市民ごみ大学セミナー2001 実施報告


第四回 がんばれ!生ごみリサイクル
各地の取り組み 報告会

開催日 2002年 2月16日

  今年度の最終回となった市民ごみ大学セミナーを、2月16日に国分寺勤労福祉会館で開催しました。
 昨年、食品リサイクル法が施行され、たくさんのメーカーが参入し、焼却処理に代わるプラントが各地で動き出しています。
 ごみかんとしては、「技術で解決」以前の発生抑制、ごみ減らしを第一に、環境負荷の少ない循環型の技術を探る意味でも、今回のごみ大学セミナーを企画しました。
 会場は、市民、行政、企業からの参加者でいっぱいになり、多彩な実践報告の内容に関心が集まりました。

  第1部ではごみかん運営委員でもある田浪政博さんから東村山市での実践について、第2部ではメーカーによる自社のプラント紹介と地域からの報告、質疑を行いました。


第 一 部

東村山市の
ごみ行政への市民の関わりと生ごみ堆肥化

田浪政博さん

「推進プラン」ができるまで
  `92年、東村山市では、市民が16,000名の署名を集め、リサイクル条例を作ろうという運動があり、議会に直接請求したが、否決された。
秋水園(東村山市のごみの中間処理場)と柳泉園組合(西東京市、東久留米市、清瀬市の焼却場)の合併問題が、市民に知らされずに進み、2,300名の反対署名で行政が断念したりという動きがあった。

 このことを踏まえ、`96年、従来の、行政が素案を出し、市民の意見を聞くという形ではなく、白紙から市と市民が協働で作り上げていく、秋水園再生計画策定市民協議会ができ、市役所の環境部には市民委員用の机も置かれるなど、画期的なスタイルで、行政と市民がゼロからの原案づくりに取り組んだ。
 1年半で160回もの会合を持ち「燃やさない埋め立てない」を基本理念に、資源循環型のまちをめざす「推進プラン98」ができた。協議会は3部会に分かれ、その中のひとつが生ごみ部会だった。

実践開始と現在の状況
 プラン策定作業と平行して、97年7月、市営住宅での処理機による生ごみ資源化がスタートした。依頼にあたっては行政だけでなく、生ごみ部会のメンバーもいっしょに出向き、住民への説明会も行った。
 また、実験中は毎朝処理機の前で、分別のチェックや計量を行った。臭いの問題にも対処し、軌道に乗るまでの努力と配慮は相当のものがあった。
 さらに、99年からは戸建て住宅でも生ごみの回収が始まったが、これは私が自治会長になる条件に、生ごみに取り組むことをあげ、自治会の総会で議決したことが功を奏して、174世帯の9割の協力が得られている。

 市は専用バケツと袋を配布し、可燃ごみ収集は週2回だが、生ごみは週3回回収を行ったので、住民にとって協力しやすかったようだ。アンケートの結果、思ったほど面倒ではなかった、これをやることは意味がある、など、肯定的意見が多かった。
 01年12月現在では、市内5か所で約1,070世帯(2,809人)の生ごみが資源化されている。しかし、当初の計画通りには進んでいない。広げていくにはまだいっそうの工夫と努力が必要だ。


第 二 部

メーカーから自社の取り組みの報告

◆ エキシー ・・・・・ 生ごみ発電システム
 現在は、事業系生ごみを中心として考えている。生ごみを嫌気性発酵させ、それを水素に変えて電気にするシステムで、千葉県浦安市に0,4〜1トンのプラントが稼動している。
 残渣が4〜10%出るが、これは高熱分解処理すると、純粋な炭素となり、畑にも撒ける。
 生ごみの回収は、約2.4トン入る大きな箱状の容器を設置し、これを携帯電話で監視する。いっぱいになると回収に行くので大変効率が良い。
また、容器の中に組み込まれた装置で、生ごみはスラリー状に砕かれた状態になっているので、積み込みはバキュームで吸引して行う。
 匂いもなく、作業は大変楽である。家庭の生ごみなら、大きな箱ではなく、回収場所にコンパクトな箱を置き、住民に投入口専用の鍵を配り、投入してもらう方法をとればよい。
 コスト的には20トン規模のプラントで1キロ当たり35円くらいの引き取りでやっていける。

◆ ヤマゼン ・・・・・ スーパーと農協とでリサイクルシステム
 「むかしの青年団」という関連会社が茨城県下妻で堆肥化に取り組んでいる。創業は今から10年前。地元農家が有機野菜の宅配事業に取り組み、堆肥を作ることから法人化した。その後、時代の流れで廃棄物処理施設の許可を得、今は処理業の許可を申請中。
 一般生ごみ、事業系生ごみ、し尿処理残渣、有機汚泥、家畜糞尿、食品工場の動植物残渣の6品目を受け入れることができる。
 生ごみに米ぬか、もみがらを混ぜ、スクープ式で2週間かけて一次発酵させたあと、ベルトコンベアで2次発酵槽へ移動。8ヵ所のヤードを移動しながら、約2ヶ月かけて熟成させる。
 00年、地元のスーパーエコスといっしょに堆肥化実験を行ったが、今年4月中旬から本格稼動する予定。エコス50店舗と農協と自社の共同で、できた堆肥を米農家が使い、とれた米をエコスで売るという地域内循環を検討している。

◆ アイ・オー・ユー ・・・・・ パレット式堆肥化システム
 パレット式堆肥化センターと呼ぶプラントが三重県安濃町で稼動している。団地や学校から出た生ごみをカートに入れてもらい、もみがらをまぶして腐敗を防ぐ。暑い時でも3日に1度の回収でよい。スーパーや豆腐店の事業系生ごみや畜糞も堆肥化センターに入れている。
 パレット式の利点は、入れる中身の管理ができ、切り返しはパレットの箱ごと天地をひっくり返すだけなので大変省エネルギーであること、また、パレットごとに中身のブレンドを変え、作物に適した農家が求める堆肥を作ることが可能である点だ。
 操作や管理はすべてコンピュータで行う。施設規模も生ごみの量に合わせて、パレットを重ねて大きくしていくこともできる。


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