前に戻る
中央線・阿佐ヶ谷駅に迎えに来てくれることになり、約束の時間より30分ほど前に到着した。 北口には『環境にやさしい習慣 マイバッグ』、レジ袋を削減しましょう、杉並区と書かれた横断幕が掲げられていた。 南口はロータリーになっていて中央は小さな公園、真っ直ぐに伸びたメタセコイヤの木が数本植えられており、南北に走る道路はケヤキ並木、杉並区なのに“杉”は一本も見当たらない。 コミュニティ・バス『杉丸』が目の前に止まった。 杉の文字を見つけてほっとしたり、都心にもコミュニティ・バスがあるのだと、妙なことに感心していると黄色いパジェロに乗ったTさんが現れた。
車を降りてTさんは真っ直ぐに職員室、二年担任のN先生のもとへ、紹介されて片隅に置かれたテーブルで直ぐに打ち合わせに入った。 職員の一人のように学校に溶け込んでいる様子である。 コーディネーターのTさんがてきぱきと話を進め、授業の進め方が決った。 通常は先生が授業を考え必要な講師や機材を探すのがコーディネーターの仕事のようだが、 今回のごみ分別ゲーム作りはTさんの提案した授業であった。
対象の生徒は90人3クラス、3回の授業で構成することになり、次の要領で行うことになった。 事前に家庭で区役所が家庭に配布しているごみや資源の分別方法や収集日などの資料を読んで理解し、ごみの分別やごみ出しの手伝いを宿題にするように提案した。
いよいよ本番の授業、N先生の紹介に続き、Tさんからゲーム作りの説明。カード(50枚)と必要ならばカードを置くボードを使うことなどが話され、一つの例の概要の紹介があった。 ゲームルールは生徒たちが考えて作る。あまりにも自由度があり、短時間でゲームが出来上がるか少し心配になってきた。 続いて私から「ごみ、リサイクルについて考えよう」と題して30分で日本人の出すごみの量、 ごみ処理の問題点、環境汚染、そして私たちの体への影響につてい説明した。 持ち時間が短時間であったがパワーポイントの機能の助けで上手く説明できたように思えたが、生徒たちへ的確にへ上手く伝わったのだろうか。
いよいよクラスごとにゲーム作り、作業はグループワークで1グループ 4〜6人で構成され、各クラスの時間は1時間。 指導の都合で各クラスの時間は1時間ずつずらしておこなう。 生徒たちは何から手をつけたらいいか戸惑いなかなか進まない、各グループをまわり自分の好きなカードゲームを出してどの部分が面白いのかを話し合い、そこからモデルとなるゲームを決めることにした。 モデルのゲームをごみ分別に当てはめる方法を考える考えようと提案した結果、ようやく作業が進み始めた。 この時点になって私自身もカードゲームのイメージが出来た。
ゲームルールの概要が出来るといよいよカード作り。ごみの分別についてたくさんの疑問が出て大忙しの状態になった。
宿題にしていたがとこまで作れたのだろうか、心配しながら三回目の授業を迎えた。 三クラス同時の進行、講師が教室を回ってゲームルールの発表を聞き、プレーしているところを見て出来具合をチェックしコメントする。 総てのグループが完成させていて、ゲームルールを説明して実際にプレーが出来る状態になっていた。 モデルにしたゲームからかなりルールが直されていて、工夫の後が見られる。肝心の分別もルールに反しているものは見つからなかった。 ごみ並べ、ダウト、かるた形式などまったく同じものは一つも無くとても良い出来栄えであった。 プレーしながら生徒たちは次々にゲームルールをかえ、より面白くするアイデアが話し合われた。 更に改良を加える機会を与えたいと担任の先生方がおっしゃったので後を託すことにした。
感想文を手にするのは大変嬉しい。話したことがどのように伝わったかを知ることが出来、改善すべきことが分かるからである。 宝物として大切に保管している。 事前学習の時、ごみ問題と環境、更にごみを出した私たちの健康への影響と盛りだくさんのことを短時間で話したので、どれだけ理解してくれているか心配をしていた。 ごみ処理にお金がかかる、環境を汚染して直接、または食物連鎖を通して毒性の強い重金属や有機物が人の体に蓄積することなど、多様な問題について良く理解していることが分かった。 ごみ分別ゲームを作るとの具体的で興味を駆り立てる課題を与えられ、この期間ずっと頭の中でごみのことを反芻していたのではないかと思われる。 ごみ問題の学習に「ごみ分別ゲーム」作りはとても良い手法であると改めて理解した。 機会を作りこの方法でもう一度授業を実施して見たいと思っている。環境教育に携わっている皆さんの参考になればと、私の体験を発表した次第です。 すばらしいアイデアと授業に参加する機会を頂いたTさん、担任の先生方に感謝します。 ごみ・環境ビジョン21理事 宮島和朗 |