市民ごみ大学セミナー2001 実施報告 「4ヶ月目の検証 “家電リサイクル法”」 開催日 2001年 7月20日 今年度のごみ大学セミナーの第1回目は、施行されて間もない家電リサイクル法をテーマに開催しました。3名のパネラーの方々から、それぞれの視点で検証していただきましたが、各氏とも最前線の現場にいる方ならではの鋭い指摘や実態報告、提案などがあり、改めてこの法律の問題点が浮き彫りになりました。特に修理を通して見た製品づくりについての思いには、参加者からも共感の声が寄せられました。また、ごみ・環境ビジョン21では、多摩地域30自治体へのアンケート調査を行い、このごみ大学の中で発表しました。 盛りだくさんな内容でしたが、紙面の都合上、パネラーの方々の発言の概要を紹介します。
☆ 酒井浩江さん 「廃棄物を考える市民の会」の運営委員で辛口の論客として知られる 「法改正へ向けて精力的に取り組むという一点に絞って提言し、運動していきたい」 * 私は“家電リサイクル法”をどうやってうまく回していくか、なんていう事を考える必要はないと思っています。 廃家電は集まったら集まったで問題があるわけですね。リユースを対象にしていないばかりか、リサイクルという名において規制がかからなくなる恐れがあるもある。 産業界は規制緩和の大合唱ですし、ダイオキシンや有害物の規制のないところで処分されていく流れがありますので、我々は法改正へ向けて精力的に取り組むという一点に絞って提言し、運動していきたいと思います。 * 家電リサイクル法は3Rのリデュースを一番実現しやすいはずなのにそのリデュースを目的に入れず、集まった家電を全てぶちこわしてリサイクルして処分場を延命するという、そもそもこのスタートと背景に問題がある。
* リサイクルコストの先払いか後払いかということは、単に先・後という問題ではありません。
* 修理体制をどうやって充実させるかということですけれども、これもメーカーと切り離して静脈産業の育成ということに流れていいのか、ということがあると思います。
☆ 見田紀雄さん 立川市環境下水道部ごみ対策課長「立川市議会では家電リサイクル法に対する意見書を採択しています」 *この法律ができる前は、どこの自治体も家電4品目は粗大ごみとして収集していたと思います。自治体によっては収集しても処理ができないということで、適正処理困難物という指定をしている自治体もけっこうたくさんありました。
*家電リサイクル法施行後、全国的には50〜60%の自治体で不法投棄が増えていると回答しています。
*国に対しても自治体として言うべきことは言って、直すべきところは直すという運動をやっていきたい。
☆ 武山万亀男さん 家電修理の専門店「A&Vテクニカル」代表取締役で、修理技術者養成も行う「真面目に修理するのがいやになるような製品が多くなりました」 *メーカーというとイコール技術力のようなイメージがありますが、生産技術であって修理技術はたいしたものではない。うちではメーカー出身の技術者も入れてきましたが、この業界でやろうとすると半年も続かない。メーカーはものが円滑に売れればいいということで、クレーム回避のために修理部門があるんですね。 *メーカーサービス(修理)の実態は、メーカーの人間は2割くらいしかいません。あとは代行というメーカーの看板を借りた人なんです。そういう意味でもメーカーは少し責任が足りないんじゃないかという気がします。 *真面目に修理することがいやになるような粗悪な製品が多くなりました。例えばビデオなどは5、6年前の製品と比べると1/3くらいの重さしかない。中の部品が金属からプラスチックに代わっているんです。例えばバネ。当然何年か使っているうちに折れてしまいますから、長持ちしない。 *ビデオ、ミニコンポが2年前後、テレビは、洗濯機、冷蔵庫は4〜5年の耐久も危ういものばかりです。 *(提案の一つとして)品質向上のため、1年以内の初期故障のデータをメーカーに提出させ、それにより販売や輸入などの自粛を求める。 *大量消費は、メーカーも販売店も消費者も、誰も得しません。せめて耐久消費製品は多少高くても良いものを作ってもらいたいと思います。
☆ お知らせ このセミナーの講演録が完成し、こちらで案内しています。 |