みほへ。 空港から朝の列車に乗って 南ドイツのこの町におりたときのことは 一生忘れられないでしょう。 夏でもさらっとした空気の中 わたしを迎えてくれたのはさわやかな鐘の音でした。 遠く近く、右から左から たがいに呼びあうような教会の鐘の音。 駅の前には大きなもみの木があって こずえでは小鳥がひっきりなしに鳴いています。 それで、この町を「もみの木町」って呼ぶことにしたの。 地図をたよりに歩いてみると 街路樹がまるで緑のかたまりのように見えます。 日本では枝をせん定してしまうのに この町の樹木はどれも思いきり枝をのばして 葉をしげらせ のびのびとした大木になっています。 |
道路や町の中の広場は こまかい石だたみになっていて 何百年も前に建てられた建物が たくさん残っているの。 ふしぎなことに、町の中に車の姿はなく 自転車ですいすい走る人や 車道にもぶらぶら歩きの人がいっぱい。 そんな街角で、男の子がひとり バイオリンを弾いていたりする。 このすてきな町で これから暮らすんだと思うと なんだか胸がどきどきします。 |
みほへ。この1週間は驚きの連続でした。 いろんなことが日本とあまりにちがっているので カルチャーショックをおこしています。
でもそれは、悪い意味でなくて
みほにもわかるように
もみの木町では、30年位前に
でも、もみの木町の人たちは |
ひとつは、公共の叉通をしっかり整備して みんななるべく、それに乗るようにしたの。 町の外から来た人は 町の入り口にある広い無料の駐車場に車を止めて そこから電車やバスに乗りかえることにしたんですって。 カラフフルな路面電車や、2台がじゃばらでつながったバスが 町の通りをひっきりなしに行ったり来たりしているので どこに行くにも便利で安いの。
それから、よくでかける人にとっては
もうひとつは、自転車専用や歩行者専用の道路をつくったこと。 |
みほ、うちの団地からは、清掃工場のえんとつが近くに見えて いつもけむりがでているでしょ? でも、もみの木町では ごみをぜんぜん燃やしていないんですって。 もみの木町のごみはね… 1…紙類 2…緑のマークのついた容器や包装材 3…生ごみ 4…処分するごみ …に分けて回収されているの。 1、2、3はリサイクルされ、4は埋め立てて、 埋め立て地から発生するガスも 発電やお湯をわかしたりするのに使っているのよ。 そのほかにびんは、とかしてつくりなおすリサイクルびんと 洗って何度も中身を入れて使うリユースびんがあって リサイクルびんは、町のあちこちにある回収箱(リサイクル・ポスト)に 色別に分けて入れるの。 でも「環境にいいのは、なんといってもリユースびんのほうよ」と ロッテおばさんから言われたの。 |
こちらではビールびんはもちろん、牛乳もミネラルウォーターも ジュースも、このリユースびんが大活躍。 買うときにびん代をはらって びんを返すとそのお金はもどってくるしくみ(デポジット)なので ポイ捨てする人もいないのよ。 ペツトボトルも、日本ではリサイクルしかしないけれど リユースペツトボトルがあるのはさすがドイツ! ほかにもごみにしないしくみはいろいろあってね。 たとえば、おむつ。 使い捨ての紙おむつを使わず布おむつを使うと 町から奨励金がでるんですって。 飲み物の自動販売機が町の中にまったくないのにはおどろいたけれど この前、大学の構内で見つけた販売機は 専用のリユースカップを使っていて 飲みおわって洗浄機に入れると、ちゃんとカップ代がもどってくるの。 でも、自分のカップで飲むのが一番安上がりなので 学生たちはほとんどマイカップ派よ。 サッカー場やコンサー卜会場でも 飲み物はリユースカップで売るので 容器のごみがでないし、カップの貸し出し会社は大繁盛ってわけ。 |