市民ごみ大学 セミナー2001講演録

第2回 “100円ショップのからくり”


報告 : 『100円 ショップの実態』
清水 直子さん 

はじめに
清水直子さん
  1年ほど前に100円ショップを取材して“通販生活”という雑誌に記事を書きました。
ただ、申し訳ありませんが、その後もこのテーマを追つているというわけではありませんので、大したお話はできません。
記事【編集部注:巻末に収録】に書いてあることはお読みいただくとして、掲載にあたって省かれてしまったことなどを短くお話しいたします。

  デフレ・不況と言われる昨今、100円ショップはいわゆる「勝ち組」として報じられています。
しかし、大量販売に伴うごみ問題やそこで売られている商品の多くは人件費の安い中国など発展途上国で作られており、経済格差に起困する問題も背景にあることには殆ど触れられていません、かといって100円ショップだけを悪者にするつもりはありません。……

[清水 直子さんのプロフィール]
  市民派地方議員向けのミニコミ紙「ACT」編集部で、環境・人権・福祉・働く女性の関題などを追求。「週刊金曜日」「世界」「日刊ゲンダイ」「通販生活」、企業で働く女性向の月刊誌「Aw’s」などに執筆。
  現在フリー。『闘う首長』(共著)、『がんばれ美術館ボランティア』などの著書がある。


講演 : 『安ければいいの?』

ごみ問題を地球的視点から問い直す

田中 優さん

はじめに
  今日は国分寺市まで来たのですが、とても懐かしい想いでいます。私は隣の小平市の出身なのです。
田中 優さん
子供の頃はこの辺りは田舎でして、山野を駆けめぐりながら育ちました。
こんな事から自然や環境問題に力を入れるようになったのだと思います。
  セミナーのタイトルが“100円ショップのからくり”となっておますが、100円ショップの話は清水さんがすでにされましたので、なぜこれほど安くモノが作れるかについて話したいと思います。
  また、お集まりの皆さんの多くがごみ問題に係わっておられますので、これについても触れていきます。

  最初に、多くのものが生産されている発展途上国でどんなことが起きているかをスライドを使って説明します。
次にものが何故この様に安いのか、そしてリサイクルが何故できないのかという順序に話を進め、最後に解決策の提案をします。

見出しで概要を紹介
◎ 地球規模でリサイクルシステムが崩壊

◎ 金銭的価値により資源かごみに分かれる

◎ 安い資源の生産現場の状況
 ☆ 「森の国、タイ」の惨状
 ☆ 多様な生態系から成る熱帯雨林
 ☆ 熱帯雨林を伐採した安い木材は無駄に使われる
 ☆ 地球に優しくはないヤシ油
 ☆ 厳しい労働条件と環境汚染

◎ 豊かに実るバナナと飢餓の同居
 ☆ フィリピンのバナナのプランテーション
 ☆ 利益が出ないバナナの生産

◎ 地球温暖化で沈む島々
 ☆ 自然保護には強い動機付けが不可欠

◎ 東京23区のごみの2/3は事業系ごみ

◎ ごみの増えた原因はOA用紙

◎ 安い資源がリサイクルシステムを破壊した

◎ 輸入資源が何故これほど安いのか

◎ ODAが日本に安い資源をもたらした

◎ サラ金地獄にはまった途上国

◎ 多くの途上国が競って資源の輸出を始めた

◎ 悪の競争が環境破壊をもたらす

◎ 安さがもたらす産業の空洞化

◎ 私たちの貯蓄がもたらした事態

◎ 資源税や拡大生産者責任が公平な解決へ導く

◎ ごみを燃やさない選択を

◎ 持続可能な利用のために

◎ アウトプットしていくこと

◎ Q&A
 ☆ 事業系のタダ乗りごみの解決方法
 ☆ 環境資源税をかけリサイクル品と価格差を無くしたら
 ☆ 構造的な問題を変えるには

◎ 結び

[田中 優さんのプロフィール]
  地域の市民団体「グループKIKI」の活動を通して、地域のリサイクル問題が地球規模の南北問題に直結していることに気づき、リサイクル・脱原発・地球温暖化問題などの活動に携わる。
  市民に分かりやすく伝えつつ、市民中心の運動をめざす。また、「未来バンク」を設立し、自然エネルギーや地域循環型の経済の可能性などを模索している。
  著書に『環境破壊のメカニズム』『どうして郵貯がいけないの』『日本の電気料金はなぜ高い』他がある。

 B5版 35ページ 頒布価格500円+送料(82円)


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