市民ごみ大学セミナー’99 実施報告


第六回 知恵を集めて大討論会
開催日  2000年 3月 8日
 

第1分科会 「生ごみって、資源化すればいいの?」

 参加者は、生ごみについて考え始めたばかりの方から、長年取り組んでいる方、循環のシステムづくりを始めている方まで幅広く、内容も多岐に渡りました。

● 小金井 Wさん
 コンポスターを買ったがうまくいかなかった。今はぼかしとバケツでやっているが、庭が狭くて戻せない。循環するしくみを市に求めている。

● 国分寺 Nさん
 市民農園に生ごみを戻している。農園の使用者5、6名でチームを作り、一時処理した生ごみを受け入れるシステムづくりを実現させたい。

● 東村山 Fさん
 公有地を開放してくれるよう行政に働きかけた。前の市長から一反の土地を借りられたので、70戸がそこに生ごみを運んでいる。
市民が行政のタテ割りをどう崩し接着させていくか。行動を起こせば、行政がついてくる。

● 所沢 Tさん
 近郊農業と連携して食物として返ってくる循環の仕組みづくりを考えたい。

● 小金井Mさん
 堆肥化だけでなくメタン発酵も考えられるのでは。

● 清瀬 Sさん
 電気を使わないで堆肥化をいかに簡単にやるか。大規模になると分別がむずかしい。個人でやっていくことをもっと勧めた方がいい。

● 東村山 Fさん
 堆肥化の技術論から入ったが、今はいかに生ごみを減らすか、エコクッキングに意識が移っている。電動処理機の説明書をみると、食べ残しの絵が目立つ。
「残さないように食べましょう」の一文がどこにもない。

● 小金井 Sさん
 技術論も大事だが、心の問題、生き方のところにも気づいてほしい。

● 町田市 Yさん
 大きな仕組み、プラントを作ってはいけないのではないか。出たごみをどうするかではなく、出さないためにはどうするかを考え、小さい単位で始める。

● 日野 Sさん
 コンビニなどの売り方、捨て方を見ても、社会状況がさせている面もある。都会では大規模施設も必要になるかもしれない。

● 清瀬 Eさん
 ごみをどんどん出している中で大規模化を進めるのはだめだと思う。

● 東大和 Mさん
 一日に必要なカロリー量から捉え直して、必要なだけの買い物をするなど点検してみることが
大事なのでは。

● まとめ 依田彦三郎さん
 私自身は生ごみを回収に出したことがありません。私たちは行政頼みになりすぎていないでしょうか。行政には協力してもらうが、自分でまず行動を起こすことが重要です。
 日本では、残飯が年間11兆円分も出ていますが、これは、農水産業の生産額と同じで、こんな乱暴な暮らし方をしていることをまず止めなければいけません。
世界の4分の1の人口の先進国が動物性たんぱくの8割を摂取しています。牛肉1kgを作るには、エサとして穀物を7kg、ハマチも1kgの肉を作るのに、いわし7、8Kgを必要とします。


第2分科会 「燃やすのもあり!?廃プラスチック」

 三多摩での廃プラスチックの処理方法は資源化、焼却、埋め立てと自治体で違っています。
また、焼却炉の立て替えなどを巡って不燃ごみを燃やそうという自治体が増えて来ました。
こうした脱焼却に逆行する動きの中でどのような選択が可能なのでしょうか。

● 東村山市 Aさん
 中間処理施設・柳泉園で不燃ごみとして集められていたプラスチックが過去30年間燃やし続けられていた。
すぐに燃やさないことを決定したが、焼却炉の立て替えでまた燃やす計画が進められている。
 全国的には狛江市のように分別収集を止め、混合収集で燃やすという方向になっていくのではないか。
 容器包装リサイクリ法に積極的に乗り、高炉還元で資源化していくという方向を明確にすべきだ。

● 大磯町 Tさん
 容リ法を受け入れることで焼却を回避できるという考えには賛成できない。大いに疑問だ。
 大磯町では燃やすのを止め、保管し、緊急処理として埋め立てた。
NKK(日本鋼管)から高炉還元の話しがきたが、施設の建設に1億5〜6千万円必要なので止めた。高炉還元は結局、焼却でしかない。

● 国分寺市 Hさん
 RDFや高炉還元なども検討されたがプラスチックで行き詰まっている。燃やさないのであれば容リ法での対応がよいのでないか。

● 津川さん
 技術とは何なのか考えることが必要だ。鉄鋼メーカーは11.5%のCO2削減が義務付けられ、
高炉還元に追い込まれた。プラスチックを2010年までに100万t引き受ける計画だ。

