その後始末で厄介物扱いされています。自宅がある東村山市内の公園や駐輪場などででる落葉を大ビニール袋に詰め込み、軽トラに満載状態で数回現地まで運び、堆肥化しています。
 これは既に10年以上続けるこの季節の年中行事となっています。本格仕込みは年初の寒中作業。いつも感ずるのは落葉以外のごみ量です。
プラスチックトレーやボトル、菓子袋、弁当容器、ジュース缶、吸い殻、紙屑など、公有地がごみ捨て場かと思える量で、落葉の中に混じってボロボロと出てきます。
 堆肥づくりには米糠、鶏糞、魚粉を購入して加え、大学の馬場からもらえる馬糞や市内の一次発酵生ごみも醗酵促進と成分調整の堆肥材に利用しています。
堆肥づくりには多量の水も必要です。
不法投棄された廃物プラスチック風呂桶をタンクに、屋根から流れ落ちる貴重な天水を溜め、堆肥づくりに使用しています。

 このような素材で時間をかけて作った堆肥で育つ野菜、5月の連休前後は夏野菜のナス、トマト、キュウリなどの植え付けや種蒔きの最盛期となり、作物は順調な成育を続けて高温多湿の梅雨期を迎えます。
 ジャガイモは収穫期へ入り、地上部の葉茎も大きく育ちます。無農薬有機栽培で理想的と思いきや、やがてどこからやって来るのか、黒の水玉模様28個を背に散りばめた「てんとう虫だまし」が飛来し、その葉を食害し始めるのです。

 収穫期まで手で捕殺を繰り返しますが、「てんとう虫だまし」は同じナス科のナス、トマト、ピーマン、しし唐などにも移動するのです。
自宅から離れた地の利は週末の休日のみの手入れとなるため、害虫繁殖期へ日々の管理が行き届かず、害虫天国となってしまいます。青々と大きく育っていたナスの葉も葉脈のみを残すクモの巣状の葉に一変し、次第 に樹精が失われて行きます。盛夏を乗りり切る無農薬野菜づくりは、一にも二にも害虫との戦いです。
 テントウムシのなかで二つ星テントウムシはいわゆる益虫でナスやピーマンの若芽に付着するアブラムシを食べてくれます。
また、元肥の堆肥にはモグラの来訪を受けます。モグラは自然界の耕運機ともいわれますが、種蒔きや植え付け直後は悪さも多い迷惑モノで、堆肥の中のミミズを食しに、堆肥畝に沿って掘り起こしてしまい、発芽したばかりの畑などはひとたまりもない被害を受けます。
 モグラ防除対策へ、先人の知恵は数多く、聴覚と嗅覚の鋭いモグラへいろいろな対策を編み出しています。畑に回る風車は振動音が防除となり、臭いのきついクレオソートをモグラの通路にセットする等などです。
私はビールの空缶とスチロールトレーを使って風鈴を作り、その振動音で防除しています。しかし、夏場の無風状態には効果が有りません。
 自然界は食物連鎖のバランスでモグラをねらってヘビが畑にやって来ます。昆虫類を食するクモやトンボ、カマキリそしてカナヘビ、野鳥などの多くの生き物の力を借り、共生して作物づくりをしていることにも気づかされます。

 決して人の力で作物を作ったなどとのオゴリは言えません。お天道様の恵みと共生する生き物との合作であり、人は介助役に過ぎないとも言えます。
収穫作物は天からの頂き物であり、生態系の自然バランスを大切にして、四季のリズムに合わせた生活に少しでも浸れたらと汗をかいています。     (おわり)


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