市民ごみ大学セミナー’99 実施報告


第二回 こうすれば変えられる!まちのごみ
〜 脱焼却の先進的取り組みに学ぶ 〜

開催日 99年 7月20日

 当日沢山の方々にご来場いただき、ありがとうございました。会場が狭く窮屈でご迷惑をお掛けしました。講師の方々の素晴らしいお話で補って頂いたように感じられました。

講師の方々の実践報告

 

◇ 「うちのごみと町のごみを見つめて」
田端 裕さん (大磯町・町議)

 大磯町は1997年、ごみ焼却施設の排ガス中のダイオキシン排出濃度が590ngTEQ/m(以下ngと略)と全国的にも異常に高い数値を記録。ごみと向き合うほかはない状況に追い込まれました。
 田端裕さんはもともとパードウオッチングを趣昧としていて、自然豊かな大磯町へ引っ越しました。
町に埋め立て処分揚を作ることになってその用地のバス見学会に参加。美しい谷が焼却灰によって、わずか15年で満杯になってしまうという案内者の説明に、大きなショックを受けました。
そして議員となり、ごみと取組むことになったのです。

紙の徹底分別と厨芥の乾燥で減量
 1991年から自宅のごみを計りはじめました。集合住宅なので埋めることはできません。排出量の変化をみると急激に減量した時期が2回あり、1回目は紙を徹底的に分別するようになつてからで、2回目は生ごみをベランダで乾燥させるようになつてからでした。
最初は1人当たり1日1kg近く出すこともありましたが、1997年には100g(うちプラスチックは25g)にまで減量。ごみを乾爆させると
@収集作業などが楽になる
A堆肥化が格段に容易になる
B燃やしても不完燃焼が防げるのでダイオキシン発生が減らせる
などいるいろな利点があります。乾燥させるのに、捨ててあった干し物用のネットを利用しているというところが、楽しくもまた、「さすが!」です。
 田端さんは市と市民で構成する研究会で、生ごみの内容を調査。猛烈な悪臭の中での調査でした。
それは驚きの連続で、とりわけ、食べ残じの多さに衝撃を受けました。生ごみを堆肥化すればすむことではなく、それはまた土壌の窒素過多という別の問題を生み出すのです。

ダイオキシン排出は総量規制を
  大磯町は町をあげてのプラステック分別の徹底でダイオキシンの排出を0.91ngまで減らすことに成功。生ごみの内容調査でも不燃物の混入率はたった7.2%でした。
国の方策としてダイオキシンの排出規制が進められていますが、排出の総量規制の視点を欠いている、また、たき火など「身近な小さな火」を取り戻すためにも、塩ビなどの追放が重要と指摘。
詳細な調査結果に基づいてのお話は、まさに「調査なくして発言権なし」。今後の私たちの活動にとって、調査の重要性を再認識させられました。

 

◇ キーワードは「儲かること、楽しいこと」
 安井潤一郎さん (早稲田商店会・会長)

 早稲田の町は夏になると学生が帰省し、商店街は夏枯れ状態。
そこで、1996年、大隈講堂の前の広揚で夏枯れ対策野外コンサートを企画しました。
アトランタオリンピックではトラックに何百台分ものごみが出ましたが、自分達はごみを出さないイベントをやろうということに。
環境関係の機器メーカーに協力を呼びかけたところ、空缶、ベットボトル、電池、発泡スチロールの各回収機と生ごみ処理機を提供してくれました。ごみのうち9割が再資源化できたといいます。
 空缶の回収とパソコンゲームをセットにし、あたるとホテルの宿泊券など、色々な割引券が付くようにしたところ、ジユースは
200缶しか売れなかったのに、何と1,300缶もの空缶が集まってしまったという笑えない話もありました。

何が商店にとって大切か
 注目すべきことは、ペットボトルや空缶を返すと商店会のチケットが当たる『ラッキーデポジット」と呼ばれる回収方法が、商店にとって、ただの協力や協賛ではなくて、明らかに販売促進だったことです。
喫茶店は無料コーヒーを出してお客さんを増やし、歯科医は無料相談券を出して患者を獲得!
 ある麻雀店は「1時間無料券」を出しましたが、麻雀は1時間では終るわけがなく、1人ではできないので結果的にはお客が増えることに。
あくまでも「儲かること、そして遊び心が大切なんだ」と安井さんは強調します。
 1回限りのお祭りに終らせないようにと、1996年11月、ごみゼロ平常時実験をlヶ月間実施しました。
町に段ボールステーションを21ヶ所作り、空缶、ベットボトル回収機8台と生ごみ処理機を大中小とりまぜて12台設置。新聞の折り込みチラシで実験を呼びかけました。
1998年9月には、5坪のエコステーションを作リました。ラッキーチケットが当たる空缶回収は人気があるので、年間12万缶も回収しています。
 このエネルギーは、自分達の町は自分達で守るという気概と、行政、団体、企業、学校へ呼びかけて町が中心になって実行したところから得られたもの。
商店とは本質的に利益をあげることに最も大きな関心があるものです。あくまでもその点を踏まえて取組んだところに、一般の市民運動レベルの発想を大きく超えて、早稲田の町のまちづくりを大成功へ導いた秘密があったのです。


◇ ディスカッション

Q: 青梅市は有料化したが、有料化についてどう思いますか。
A:(田端):有料化といっても袋を購入するということ。たいした額ではないのです。むしろごみ処理費用をいかに減らすかということが大切ではないでしょうか。

Q:大磯町は可燃ごみが1,000キロカロリー未満なので、プラスチツクを燃やさないと温度があがらないのでは。
A:(田端):燃焼が悪いと灯油を入れています。その点でも生ごみを乾爆させれば改善されます。

Q:お祭りでお皿の持参を呼びかけたいのですが。
A:(安井): 昨年から全国の大学参加で「エコリーグ」が企画していますが、これはお箸とお皿持参です。
A:(田端):わたしの団地でもビアパーティーを自前のジョッキ持参で楽しくやります。「楽しく」ということが鍵なのではないでしょうか。

Q:エコセメントについてはどう思いますか。
A:(田端): エコセメントは、安全面でまだ安心できません。
ダイオキシンは脱塩素という工程で除去できるとしても鉛などの重金属類はその中に存在し続けているので、溶出試験の内容が十分公開されないと安全という説得力に欠けます。仮に溶出するとして、それならどの程度のベースで溶出するのかといったことも分らないのです。
公共事業で使うという計画が出されていますが裏を返せば私企業ではとても使える値段ではないということでこの事も問題です。

Q:生ごみの中身を調査した時、プライパシーは問題になりませんでしたか。
A:(田端)確かにそのことは話題になりましたね。
しかし、ダイオキシン590ngの衝撃が大きかったのです。個人的なデータのようなものが入っていても見ないようにしました。良識ある人たちが調査に参加していたのです。



前のページに戻る
ページトップへ