● 清瀬市 Nさん
 容リ法にはできるだけ、乗らない、様子を見ることの方がよいのではないか。行政は「もうできない!」とはっきり言うことも必要になっている。

 この他にも貴重な発言がたくさんありました。全体として3つの問題が明らかになりました。

 @現実に行われている焼却をいかにして止めさせるのか
 A容リ法は発生抑制につながるのか
 B高炉還元は脱焼却と言えるのか


第3分科会  「ごみ有料化は是か?非か?」

 東京23区は96年12月から、多摩地区では、青梅市が98年10月に家庭ごみの有料化を実施。日野市や清瀬市、国立市など、いくつもの自治体で家庭ごみの有料化が検討されています。

● 青梅市 Sさんからの問題提起
 ダストボックスを廃止し、家庭ごみの有料化をして1年半経ちます。前がひどかったので、当初はごみが減り、全体としては資源物の分別もよくなったようでした。
 しかし、不法投棄の問題などごみ有料化がショック療法でよかったのか疑問が残ります。

● 清瀬市 Sさん
 有料化でごみに対する市民の関心がはっきりします。お金を出して袋を買えば生ゴミを堆肥化するなど市民が知恵を出していくのではないでしょうか。

● 小平市 Kさん
 ごみを有料化しないとごみは絶対に減りません。ごみ有料化にどんな問題があるのでしょうか。

● 世田谷区 Mさん
 有料化は安易、生産者責任を徹底させるべきです。

● 立川市 Nさん
 小金井市では粗大ごみを有料化したところ、1年目は3割減になったが4年間で元にもどってしまい、現在では2〜3割増えている状態です。やはり、ごみの発生抑制から考えなくてはいけないのではないでしょうか。
 行政が市民にどの位ごみ処理に税金を使っているのか知らせるべきです。

● 保谷市 Mさん
 発生抑制やリサイクルに真剣にとり組まず、不必要な大型焼却炉で膨大な税金を使っておいて、費用を消費者に出させればいいというものではないはずです。

● まとめ 熊本一規さん
 ごみの発生抑制は拡大生産者責任(EPR)の考え方が重用。処理やリサイクルの費用が価格に上乗せされた商品を消費者が購入することで、生産者はごみになりにくい、リサイクルし易い製品を作るようになる。
ごみ排出時に処理費を負担するごみ有料化がこの拡大生産者責任を不問にすることになってはいけない。


ま と め

 各部会終了後、各部会の報告を受けて全体会が行われ、依田さん・津川さん・熊本さんから以下のような助言を頂きました。

依田 彦三郎さん
 物がどこから来てどこに行くのか、その中で何が起こっているかを推し量る心が必要。もともと私たちはすぐれた食文化を持っていました。別に30品目食べなくともちゃんとやってきました。
 ごみの処理を全国一律に行うことは面白くない。地域地域で違っていい。
生ごみ処理機は電気餅つき機やジューサーと同じ運命をたどることになりそうです。ムダなものを出して成り立つ経済は変えていかなければいけないのではないでしょうか。
 それに水系の汚染が心配です。食物・家畜飼料を輸入している。そこから出る窒素・リンは大変な量です。たとえば、ハマチ1Kg育てるのに7Kgのエサがいる。養殖ハマチは人の1.5倍のリンを出します。

津川 敬さん
 生分解性プラスチックが云々されているが、プラスチックの製造の方を止めるべきで、すぐ技術の方へ持っていく、そして大きなビジネスに持っていく……これはよくない。
 エコセメント、高炉還元、生ごみ処理機も結局、大量リサイクルを支える技術でしかありません。マテリアルリサイクルは絶望的。(政府の狙いは)産廃と一廃を一緒に燃やすことではないか?
容り法に関して、地方自治体のヒアリングは全くなかった。
4月から容り法の完全実施で、対象となる事業者は190社から16万社に増える。「ただ乗り」が心配されます。大量リサイクルを支える同じ根っこで、容り法の仕組みをかえる必要がある。
 プラスチックの生産量の最低でも70%を再商品化義務量にする必要があるとそして事業者から金を取って自治体に返すべきです。

熊本 一規さん
 有料化賛成の意見があるが、有料化はごみが排出されるところへ視野を絞る発想で、むしろ主産されるところへ視野を広げるべきです。
 有料化に替わる方法としては、EPR(拡大生産者責任)「生産物の処理費用は生産者が負う」ということがある。「税金で負担」でなく、「消費者負担」へかえる。
 政府の基準は「廃棄物を引き取って処理するシステムをつくったかどうか」に置いているが、OECDなどでは「誰が費用を負担するか」である。

 最後に………「たしかに私たちは困難な状況に直面していますとしかし、本日の論議でも明らかになったように、目指すべき方向を明確にしなければなりません。リサイクルがもてはやされていますが、それが大量リサイクルにならないためにも新しい技術に対する問題意識をしっかり持つ必要があります。また、リサイクルで製造者責任は果たせるのでしょうか。
 経済のあり方や暮らし方までも視野に入れた納税者、消費者の声をもっともっと大きくしていきましょう。「自治体のレベルでできることを粘り強く行っていきましょう」という主催者からの提起を受けて、99年度最後のごみ大学は終了しました


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