はじめに
今日は、私たちの生活に身近なレジ袋から環境問題を考え、ライフスタイルを変えてごみを減らそうという話をしたい。京都市のイオン、ジャスコ東二条店で、この店は今年1月からレジ袋を有料にしている。詳しくは後ほど紹介したい。
今までごみ問題というと、排出されたごみを処理するという考え方が主だった。しかし、そのままでは資源が枯渇してしまう。
今日はレジ袋をどのように減らせばいいか。一番重要な発生抑制「リデュース」の話をしたい。 数字で見るレジ袋
私たちの日常で使っているものをみてみると、50年ほどの間に素材が変化してきた。紙はプラスチックに、びんや缶はペットボトルに、まな板なども木からプラスチックに代わってきている。紙や木、ガラスは自然素材で生態系を壊さないし、昔から繰り返し使ったり、リサイクルしたりしてきた。 だが、プラスチックは分解しないし、処理するにもリサイクルするにも問題が多い。石油という化石燃料を消費するのも問題である。 家庭から出るごみの組成をみてみると、容器包装がとても多い。容積では6割以上。 また、プラスチックは容積比で4 分の1、重量比で10分の1も占めている。プラスチックはかさ張るので収集する時に費用もかかるし、運ぶためには圧縮して容積を少なくする必要があるなど、ごみになってもやっかいだ。
今日のテーマであるレジ袋はごみ全体の7%も占めている。「たかがレジ袋」と言っていられない。
買い物にマイバッグを持って行く人もいると思うが、日本全体で平均すると、レジ袋を1人あたり年間平均300枚も使っていることになる。日本全体で年間377億枚にもなる。
国をあげて温暖化対策をしなければならない。1枚あたり60gのCO2が排出されるレジ袋を見過ごすことはできない。こういう意味からも削減の必要性が増している。 レジ袋による環境汚染
レジ袋の特徴は使用時間が短いこと。すぐに不要になってしまうので、使い捨ての象徴などといわれる。ほとんどの店で無料配布されているため、そうした自覚すらない。食べ物の残渣などのごみと違って、プラスチックは高カロリーで燃えるので、焼却施設の炉を傷めたり、埋め立ててもボロボロになるが、分解はしない。リサイクルしていない市町村も多い。 人間は重宝して使っているが、その辺にポイ捨てすると、やがて海に辿りついて、イルカやウミガメなどが、くらげとまちがって食べてしまったり、親鳥がプラスチックペレットをえさと間違えて雛にあげてしまって、餌を食べられなくなって餓死してしまう。人には便利でも動物には迷惑で危険なだけだ。
レジ袋を減らす方法
ほとんどの市町村で「マイバッグキャンペーン」を実施したり、毎月5日などを「NO!レジ袋デー」と決めたりして、レジ袋の削減に取り組んでいる。駅や店頭でのキャンペーンや、スーパーの出口でレジ袋辞退率の調査、自治体オリジナルの買物袋の作成や配布、ポスターや横断幕の掲示、広報紙やHP、バス車内放送、ケーブルTV、転入者へのリーフレットの配布など、さまざまな消費者啓発を行っている。 スーパーやコンビニなど事業者も取り組んでいる。スーパーのレジのところに、「辞退カード」が置いてあったり、レジ袋辞退者への得点として、ポイントをつけたりしている。1ポイント5 円の店が多い。 レジ袋の原価は2 円ぐらいだから、レジ袋を断る人が多くなると、スーパーは損をするはず。
1995年にできた容リ法は06年に改正して、07年から改正容リ法が施行されている。私は中環審の委員として改正の審議に参加していた。
結局、スーパー業界は賛成したけれども、コンビニのフランチャイズ協会や百貨店協会が納得せず、法制化できなかった。
先日、レジで「レジ袋をお付けしてもよろしいですか」と言われ、ここまで来たか、とおかしかった。
多摩地域では、市民がボランティアで啓発など、レジ袋削減に取り組んでいる。武蔵野市では、市民がスーパーと交渉して、レジの所に「レジ袋いりますか?」というステッカーを貼らしてもらうなどの試みをしている。
啓発では辞退率が増えない
07年3月に環境省が実施したアンケートでは、有料化賛成と答えた消費者が46%、反対が29%だった。しかし、マイバッグを持っていてもレジ袋をもらってしまうなど、日野市でも辞退率30%以上にはなかなか増えない。啓発だけでは限界があるといえる。
ドイツのスーパーでは、レジ袋は無料でもらえない。特別な法律はないが、事業者は経費がかかるのでただで配らない。
マイバッグ1枚で1000枚以上のレジ袋に匹敵する。もともとレジ袋の経費は品物の代金に含まれている。あるスーパーでは初めから有料にしているが、その分価格を下げて繁盛している。
杉並区では02年にレジ袋条例ともいえる「杉並環境目的税」を作った。07年までに辞退率が60%に達しなかった場合に導入するとしていた。
そこで、有料化に方向転換して、まずサミット成田東店と協定を結んで実施した。持参率が85%台に増えた。
なぜ「レジ袋」なのか?
他の容器包装と違ってレジ袋だけは、マイバッグや使用済みレジ袋など、替わりのものがある。外出先で何か飲みたいときは、缶やペットボトルなど飲料容器が必要になる。トレイやポリ袋の代わりに容器を持って買い物するのは容易ではない。しかし、マイバッグを持参することは誰でもできる。
3Rの中でもリデュースを実践するのは難しいが、レジ袋ならたちまち減らすことができる。 だから、事業者も真剣に減らさなければならないという訳だ。スーパーやコンビニで使う容器包装といえば、トレイかレジ袋だが、肉や魚などはトレイを使わなくてはならない場合が多いので、レジ袋で減らそうとしている。前年度の量と原単位で比較する。
ただし、レジ袋が減ればそれでいいという訳ではない。レジ袋はライフスタイルを変えるきっかけ。
環境問題は考えることも大事だが、行動で示さないと間に合わない。ライフスタイル、暮らしぶりを子どもたちにも示して、次の世代にも良い環境、そして、資源である石油も残していかないといけない。
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