エコロジー は エコノミー
エココロジーな暮らしは大切だけれど、環境にいいからって、高いものを買ったり、不経済な生活するのってなんか変!  …とごみっと母さんは思います。そこで新シリーズで始める『エコロジーはエコノミー』。ひとり一人の生活から社会システムまで、あちこち探してレポートします。

 

リユースとマイバッグのお米屋さん「てんち」
・・・・・・お客さんは紙製米袋持参でお米を買いに!
 ビルに囲まれた府中駅。意外ですが、その周辺には小売店が軒を並べる商店街が点在しています。その一角にある、お米屋さん「てんち」(もとは漢字で天地)。昔近くにある天神社の下に用水が流れていて、その辺りを天神下と呼んでいたそうです。その天神下をもじって「天地」と呼ばれるようになったとのこと。やがて競馬場ができ人口が増え、そして農地が減り、・・・・・・・「てんち」の由来はそのまま、府中の変遷を物語っています。

ヨーロッパのゆとりと自然環境に触発されて
 環境問題に目覚めるきっかけは店主の小澤さんが会社勤めをしていた頃、ヨーロッパ出張の折に感じた、日本とどこか違うという思い。それは高度成長真盛りの国と、経済的には厳しいけれど、ゆとりある暮らしの違い。10年程前に家業のお米屋さんに転職、地域の青年会議所の活動に関わるようになって、改めてヨーロッパの歴史ある町並みと調和した自然環境は市民が作り上げたものであることを実感したといいます。
 多摩川の清掃に始まり、ケナフ栽培、紙漉き・・・・・・地域の子ども達との実践を通じて、「昔の青年会議所はまちづくりといえば、商売がらみが中心だったが、この先豊かになっても子どもたちに何も残せない。まず環境や足元のことが優先。」「環境問題やまちづくりの根っこにある過疎と過密を作り出した国策の誤り、最後は人口動態を変えるところまでいくしかない」は小澤さんの持論です。

未来の環境は健康な土づくりから
 低農薬、有機栽培は消費者側のニーズに違いませんが「低農薬は地域が限定され安定しているが、看板を掲げても単なる手抜きだったり、意識せず、たまたま農薬が少なくなったという農家もあるので、農家の姿勢でお米を選んだほうがいい。」「低農薬は消費者ニーズより、農薬を直に浴びる農民の健康と土の健康のために必要。」 土とはきっても切れないお米、そのこだわりは、単に商売という枠を越えて、未来の環境にしっかり繋がっています。

配達先の紙製米袋は名前を書いて保管
 「てんち」の米袋はプラスチック製ではなく、未晒しの紙を二重にしたもので、止め口を紙紐で縛ります。ほとんどのお客さんは、この袋を持って買いに来るそうです。中にはかなりくたびれた紙袋でも「まだ大丈夫」というリユースの達人も。袋のままお米を扱う人は少ないため、その気になれば何十回でも、ということです。
次に拝見したのは紙袋がぎっしり並んだ特大の引出し。これらは配達用で、紙袋には町名と名前が記入してあります。次の配達時にはMY米袋を古い順に使ってお届けするという徹底ぶり。目下悩みの種は保管場所の確保とのこと。オリジナルライスカードには米袋再利用に付きスタンプが1個、さらに買い物袋持参であればもう1個。
 割高な紙袋も何回も使うことでビニール袋より経費はかからず、何よりごみ減量効果は比べようもありません。ごみを出さないお米屋さん「てんち」。

「ごみを売る店には課税を!」
 最後に大いに盛り上がったごみ談義のひとコマをご紹介。小澤さんいわく「処分場への持ち込み量ワースト1から巻き返した府中市ですが、リサイクル率が上がってごみを増やしている」(手厳しい指摘)。「リサイクル課は肝心のリサイクルの回収費用を知らなかった。資源化した物の売値は知っていても、回収にいくらかかっているか知らない」(縦割り行政じゃ済まされない!)「缶やビンがペットに代わっても、業界全体の利益や税収は変わらないが、行政の仕事が増え、市民がいつのまにか回収費用を税金で払わされている。」(そうそう)「ペットボトルは分別するから買っていいのではなく、売らないほうがいいい」(意義な〜し!)
 小澤さん流ごみ減量の提案はペナルティー方式。ペットボトルの回収をしなかったり、「ごみを売る」店は課税をしたり、「非協力店!」という看板をつけたり・・・・・・
 「市のレベルでできることはたくさんある」という言葉は、米袋のリユースという実践に裏づけられた小澤さんならではの光る一言でした。


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